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243 試験運営1


さて、今日は運営開始前の試験運用日だ。

実際にやってみると、意外と気が付かなかった問題点が浮き彫りになるから馬鹿に出来ないのだ。

朝の6の時間、階段小屋の前で待っていると、従業員達がやってきた。



「「「「「おはようございます(にゃ)。」」」」」


「おはよう。今日からよろしく頼むよ。」


「「「「「はい(にゃ)。」」」」」



階段を降り、従業員部屋へと入ってきてからミーティングを行うことにした。



「では今日は一通りの作業を実際にやってみて、問題点とかの洗い出しを行いたいと思う。何か質問は有るか?」


「はい。」


「ハウスさん、どうぞ。」


「はい。料理のメニューや金額はどうすれば宜しいでしょうか。後、材料の補充方法もですが、さすがにこちらに配達は無理ですよね?」


「逆に聞きますが、何が作れますか?」


「酒場で出す様な料理なら大抵の物は作れます。」


「最初なので、夜はパンとステーキにスープにして、朝はパンと目玉焼きにサラダを出すことにしましょう。様子を見つつメニューを増やす方向にします。

 ちなみに、ミーナさん。この料理をダンジョン内で食べられるとしたら、幾ら出しますか?」


「にゃ! えっと、ダンジョン内の食事は、黒パンと干し肉等の保存食ばかりにゃ。温かいスープや焼いたお肉が食べられるなら、大銅貨1枚を出してでも食べたいにゃ!」


「さすがに大銅貨1枚は取りすぎな気がしますので、銅貨5枚あたりで様子をみてみましょう。

 そして補充については、少し考えさせて欲しい。なので当分の間は私かオーナーが運ぶことで対応させてもらう。」


「わかりました。」


「他に何かあるか?」


「はいにゃ!」


「ミーナさんどうぞ。」


「お風呂の10分って、どうやって計るのかにゃ?」


「あっ……」



そう言えば考えてなかったな。砂時計? 誤魔化されたら終わりだし、次の予約客に迷惑がかかる。

よくよく考えれば10分で脱いで洗って入って着替えるってのは短すぎるか。



「ふむ……」


「どうするんだい?」


「いっそのこと予約制は無しにして、扉が開いていたら利用できるようにするか。

 それで1回の利用時間を30分にして、利用料をオークの魔石1個にする感じにする。」


「ふむふむ。それで?」


「中に入って魔石を入れると扉に鍵がかかり、カウントが開始される。

 25分でベルが鳴って、30分で扉の鍵が解除される仕組みを作る。おそらくゴーレムで作れば行けると思う。」


「それだと鍵を掛けずに入る輩が出るのでは無いか? 後は冒険者同士で協力し合ってタダで入るってのもあり得るぞ?」


「まぁ、高い宿代貰っているんだし、いっそのことタダでも良いんだけどね。

 ゆっくり入りたい人だけが払うでも良いんじゃないか?」


「そうだね。それでも良いかもしれない。

 特に女性冒険者なら、覗き防止に鍵をかけるだろうしね。」


「それで行こう。」


「他に何かあるかい? 無ければ実際に確認しながらやってみようと思う。」


「俺は風呂場の改造をしたいが、かまわないか?」


「もちろん。では、僕は確認の方をするよ。」


「任せた。」



俺はフィーネ達と別れて風呂場へと向かうことにした。



「よし、始めるか。」



鍵の仕組みは単純だ。魔石投入口に魔石が入ると、ゴーレムが起動し、扉がロックされる。

後は1周30分の円盤がぐるりと回り、25分の所でベルゴーレムのスイッチが入り、30分の所でゴーレムが停止し、扉のロックが解除される仕組みだ。

もちろんオーク以下の魔石が投入された場合は、何も起きずに回収されて終わりだ。文句を言われても知らん。ちゃんと注意書きを書いておくから読まない方が悪い。

オーク以上の魔石の場合は、物理的に入らない大きさにするため、問題無いだろう。



「ゴーレム製作!」



先にしっかりとイメージをしてから作ったので問題無く出来た。試しに魔石を入れてみるとロックが掛かり、カウントダウンが開始する。

25分になりベルが鳴ったのだが……



「ベルが止まらない……」



結局30分になるまで鳴り続けたのだった。あーうるさかったぜ。

ベルを10秒で切れるように調整して、再度魔石を投入した。



「今度は成功だ。」



キチンと思った通りの効果が出たのだった。

後は説明用の看板と、魔石回収の取り出し口(例の魔力キーでのみ開けらえる)を作成して、これで完成だ。

続けて同じ様に女子風呂も製作をする。さすがに2回目なので何の問題も無く完成させることが出来たのは言うまでも無かった。



「ちがう。」


「にゃあ~~!!」



カウンター前の部屋に戻ってくると、フィーネとミーナが言い争っていた。



「どうした?」


「あぁ、ミーナが計算が苦手なのが発覚したんだ。」


「だって、そういったの苦手なのにゃ……」



ミーナのお耳がペタンとしていた。可愛い。

だけど、計算か。こればっかりは覚えてもらうしかないんだよな。



「初級HPポーションが3個、解毒ポーションが2個、2人部屋の宿泊で幾らだ?」


「えっと、えっと、初級HPポーションが銅貨3枚で、3個だから……うにゃああぁぁ~~!!」


「落ち着け、初級HPポーションの値段が銅貨9枚で、解毒ポーションが大銅貨1枚だ。2人部屋が銀貨1枚と大銅貨6枚だから、全部で銀貨1枚と大銅貨7枚、銅貨9枚だ。」


「にゃあああぁぁ~~!!」


「辞めて別の仕事をするか?」


「嫌にゃ! 旦那を見つけるためにもやるにゃ!」


「なら、頑張るんだね。」


「にゃあ……」



うん、がんばってくれ。

おれはそっと扉を閉めて別の場所へと向かうことにした。


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