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227 商売


朝になり目が覚めた。



「なるほど。」



もう確定だな。フィーネは抱き着き癖と言うか、一人で寝るのが寂しいということだ。



「おい、起きろ。」


「ん~……もうちょっと。」


「ちょっとじゃない。今日はダンジョンに行くんだろ?」


「……残念だよ。」



しぶしぶと言う感じで起きてくれた。やれやれだ。



「今日も地下5階へ行くのかい?」


「そうだなぁ……どうせなら地下6階へ行ってみないか?」


「私達……と言うよりは君の強さから考えると、それもアリだろうね。

 本来なら、2人で行くような場所では無いのだが……」


「それを言ったら仲間を増やさなくちゃ行けなくなるが、良いのか?」


「何がだい?」


「分け前が減るぞ?」


「……いやぁ、残念だ。君が僕と2人っきりが良いと言っているし、連れて行って貰っている身分だし、従うしかないだろうね。」


「言ってないぞ?」


「そうかそうか、2人が良いのか。年の差があるとは言え嬉しいね。」


「もうそれで良いよ。」



俺は諦めることにした。

朝食を済ませ、宿を出た俺達は、ダンジョンへと向かって歩き出した。



「ダンジョンに行く前に少し寄り道をしたいのだが、構わないかい?」


「良いけど、どうしたんだ?」


「何、地下6階に降りるのなら、さすがに日帰りは無理だからね。

 少し食料や野営のための道具を買い足そうと思ってね。」


「なるほどね。だけど、何日か分の食糧と、野営のための道具なら揃っているぞ?」


「そう言えば君はアイテムボックスのスキルを持っていたんだったね。」


「もう隠す必要も無いからね。」


「とは言っても、全て君におんぶにだっこと言う訳に行かないだろうし、僕も少し買い足しておこうと思う。」


「そっか。なら肉については気にしなくて良いぞ。正直な話、100匹近くの量が入っているし、それに途中で増えそうだからな。」


「いっそのことダンジョン内で屋台でも出したら良いんじゃないか?」


「なるほど! それも面白いかもしれないな!!」


「ええっ~~!?」


「何を驚いているんだよ、フィーネが言い出したんだろ?」


「いや、冗談で言ったつもりだったのだが……」


「いいじゃん。フィーネだって商人の血が騒ぐだろ? 折角だし、やってみようぜ!」


「……まぁ、君がやりたいのなら、僕に止める権利は無いのだが……本当にやるのかい?」


「おう!」


「そうか。」



フィーネが遠い目をしているが、テンションが爆上がりの今の俺には止められないぜ!!

あとで合流することを決めて一度フィーネとは別行動をとることにした。


とりあえず市場で目についた野菜と調味料、小麦粉等を片っ端から買って行く。

ついでに、俺は食べるつもりは無いが、ダンジョン内で売れるだろうと言うことで、干し肉と黒パンも大量に買って行った。

他にもぼろ布や、ランタン用油、たいまつ、解毒ポーション、マヒ解毒ポーションHPポーション、MPポーション等を買いまくった。

ほぼ全財産を使い切ってしまったが、後悔はしていない!



「おまたせ~」


「・・・・」



待ち合わせ場所に行くと、すでにフィーネは戻って来ていたのだが、何か機嫌が悪い感じだ。



「えっと、どうしたんだ?」


「どうしたもこうしたも無い、今何時だと思っているんだ!」



俺が周りを見渡すと、すでに夕暮れ時だ。



「あれ?」


「今日はもうダンジョンに行く時間でも無いだろうし、明日にするべきだ。」


「えっと。」


「どうした?」


「ほぼ全財産、使い切りまして、その……手持ちが全く……」



俺がそう言うと、フィーネがため息をついた。



「だったら、ウルフの毛皮でも売ってきたらどうだい? どうせ大量に持っているんだろ?」


「そうだった……」



俺はフィーネに協力して貰って、ほぼすべてのウルフの毛皮を売ることで、何とか宿代を稼ぐことが出来たのは幸いだった。

カトリーヌさん? 少量(?)とは言え、3日連続だからな。もちろん期待通りの反応をしてくれたのは言うまでも無かった。



「こうもあっさりと銀貨4近くも稼げるとはね……」



何故だかフィーネの呆れた様なつぶやきだけは、ずっと耳に残ったのだった。

その後は無事に宿に泊まれたとだけ言っておこう。


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― 新着の感想 ―
[一言] 「ほぼ全財産、使い切りまして、その……手持ちが全く……」 一億円相当の金を使いきったんや。調味料や食材、ポーション等でそんなにするんや
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