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210 地下2階


地下2階へとやってきた。

ぱっと見た感じでは、地下1階とたいして変わらなそうだ。遠くで幾つかの松明の明かりが見えていた。



「フィーネ、この階層はどんな感じなんだ?」


「まず広さは、地下1階の4倍になる。そして所々木が生えている林になっているのが特徴だね。出てくる敵はウルフになるよ。」


「どれどれ……」



空間把握で確認すると、確かにそのくらいの広さは有りそうだ。この階層に居るパーティは6組で、どれも戦闘中みたいだ。

ウルフの数は……3匹の塊がひーふーのみー……全部で13組か。と言うことは、全部で39匹ってことになるのかな?

おっ、丁度1つのパーティが倒し終えたみたいだ。ふむ、1組が全滅すると新たに3匹が現れるんだな。



「よし、まずは戦ってみよう。」


「僕と君で魔法で1匹ずつ倒して、残りは剣かな。」


「いや、大丈夫だ。俺が突っ込むから、フィーネは弓でも魔法でも好きな方を使ってくれ。」


「了解したよ。」



俺は近くのウルフに向かって進むことにした。

明かりが届く20m程まで近づくと、ウルフはこちらに気が付いたらしく、走って向かってきた。



「来るぞ!」



俺は小太刀を構えると、ウルフに向かって走り出した。

先頭のウルフに向かって切り付ける。



「ギャン!」



そのまま切ったウルフを盾にして回り込み、残り2匹の攻撃を妨害、その隙に体勢を整える。



「キャイン!」



そこにフィーネの魔法が当たり、2匹目のウルフが倒された。



「ガウッ!」



残りの1匹が飛びかかってきたので、避けつつ首を切り落とす。さすがにこの攻撃は即死となり煙となって消えた。。

最後に致命傷を負っていた最初の1匹の介錯を行って戦闘は終了した。



「圧勝だったね。」


「だな。だけどこの武器だとちょっとキツイか。」



俺は持っている武器を確認する。折れてはいないが、首の骨を切った際に刃が少し欠けたみたいだ。

もう少し厚くして切れ味を落としてでも丈夫さを追求するべきだろうか。



「1度の戦闘で武器が駄目になるなんて、安物の武器でも買ったのかい?」


「前にも言ったが、俺に武器を売ってくれる鍛冶屋が無いからな。自分で作ったんだ。

 ただ、切れ味を重視する関係で、丈夫さを犠牲にしたんだが、思ってた以上に駄目だったらしい。」


「そう言えばそんなことを言っていたね。だが武器が無いと戦闘がキツイだろうし、一度戻った方が良いかもしれないね。」


「いや、大丈夫だ。」



直しても良いが、戦闘毎にいちいち武器を直すのも面倒だし、例の武器を使うとするか。



「こいつを使うからな。」



俺はアイテムボックスより、オリハルコンの小太刀を2本取り出した。



「何だいその武器は? その武器こそ強度的に駄目なんじゃないのかい?」


「大丈夫だ。気になるんだったら鑑定してみなよ。」


「……オリハルコンの小太刀? オリハルコン!? オリハルコンって武器に出来るのかい? だとしたら凄い発明だよ!!」


「まぁ、特殊な加工が必要だがな。丈夫さと切れ味は折り紙付きだぞ。」


「ちょっと借りても良いかい?」


「刃の部分に気を付けろよ? かなり切れるからな?」


「肝に銘じておくよ。」



俺は小太刀をフィーネに渡した。

フィーネは小太刀を受け取ると、軽く何回か素振りをしていた。



「これほどの薄さなのだから切れ味は悪く無さそうだ。だと言うのに、一切曲がることがない強度に、重さもあまり感じないから僕でも扱えそうだ。

 ちょっと試してみたいのだが、構わないかい?」


「フィーネって前衛も出来るのか?」


「専門前衛者と比べると負けるだろうが、全く使えない訳じゃない。ウルフ程度なら大丈夫だ。」


「まあ良いか。じゃあ次で戦ってみるか。」



俺は近くのウルフの群れへと移動することにした。



「来るぞ! 左の2匹は俺がやるから、右の1匹は任せたぞ!」


「任せてくれたまえ。」



俺は同時に襲い掛かってきたウルフを一刀のもと切り裂いた。

全く抵抗が無く、切った感覚が無かったんだが、ちゃんと切れてるよな?

ウルフはそのまま煙となって消えて行った。よし!



「フィーネは?」



隣を見ると、フィーネが小太刀を振り下ろした状態で固まっていた。

見た感じ怪我はしていなさそうだが……



「大丈夫か?」


「……はっ! 何なんだ、この武器は!! 僕程度の腕前でも頭蓋骨が一切の抵抗も無しに切れたんだぞ!!」


「そう言うのを目的として作ったからな。切れてくれなきゃ困る。」


「だとしても、この武器は異常すぎる!」


「俺が使うんだから良いだろ! ほれ、返してくれよ。」


「その前に確認をさせてくれ。」


「何を確認するんだ?」



フィーネはリュックより解体用のナイフを取り出すと、その刃に向かって振り下ろしたのだった。


スパッ!



「……僕でも最強の剣士を目指せるような気がするよ。」


「いや無理だろ。」


「そうハッキリ言わないでくれ、少しくらい夢を見させてくれても良いと思うんだが。」


「避けられたら幾ら切れ味が良くても勝てないだろうし、だいたい先に切られたら終わりだろ?」


「まぁ、そうだね。」



とりあえず満足したらしく、小太刀を返してくれた。



「ちなみにその武器は……」


「作らないし、売らないぞ。」


「……まぁ仕方ないね。いつか他に加工できる人を探してみるのも良いかもしれないね。」


「勝手に作る分には干渉はするつもりはないし、頑張って作れる人を探してくれ。」


「そうするよ。」



その後、2回程戦闘を行ってみたが、オリハルコン小太刀の二刀流の敵では無かったため、さっさと地下3階へと向かうことにした。


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