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217 帰って来た


無事にダンジョンから帰還することが出来た。



「まさか1日で地下5階のボスまで倒して帰ってこれるとはね。」


「前に入った時は地下5階まで何日かかったんだ?」


「あの時は確か……4日だったかな。」


「えっ? 距離的に考えると、それほど時間はかからないよな?」


「今日、君と一緒にダンジョンに入ってみて分かったが、君はずいぶんと常識知らずだと言うことが分かったよ。」


「失礼な! 俺のどこが常識知らずなんだよ!!」


「……君は何を言っているんだ? もしかして気付いてないのかい?」


「はぁ? 意味が分かんねー」


「じゃあ教えてあげよう。まず1つ目だが、まずゴーレムの使い方だね。そして2つ目、他人に魔法を習得させられること。

 3つ目、すべての属性の魔法を無詠唱で同時発動で扱えること。4つ目、アイテムボックスが使えること。

 5つ目、年齢の割に身体能力が異常なこと、6つ目、オリハルコンを加工できることだ。

 今日までででもこれだけのことが有ったと言うのに、君は常識人だと言うんだね。」



フィーネが指を1本づつ立てながらそう説明してくれた。



「えっと……」


「まぁ、このことについてはパーティを組む際の約束だからね。誰にも言うつもりは無いが、異常だと言うことを知っていて欲しい。」


「お、おう。」



ぐうの音も出ないとはこういう事か。



「さて、常識知らずの君に質問なのだが、今日、ダンジョンで回収したドロップなのだが、どうするんだい? まさか全部持っていくとは言わないよね?

 私が知っている範囲でも、魔石はともかく、肉と毛皮については、私達2人では到底運べない量だと思うのだが、その辺を教えてくれると助かるのだが。」



ホーンラビットの肉は3個だから問題ないとしても、ウルフの肉は60個近くも有る。毛皮も同じく60枚だ。

ウルフの肉は量も多いから1匹でも10kg程も有るからな。全部で600kgか……さすがに持てないな。



「と、とりあえず俺が買いとるで良いかな?」


「僕的にはそれでも構わないよ。まぁ、ほとんど君が狩ったからね。本来なら、僕がとやかく言う権利は無いさ。」


「是非とも払わせてください!!」


「まぁ、君がそこまで言うのなら、僕は了解するしかないだろうね。ふふふっ。」



フィーネが楽しそうに笑った。どうやら意趣返しが出来たと喜んでいるみたいだ。いいけどね。

とりあえずちゃんと数えてみると、ホーンラビットの肉が3個と角が1個、後は毛皮が1枚。ウルフの肉が58個に毛皮も58枚か。

ホーンラビットはどの部位でも1個銅貨1枚で、ウルフは銅貨5枚だったな。とすると……全部で、えっと……銀貨5枚と大銅貨8枚に銅貨5枚だ。

その半分を渡すから、銀貨2枚と大銅貨9枚、銅貨2枚に大鉄貨5枚を払えば良いのか。俺はアイテムボックスよりお金を取り出すとフィーネへと支払った。



「いやぁ、催促したみたいで悪かったね。しかしこれだけでもずいぶんな稼ぎになったね。これに魔石も追加されるとなると、下手に商売をするより断然儲かりそうだ。」



フィーネはホクホク顔で喜んでいる。そりゃそうかもしれないけどさ。2人だからこその金額だからな?

5人組のパーティだったら銀貨1枚とちょっとしか稼げないんだからな! ……いや、1日で10万円を稼げるとなるとそうでもないのか?

あ、魔石の分を忘れていた。それも含めると……幾らになるのかは分からないが、これはかなりの稼ぎになりそうだ。



冒険者ギルドへ向かい、買取カウンターを探すと、此処の冒険者ギルドは裏口の先では無く、同じ建物の中と言うか受付カウンターで対応してくれるみたいだ。多分だけど、ダンジョンドロップが納品されるのが主になっていることで、解体する必要が無いからだろう。



「すいませ~ん。納品をお願いしたいのですが。」


「は~い……って、君は今朝の。」


「どうも。」



確かカトリーヌって名前だったかな。



「さっそくダンジョンに行ってきたみたいだね。どうだった?」


「う~ん。まだ浅い階層だからかもしれませんが、大したこと無かったです。」


「そかそか。怪我も無く帰ってこれたんだし、良かったじゃない。じゃあ買い取る物を出してもらっても良いかな。」


「あ、はい。」



俺は皮のリュックにあらかじめ入れておいた魔石を取り出すと、カウンターへと置いた。


ガラガラガラガラ……



「えっ? こんなに沢山!? あなた達、どこまで行ってきたのよ!」


「えっと地下5階かな。」


「地下5階!? しかも2人だけで日帰り!? よくよく見たら、この魔石、オーガのじゃない!」


「そ、そうですね。」


「これはとんでもない新人? が来たみたいね。」


「僕もそう思うよ。」



おもわずフィーネの突っ込みが入っていた。失礼な!



「と、とりあえず確認しちゃうわね。」



カトリーヌさんが魔石を機械へと投入する。そして計算結果がでたみたいだ。



「えっと、全部で大銀貨3枚と、大銅貨5枚になったわね。おめでとう。」


「おぉ!」



魔石と肉を全部売って半分にした金額でも大銀貨2枚にもなったのだ。さすがのフィーネも、この金額には開いた口が塞がらなかったらしい。

確かに常識外れと言われても仕方が無いのかもしれない……



「本日は冒険者ギルドのご利用ありがとうございました。私、カトリーヌが対応させて頂きました。

またのご利用をお待ちしております。」



全ての用事が済んだので俺達は冒険者ギルドを後にするのだった。


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