198 出発
まずは武器からだな。何せ今まで使っていた武器と言えるのは石の包丁だけだったしな。
なので、今日はこの武器からレベルアップを図りたいと思う。どんな武器が良いだろうか。
何だかんだで俺が戦闘で良く使うのは武器よりは魔法だ。だったら魔法も使える感じの武器が良いだろう。
普通、魔法と言ったらイメージ的にも杖が主流になるだろうが、別に杖が無くても魔法が使える関係上、杖に拘る必要は無い。
だったら剣で良いじゃんと思われるだろうが、やっぱりロマンは諦めきれないのだ。
……よくよく考えると杖って何で有るんだろうな。
ありがちなのは炎や氷の剣だろう。ラ〇トセ〇バーみたいな光の剣も捨てがたい。ただし、作り方が全く分からないのが欠点だな。
力技でやれば何とかなるかもしれないが、それはロマンではないので却下である。やるのなら作れるようになってからにしよう。
他に思いつくのは杖と剣が一緒になっている物だ。ガンランスとかがそれだ。銃剣みたいのも悪くない。
「待たせたね。」
何だよ、今良い武器が思いつきそうなところなんだから邪魔しないでくれ。
「あれ? その格好で行くのかい?」
あとちょっとなんだ、あとちょっと武器が出かかっているんだ、黙ってくれ!
「さすがにその格好は駄目だろ。冒険をなめているとしか思えないぞ。」
「うるさい! 忘れちゃったじゃないか!!」
「うおっ! 驚いた。」
折角、最高で最強のロマン武器を思いつきそうだったのに!
……ダメだ、全く思い出せない!!
「で、何の用だ?」
「何の用って、出発したいのだが。」
「構わないぞ。」
「構わないって、その格好で?」
「仕方ないだろ! 武器屋で何も売ってくれないんだぞ!」
「そんなことは無いだろうが。」
「子供だから駄目なんだとさ、せめて10歳になってから来いとさ。」
「あーなるほど、そういうことか。
そうなると、君は冒険者と言っても、まだGランクなのかい? これは予定が狂ったかもしれない。」
「いや、Dランクだ。」
「D!? 本当なのかい?」
「ほら。」
俺はギルドカードを取り出すと、フィーネに見せた。
「確かにDランクのギルドカードだね。だけど、これ本物かい?」
「しっかりとギルドカードを見ただろうが、これって偽造出来ねーだろうが。」
「そう言えばそうだったね。じゃあ本当にDランクの冒険者なのか。
じゃあ、何でDランク冒険者様なのに、そんな恰好をしているんだい?」
「さっきも言っただろうが! 武器屋で武器や防具を売ってくれないんだよ!!」
「そうだったね。ゴメンゴメン。
一応聞くけど、戦闘はどうしているんだい?」
「一応武器は有る。まぁ、メインは魔法だけどな。」
「ほぅ? どんなのだい?」
俺は武器製作で石の包丁を作り出すと同時に、アイスアローを空中に待機状態で作り出した。
「なるほど、君は魔法剣士ってやつになるんだね。」
「魔法士だ。」
「でも剣も使えると言うことは。」
「魔法士だ。」
「……そう言うことにしておくよ。」
納得してくれたみたいだ。まぁ、正確には何の職業にも付いていないんだけどな。理由は知らん。
「さて、そろそろ出発をしようと思うのだけど、準備は大丈夫かい?」
「大丈夫だ。」
「その皮のリュックじゃ大した物は運べないと思うのだけど、本当に大丈夫なのかい?」
「大丈夫だ。問題無い。」
実際ダミーだしな。基本アイテムボックスに入れっぱなしだから、コレには疑われない程度の物しか入ってないしな。
「君がそう言うのなら出発しようか。」
「おう。」
こうして新しい仲間(?)と一緒にガンガルの街を目指して出発するのだった。




