235 実験
その後もあーだこーだと話し合いを行った結果、だいたいの構想がまとまった。
「こんな感じでどうだろうか。」
「悪くないんじゃないか?」
「よし、なら壁や床の材料を買って来て作業開始するか。」
「ちょっと良いかな?」
「何だ?」
「先ほども言ったのだが、1日誰も触れていない物はダンジョンに吸収されるのだが?」
「そう言えば、そんなことも言ってたな。」
「必ず1度は触れる物であるのなら問題無いが、壁とか床を全て触るのは現実的じゃないだろうね。」
「ふむ。」
「見た目は悪いかもしれないが、全てダンジョンの物質で作るのが良いと思うのだが、どうだろうか?」
「とりあえず実験してみてからかな。」
俺はアイテムボックスより掘った土を取り出した。
「確か粘土質の土だったな。いくつかパターンを考えてみるか。」
1つ目は何も加工しない状態で。2つ目は焼いて固めた物にしたもので。3つ目は別の物質と混ぜ合わせたものの3パターンだ。
俺は土団子を1つ、こねて焼いて固めた団子を1つ、とりあえずアイテムボックスに有った適当な石とダンジョンの土とを錬金術で加工した団子を1つ用意して床に置いた。確認の意味も有ったので、単なる石と石を土団子で包んだ物も1つずつ置いておいた。
「後は1日経過してどうなるかだな。」
「上手く行くと良いね。」
「だな。」
・・・・
次の日になり、昨日作った団子を確認しに行く。
「おぉ!」
「なるほど、こうなるのか。」
さすがに何も手を加えていない単なる石と、土で包んでいた石は土を残して消えてしまったが、それ以外の3パターンは、どれも残っていたのだ。
恐らくダンジョンに関する何かと合成して加工さえすれば、ダンジョンの一部と認識してくれるみたいだ。
だったらやることは決まったな。
まずは間取りを土の壁で作って、焼いて固めた。壁の厚さは50cmの厚さを持たせたので、ちょっとやそっとじゃ壊されないだろう。
次に、木屑と土と合成させた板を作ってみた。どのくらい土を混ぜれば良いのかわからなかったから、含有率の違ういくつかのパターンを作って見て確認してみることにした。
結果、錬金術で加工したものであれば、土が1粒でも入っていればダンジョンと認識されたのには驚いた。
さすがに傷つけたり、壊したりした板は元に戻らなかったが、ダンジョンに取り込まれなくなっただけでも儲けものだ。
後はひたすら木屑を総動員して板を作りまくったのだった。
「しまった。材料が切れた。」
もともと大した量を持っていなかったこともあり、手持ちの木屑だけでは全てを覆うほどの量を確保出来無かったのだ。せいぜい小部屋1部屋分だ。
「そうだ! 上の階に行って木を切って来れば良いじゃん。ちょっくら行ってくる!!」
「ちょっ……」
俺は転移魔法で地下3階へと飛んだ。
地下3階の森の中へと飛んだ俺は、先ほどのことを思い出す。
「フィーネが何か言いかけててた気がしたが……まあ良いか(笑)」
俺はオリハルコンの刀を使って、森の木を伐りまくるのだった。
・・・・
「このくらい集めれば良いか。」
すっかり辺り一面まっ平にしてしまったが、明日になれば元に戻るから問題無いだろう。
逆にウルフが見えやすくなったお陰で狩りやすくなったくらいだ。実際かなりの数のウルフを狩ったしな。
お陰でレベルが1つ上がったぜ。
-----------------------------------------
名前 :シュウ
年齢 :7
種族 :神族
状態 :普通
LV :10
HP :109/109
MP :203/203
STR:25
VIT:21
AGI:30
INT:35
DEX:23
LUK:99999
スキル:
創造魔法、全属性魔法、召喚魔法、転移魔法、魔力制御、アイテムボックス(改)、完全無効、状況認知(改2)、思考制御、言語理解、偽装、オート狙撃(改2)、錬金術、剣術、以心伝心、AIナビ(大佐)、オートマッピング、掘削、伐採、木工
称号 :異世界転生者、狙撃手、クッキングマシーン
-----------------------------------------
ようやくHPが3桁を超えたな。MPも順調に増えている。
後変わったことと言えば、掘削と伐採と木工のスキルが増えていたことだ。どうりで穴を掘ったり、木を切ったりの加工がやりやすくなっていたと思ったよ。
さすがに家を建てている訳じゃないから建築は増えていなかったみたいだ。
「よし、戻るか。」
俺は転移魔法で宿屋予定地へと戻ることにしたのだった。




