211 地下3階
地下3階まで降りてきた。
目の前には木々が生えており、どうやら地下3階は森の中らしい。
「フィーネ、この階層はどんな感じなんだ?」
「地下2階をさらに4倍の広さになっているな。そして見ても分かる通りに森になっている。
出てくる敵はゴブリンさ。5匹ほどの集団で襲ってくるし、木々の死角からの強襲もあるから、気を付けた方が良い。」
「ゴブリンか。」
現状把握をしてみると、結構な数のゴブリンとパーティが入り乱れていた。
さすがにこの階層全てを常時把握するのもキツくなってきたので、自分を中心とした半径50m程度に狭めておくことにした。
外だと少し心細い距離だが、ダンジョン内で有れば問題無いだろう。
「さて、ここからは僕も弓を本格的に使う必要があるかな。もちろん必要であれば魔法も使うから安心してくれ。」
「ゴブリン5匹程度ならまだ大丈夫だとは思うが、その時は頼む。」
「任せてくれたまえ。」
とりあえず近くのゴブリン集団に向けて進むことにした。
「そこの木の向こうに隠れて待ち構えているから気を付けろよ。」
「了解した。」
さて、どうやって戦おうかな。
こっちの位置は明かりのせいでバレているだろう。一度走り抜けた後に振り返ってから戦っても良いが、そうするとフィーネがフリーになってしまう。
「ならこうだ!」
ドカッ!
俺は、思いっきりゴブリンが隠れている木を蹴っ飛ばした。
「ギャ!」
驚いたゴブリンが声を上げると、他のゴブリンも木々から姿を現したのだった。
どうやら隠れているのがバレたことに気が付いたらしい。数は5、全員がこん棒を持っていた。
俺はすぐさま駆け寄るとゴブリンを切り付けた。
「次!」
切った手ごたえは感じなかったが、切ったのは間違い無いため、次のゴブリンへと向かう。
「ギャギャ!」
返り討ちにこん棒を俺に向かって叩きつけてきたが、俺はそれごと切り付けた。
木で出来たこん棒程度では、何の抵抗も無く切ることが出来た。
「次!」
次のゴブリンは、あっさりと倒された仲間を見て狼狽えているが、見逃すつもりは無い。
「次! ……は無いみたいだな。」
残りの2匹は、フィーネの矢で倒されていたみたいだ。
「お疲れ様。」
「そっちこそ。」
俺たちはお互いを称え合うのだった。
ゴブリンのドロップは耳……では無く魔石だった。心の底から耳じゃなくて良かったと安心する俺が居たとだけ言っておく。
「ゴブリンも問題無さそうだな。先に行くか?」
「そうだね。君の判断に任せるよ。」
「ふむ。」
ゴブリンはすぐに沸く関係で、それなりに数を倒せるから魔石集めとしては悪くはないが、ゴブリンの魔石って安いんだよなぁ……
それなら上の階でウルフを狩った方が儲かるかもしれない。ただ荷物が多くなるから、小さい魔石を多く回収できるこっちの方が、普通は儲かるのだろう。
「時間もまだ有るし、とりあえず下に降りてみてから、どうするか考えてみよう。」
「分かったよ。」
俺たちは地下4階へ向けて進むことにした。
さすがにマップが広くなったのと、ゴブリンの大量沸きの関係上、どうしても戦闘を避けることが出来ず、4回ほど戦闘になったのは言うまでも無かった。




