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019 初報酬


次の日になり、ローザと一緒に残りの草むしりの続きを行い、お昼前には終了することが出来た。

あれからローザの機嫌が少し悪いんだが、どうすれば良んだろう?



「作業終了の報告をしに行こうか。」


「・・・・」



この沈黙が辛い。何とかしてくれえぇぇ~~~!!


玄関に回りってノッカーを叩くと、昨日と同じメイドさんが出てきた。



「どうしましたか?」


「草むしりが終了しましたので、ご報告に来ました。」


「では一緒に確認してきますので着いてきてください。」


「はい。」



メイドさんがそう言うと、裏庭の方へと歩き出したので着いて行く。

そして指定された範囲がキチンと対応出来ていることを確認すると、満足げに頷いた。



「大変良く出来ましたね。では、依頼の終了のサインをしましょう。」



最初に渡しておいた依頼票にサインをして渡してくれた。



「後は、これはちょっとしたご褒美です。仲良く食べて下さいね。」



そう言って何かを包んだものを頂いた。



「「ありがとうございます。」」


「いえ、また機会が有りましたらお願いしますね。今回は本当にご苦労様です。」



こうして俺達の初依頼を無事に終わらせることが出来た。



「ねぇ、何を貰ったの?」


「さあ? 何だろう?」



俺が包みを開けると、そこにはクッキーが4枚程入っていた。



「「おかしだ!」」



この世界に来てから甘い物と言えば果物だけだし、めったに食べられないため、見たことは有っても食べたことは無かったのだ。

2枚づつ分けて、早速頂くことにした。



「「美味しい!!」



久々の砂糖の甘みは最高である。日本に居た時の砂糖と違うのか、若干えぐみが有ったのだが、十分美味しいと思えた。

ローザも夢中になってクッキーを食べていた。



「もう無くなっちゃった。」


「そうだな。」



2枚しかないクッキーはあっという間に俺達の腹に入ってしまった。しまったな、もっと味わって食べたらよかったかもしれない。



「でも、美味しかったね~」


「いっそのこと、依頼料でお菓子を買ってみるとか!?」


「シュウ君、稼いだお金は孤児院に収めなきゃダメでしょ?」


「……はい。」



ローザは真面目さんだった。



「だったら、いつか冒険者として成功して、美味しい物一杯食べるぞ~!!」


「シュウ君、私も一緒に冒険者をしても良い?」


「おう、ローザなら良いぞ。」


「後、アンナもね。」


「そうだな。」



アンナが孤児院を出てからもう1年か……今何をしているんだろうな。

久々にちょと寂しいと思った俺であった。


そんな会話をしつつ歩いていると、あっという間に冒険者ギルドへと到着した。冒険者ギルドの中は丁度お昼の時間だからだろうか、数人の食事をしている人以外はおらず、中はガラガラだった。

受付カウンターにイザベルの姿が見えたので、報告に向かうことにした。



「あら、シュウ君とローザちゃん。もしかして依頼が終わったのかな?」


「はい。無事に終わらせることが出来ましたので報告に来ました。」


「それは良かったわね。じゃあ、依頼票とカードを貰えるかな?」



俺とローザは自分のギルドカードと依頼票を提出した。



「確かに、じゃあ処理しちゃいますね。」



俺達のカードを機械に通して何かの処理をすると、再びカードが排出された。



「はい、これで完了ね。カードの返却と、こちらが依頼料になります。

 初依頼おめでとうございます。」



俺達の目の前にカードと銅貨5枚が置かれた。



「「ありがとうございます。」」



俺達はお礼を言って受け取った。



「シュウ君、お金だよ! 初めてだよ!」


「そうだな、俺達が頑張った成果だな。」


「うん!」



嬉しそうにしている俺達をイザベルが優しそうな目で見ていた。



「また何か依頼を受けたかったらこっちに持って来てね。

 本日は冒険者ギルドへの登録ありがとうございました。私、イザベルが対応させて頂きました。

 またのご利用をお待ちしております。」



こうして俺達の初冒険者としての依頼は完了したのだった。

そしてその夜、折角稼いだお金だがシスターに没収されてしまったのは言うまでも無かったのである。くすん……


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