216 ボス戦見学
少しして扉が開き、先ほどのパーティが出てきた。今度こそ俺たちの番だ。
「よし、行くぞ!」
扉を抜けて部屋の中に入る。部屋の広さは20m×20m程度の小部屋の広さだった。まぁ敵が1匹ならこれでも十分か。
部屋の中に入ってから10秒ほどすると、前と後ろの扉が閉まった。
「来るぞ!」
当初の予定通りにカイルが前に出て盾を構えた。
その2m先、部屋の中央に靄が発生したと思ったら、オーガがそこに現れたのだった。
「ガアアアァァ~~~!!」
オーガがカイルの持っている盾を殴りつけた。
「くっ!」
それを受けたカイルの顔がゆがむ。そこそこ強い攻撃らしい。
そこに槍を持ったケインが突っ込むと、オーガは攻撃を止めて下がる……が、そこにエリスの矢が飛んできて刺さる。
「ウガ!」
一瞬動きが止まり、そこにロイの魔法が顔面に当たった。あれはファイアアローかな?
「ウガアアァァ~~!!!」
これはそこそこのダメージが出たみたいだ。オーガはもがき苦しんでいる。そのタイミングでリックが剣を振り上げて突っ込んできた。
「これで終わりだああぁぁ~~~!!」
リックの剣がオーガの首を切り裂くと、オーガは煙と共に消え、そこには魔石が落ちていた。
リックが魔石を拾うと、扉が自動で開いた。
「どうだ? 参考になったか?」
「そうですね。大丈夫です。今後の参考にさせて頂きます。」
「そうか。俺たちはこのまま下の階に進む。まぁ、挑戦するんだったら気を付けろよ。」
「はい。ありがとうございます。」
俺たちは、リックのパーティと別れると、一度扉の外へと出ることにした。
向こう側は誰も居なかったので、地下5階側で待っていた次のパーティが扉の向こうへと進んで行った。
このパーティは前衛だけの3人組だった。攻撃特化みたいだな。
他に待っているパーティは居なかったので、とりあえず扉の前で待機することにする。次に向こう側に人が居なければ俺たちの番だな。
「フィーネ。不安だったら俺1人で行ってくるけど?」
「ここに1人で取り残されても困るのだが? と言うか、それで君が死んだら、僕はどうやって帰れば良いんだい?」
「どこかのパーティに連れて行って貰うとか?」
「そうなったら大金を取られることになるだろうけどね。」
「まぁ、負けるつもりは無いけどな。」
「そう願うよ。とりあえず僕は付いて行くさ。」
「そっか。」
そんな会話をしていたら扉が開いた。ずいぶんと早い戦闘だったな。
「うわああぁぁ~~~!!」
「無理無理無理!」
「逃げろ~!!」
先ほどボス部屋に入ったパーティが慌てて扉から出てきた。どうやら勝てないと判断しての逃亡だったみたいだ。生きててよかったな。
でも、これで中からなら扉が開くのが分かったので、万が一の時も安心だ。
「えっと、これ入っても良いのか?」
「向こうは戦闘から離脱したんだし、問題無いと思うよ。」
「そうか。」
両側の扉は開いており、向こう側に人が居ないので、俺達が入っても問題なさそうだ。
じゃあ、入るかと足を向けると、先ほど出てきた男性が声を掛けてきた。
「おい、お前ら無茶は止めろ!
俺達でも敵わなかったんだ。そっちは2人だろ? 死ぬだけだぞ?」
「心配してくれてありがとうございます。大丈夫です。」
「お、おい!」
俺とフィーネはその心配を他所に、扉の中へと入って行くのだった。
扉の中にはオーガは居なかった。どうやら扉が開くと同時にリセットされるらしい。
10秒ほどして扉が閉まると、部屋の中央にオーガが現れた。
「まずは小手調べっと!」
俺はオーガへと走りよると、切り付けた!
スパッ!
あっさりとオーガが真っ二つになり、魔石を残すと消えて行った。
「あれ? 終わり?」
「何となく、そうなる気がしていたよ……」
フィーネは呆れた顔をしていた。失礼な。
魔石を拾うと、扉が開いたので、外へと出た。
そこには、先ほど逃げてきたパーティがまだそこに居て、俺達を見ると声を掛けてきた。
「ほら、無理だったろう?」
「いえ、倒しましたよ?」
「えっ?」
何だか知らんがものすごく驚かれた。
「マジで?」
「はい。」
「……お疲れ様です。」
「ありがとうございます?」
労ってくれたのでお礼を言っておいた。何か固まっているけど大丈夫かな?
「さて、帰るか。」
「そうだね。今日は色々と疲れたよ。」
俺たちはダンジョンを後にして帰ることにした。




