表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

234/402

234 相談


俺はあれからハイパーテンションMAXで、掘って掘って掘りまくった。



「ふぅ~……さすがに疲れたな。」



時間にすると半日くらいだろうか。一度休憩をすることにした。


一休みをするついでに辺りを見回すと、大部屋1個分くらいの広さが有った。

思ってた以上に掘り進めていたみたいだ。流石に少々調子に乗って頑張りすぎたかもしれない。



「まぁ、大は小を兼ねると言うしな。」



俺は気にしないことにした。とりあえず少し小腹が空いたので適当に食事をして引き続き掘削作業を行うことにした。




・・・・




「こんな物かな。」



時計が無いため正確な時間は分からないが、食事の回数からすると約3日程の作業だろう。

大体2階建てのお店1軒分の空間が確保出来たので、後は間取りを考えなくちゃな。

約束していた日数が経過したことだし、一度フィーネと相談してみるのも良いかもしれない。



「よし、戻るか。」



俺は空気取り入れ穴の場所を広げると、四つん這いで外へと出た。


ふに♪


何か柔らかい物が右手に当たったのだが……って、フィーネ!?

どうやら普通にテントとして使っていたらしく、フィーネがそこで寝ていた。そして、俺がそこに手を着いてしまったのだ。

まぁ、正直に言うと、少々物足りなかったとだけ言っておく。



「そろそろ手を退けてくれると助かるのだが。」


「ご、ごめん。」



俺は慌てて柔らかい物体から手を離した。



「一瞬襲われたのかと思ったよ。思わず攻撃を仕掛けるところだったね。」



フィーネがそう言って腰のナイフから手を離した。



「まぁ、僕みたいなか弱い美人のことを襲いたくなる気持ちも分からなくは無いけどね。」


「いや、それは無いな。有るとすれば特殊性へ……」



シャキン!


フィーネが素早くナイフを抜くと、俺の首筋へと当てた。



「何か言ったかな?」


「な、何のことかは分からないであります。サー!」


「特殊何とかと聞こえた様な気がしたのだが?」


「特別な美人と言おうと思ったのであります。サー!」


「そうかそうか。」



フィーネはナイフを腰のホルダーへとしまってくれた。た、助かった~!



「それで、戻ってきたと言うことは完成でもしたのかい?」


「いや、あくまでスペースを確保しただけだ。どう間取りにしたら良いかを相談しに来たんだ。」


「なるほど。それなら一度見せて貰っても良いかな?」


「もちろん。じゃあ行くぞ。」



俺はフィーネを連れて、再び穴へと戻るのだった。



「どうだ!」


「これは……さすがに予想以上だったね。この広さならちょっとした宿屋も開けるのでは?」


「そこまでは広くないと思うんだけど。予定では1階にお店と倉庫、2階に居住区を作るつもりでは有ったけどね。」


「君はダンジョンに住むつもりなのかい?」


「さすがに住むつもりは無いが、どうせ作るんなら、余裕が有る暮らしが出来る程度の広さは欲しいだろ?」


「それはそうだろうが、ひとつ質問しても良いかい?」


「何だ?」


「君はアイテムボックスを持っているだろう? 倉庫って必要なのかい?」


「……えっと、要らないかも(汗)」


「だったら、その分を雑魚寝の大部屋でも良いから場所を確保するのも良いのでは無いだろうか。

 僕もここ3日ほど此処で生活してみて、階段で寝るのはやっぱり体がつらいと感じたからね。」


「ふむ。」


「後は女性が居るパーティのための小部屋とかも有ると良いだろうね。」


「確かに。」



故意では無かったとは言え、フィーネの体を触ってしまった時の対応からすると、女性は安心して眠れないだろうし、悪くない案なのかもしれない。



「そう言うことなら、いっそのこと完全に宿屋にしてしまうのも良いかもしれないな。

 物の売買はカウンターで売れば良いし、後で商売を辞めたくなったら誰かに売るか、オーナとして不労所得で稼ぐってのも良いかもしれないな。」


「宿屋にするのなら、もう少し広くした方が良いかもしれないね。」



フィーネはそう言うと、自分のアイテムバックから紙とペンを取りだすと、図面を描き始めた。



「カウンターは此処にするとして、こっちが大部屋、こっちが個室、パーティ用の部屋も有っても良いだろう。」


「どうせなら体を洗える場所を作らないか?」


「僕達がいる間は構わないだろうが、居なくなったらどうするんだい?

 前にも言ったけど、魔法使いが居るパーティならまだしも、ダンジョン内での水は貴重品なんだよ?」


「だめかぁ~」


「難しいだろうね。」


「……ふと思ったんだが、もし使った後の水の処理ってどうするんだ?」


「そのままダンジョンに流すしか無いだろうね。まぁ時間の経過と共にダンジョンに吸収されるからその辺は気にしなくても良いだろうけどね。」


「ちょっと待て、ダンジョンに吸収って何だ?」


「知らなかったのかい? 人が触れてない状態で1日が経過すると、ダンジョンに吸収されてしまうのさ。

 もし、吸収されないとなると、そこら辺が排泄物だらけになってしまうだろう?」


「てっきり草原ダンジョンとかに埋めていると思ってた。」


「地面が土になっているのは地下5階までさ。地下6階は完全な洞窟だったろう?」


「確かに。」


「それに肉の時も言ったけど、わざわざ地下5階まで戻るのも時間の無駄だろうしね。」


「なるほどね。」



ふと思ったのだが、女性が居るパーティって……うん、深く考えるのは止めておこう。



「人が触れて無い状態で1日と言うと、テントを張った後に狩りに出掛けて、帰りが遅くなって1日放置してしまうと、ダンジョンに吸収されてしまうってことになるのか?」


「そうなるね。だからテントや物を設置した場合は、必ず1人は待機させておいた方が良いかもしれないね。」


「なるほどね。逆に1日1度でも触れておけば消えないと言うことか。」



ダンジョンがどうやって時間計っているのかと言う疑問は有るが、1日経過で元の状態に戻る物だと理解しておこう。



「……あれ? ふと疑問に思ったのだが、地下2階とかに有る木を傷つけたり、切ったりしたらどうなるんだ?」


「1日経過で元に戻るらしいね。まぁ、切った木については、所有者が発生するから消えずに残り、元の木が有った場所については、戻ると言うよりは新しく生えるが正解かもしれないけどね。」


「この穴って3日程経過しているが、埋まらないのは何でだ?」


「さあ? ダンジョンの地面に穴を掘った人は過去にも居たが、その時は1日で元に戻ったらしい。さすがに壁を掘った人……掘れなかったが正解だろうが、そう言う理由で確認は出来ていなかったが正直な感想だろうね。」


「ふむ。」



俺が掘ったから違う結果になったのか、地面と壁では条件が違うのかは分からないが、戻らないなら、それにこしたことは無いな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ