201 ゲテモノ?
よし、小太刀を作るとしますか。
「夕食が出来たぞ。」
ガクッ……なんつータイミングで呼びに来るんだよ。せっかく盛り上がっていたやる気が一気に冷めてしまった。
「へ~い。」
俺は武器を作るのを後回しにして夕食を食べるためにフィーネの方へと向かうことにした。
「ふふん。どうだい?」
「材料が無いとか言ってた割にはまともな飯だな。」
「そうだろう、そうだろう。」
黒パンと、干し肉と干しキノコと、何やら緑の野草が入ったスープだった。
「味は期待しないでくれると助かるのだが。」
「わざわざ作ってくれた料理に対して、文句は言わないぞ。」
「それは有難い。それじゃあ、頂こうか。」
まずはスープを頂くことにした。
ズズッ……ん? か、辛い!? が、食べられないほどの辛さじゃなくて、絶妙な旨さの辛さだ。
「旨い! これ、何が入っているんだ?」
「干し肉と干しキノコ、後は毒消し草に麻痺解除薬、隠し味として麻痺キノコと、後は毒キノコだな。特に麻痺キノコが良い味を出すんだよ。」
「ブ~~~~~!!! げほっ、げほっ、げほっ……」
「大丈夫かい?」
「大丈夫な訳有るかああぁぁ~~! なんちゅー物を食べさせるんだ!!」
「でも美味しいだろう? それに体も何とも無いハズだ。」
「……美味しかったのは認める。でも、人に食わせる物じゃないと思うんだが?」
「だから毒消し草と、麻痺解除薬を入れたじゃないか。」
「入れれば毒を食べさせても良いのかよ!」
「とは言ってもなぁ、毒や麻痺を起させる動植物って、体に栄養をため込むせいか、かなり美味しいんだよね。
それを何とか出来るのなら、食べないのも勿体ないと思うんだが……」
言われてみれば、確かにフグとかの毒持ちって旨かったよな。特に猛毒な卵巣の糠漬けなんて珍味として旨いらしいしな。
それに栄養をため込むってのも何となく理解できる。
「なるほどね。勉強になったよ。」
「ふふふっ、どういたしまして。」
俺は完全耐性を持っているからな。1人だけで食事をするのなら、色んな毒持ちな動植物を食べてみるのも良いかもしれないな。
これは色々と楽しみが増えたな。
「ふぅ~、旨かった。ご馳走様。」
「お粗末様だね。」
予想以上の夕食だったので、本当に満足だ。
食器を片付けを行い、後は寝るだけになった。ならここからは俺の出番だな。
「さて、夕食のお礼と言う訳でも無いが、護衛の仕事をしっかりとしないとな。」
「ん? もしかして敵かい?」
「いや、そう言う訳じゃないんだが、まぁ、見ててよ。ゴーレム製作!!」
俺がスキルを発動させると、地面の土が盛り上がり、8畳サイズの小さな小屋が出来たのだった。
「なっ! 何だいこれは!」
「ゴーレムだが?」
「こんなゴーレムが有るか!」
「前にも言ったと思うが、ゴーレムは想像することで利用方法は無限大になるんだぞ?」
「聞いたよ、確かに聞いたが、これは本当にゴーレムなのか?」
「もちろんだ。だから敵が来たら自動的に防衛してくれるぞ。ほら。」
俺が合図をすると、柱と見せかけていた腕がクネクネと動き出した。一応先っぽは石の剣状にしてある。
これで近づいてきた敵を攻撃してくれるので、多少の時間稼ぎにはなる予定だ。
「……君といると、僕の常識が崩れてくる気がするよ。」
「気のせいだ。まぁ、俺は外で見張りをするから、フィーネはこの中で休みなよ。」
「……疲れたから、そうさせてもらうよ。おやすみ。」
「あぁ、良い夢を。」
フィーネは、何かを諦めた顔をしていたが、本当に疲れているみたいで、素直に小屋の中へと入って行った。
「さてと、頑張りますか。」
とりあえず状況把握で周辺を調べてみる。
ここの野営地には俺たちの他に2組の集団が居るのが分かった。お互い干渉しない位置で野営をしているので、こちらに近づかない限りは問題無いだろう。
ゴブリンやウルフも集団でいる場所に来るとは思えないが、一応把握できる範囲内に居るのは狙撃でサクッと倒して収納しておいた。これで安全だろう。




