219 今日の予定
朝になり目が覚めた。
「ん?」
体ががっちりと固定されており、動かすことが出来なかった。まさか強盗が入って縛られたのか!?
「んな訳ないか。ほら、フィーネ起きてくれ。」
「んん……もう朝なのかい?」
「朝だな。起きたついでに一つ聞きたいことがあるのだが、構わないか?」
「もちろん構わない。何が聞きたいんだい?」
「どうして俺に抱き着いているんだ?」
「それは君が寂しくて僕に抱き着いてきたからだな。」
「ダウト!」
「どうしてそう思うんだい?」
「1つ目として、抱き着いているのは俺では無くフィーネであること。2つ目は、俺がいくら寂しいからと言っても、誰彼かまわずに抱き着くことはしないからだ。やるとしても親しい身内か、恋人しかありえないからだ。」
「いやぁ、恋人だななんて、照れてしまうではないか。」
「お前は何を言っているんだ?」
「いくら僕が可愛いくて君の好みの女性だとは言え、21歳の年齢差はさすがに僕でも考える時間が必要ではあるのだが……」
「おい!」
「まぁ、年齢はともかく、見た目的には大丈夫かな。うん、これならば考慮してみるのも吝かでは無いな。」
「おい、コラ!」
「あはははっ、冗談だよ。悪かったね。丁度いいサイズの抱き枕が有ったから利用させてもらっただけさ。
さすがに君は、まだ年齢的にも僕に欲情はしないだろ?」
「……もういいや。」
どうやら俺はフィーネにとって都合が良い男だったらしい(意味深)
「今日は休暇にするで良いんだったよな?」
「そうだね。僕は予定通り市場へと言ってみるつもりさ。君はどうするんだい?」
「とりあえずアイテムボックス内に有るドロップアイテムを何回かに分けて報告して来るかな。その後は知らん。」
「ふむ……何だったら少しくらいは手伝ってあげても良いが、どうする?」
「……ちなみに、フィーネはどのくらいの重さを持てるんだ?」
「そうだなぁ、頑張ってもウルフが5匹分くらいだろうね。」
「なるほど。」
フィーネのSTRと俺のSTRがだいたい同じくらいだから、俺もその程度しか持てないだろう。
合わせて10匹分が売れるだけでもかなり違うか。
「じゃあ、最初だけ頼んでも良いか?」
「市場に行くついでだ。まかせたまえ。」
「よろしく頼むよ。」
俺は最初だけ頼むことにした。
朝食を食べた後は、そのまま宿を出て冒険者ギルドへ向かう。
冒険者ギルドの裏手の誰も居ない場所でウルフ肉と毛皮を取り出して持ってみると、5匹はあくまで持ったまま移動出来る重さで有って、長距離移動や戦闘を考慮しないのであれば、一時的なら8匹持つことが出来たので、フィーネにも頑張って運んで貰ったのだった。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ……手伝うと言ったのは失敗だったかもしれないよ。」
「でも、正直助かったよ。」
「まぁ、稼がせてもらった恩も有るしね。このくらいなら何でもないさ。」
「じゃあ、また夜にでも宿屋で。」
「そうだね。では、僕は行くよ。」
フィーネはそう言うと、市場の方へ向けて歩いて行くのだった。
さて、俺はこれからどうしようかな。
さすがにすぐにウルフ肉を持っていくのは変なので、せめてお昼まで待った方が良いだろう。
そうすると、あと4時間どこかで時間を潰す必要があるんだが……
「俺も市場に行ってみるか?」
以前見つけたハーモニカみたいに、何か掘り出し物が有るかもしれないしな。
「そうだな、行ってみよう!」
そうと決まれば俺も市場に向けて移動することにした。




