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189 依頼完了


次の日になり、目が覚めた。

何か精神的疲労のためか、体が重い。



「ふあああぁぁ~~~良く寝た。」


「布団が凄くてグッスリ寝られたね。」


「二人ともおはよ~」


「何だよシュウ、ずいぶんと疲れているみたいだな。」


「ちょっとね……」


「まぁ、今日で依頼も終わりだろうし、あと少しだし頑張ろうよ!」


「おう!」


「だね。」



着替えを済ませた俺たちは、とりあえず部屋で待機だ。

朝食の時間になると、メイドさんが呼びにやって来た。



「朝食の準備が整いましたので、食堂へいらしてください。」


「わかりました。」



準備は終わっているので、そのまま食堂へと向かう。

昨日と同じ夕食を食べた部屋に到着した。


コンコン……



「お客様が到着されました。」


「入れ!」



入室の許可が出たので扉を開けた。



「うわっ!」


「何だ!」


「こ、これは!?」



何と部屋の中は真っ暗だった。ビックリしたのは一瞬で、すぐさま部屋は明るくなり、前に見た長テーブルの食堂が見えた。



「驚いたみたいね。」


「今のは、ロリーナ伯爵夫人の魔法でしょうか。」


「ええ。どうやら私には闇魔法の才能が有ったみたいね。」



ロリーナ様がそう言うと、サムとレリウスがギョッとして俺を見た。その通りだよ!



「いつまでも突っ立ってないで、席に着かんか。」


「「「はい!」」」



昨日と同じ場所に着席すると、朝食が運ばれてきた。

朝食はパンにサラダとベーコンエッグ、後は飲み物のシンプルな朝食だった。



「では頂くとするか。」



トーマス伯爵の掛け声の後に神様への祈りを行った後に、朝食を頂く。

味は……まぁ、無難な味付けだな。ただ、材料は良い物を使っているみたいなので、それだけでも十分な旨さだ。



「昨晩は、ロリーナが世話になったみたいだな。」


「い、いえ! そんなことは御座いません!!」


「こうしてロリーナも魔法が使えるようになったのだ、十分な働きをしたと思うぞ。礼を言う。」


「あ、有りがたき幸せ。」



チラリとロリーナ様を見たが、すまし顔で朝食を食べていた。トーマス伯爵様の様子からすると、例の生理現象については内緒にしてくれたみたいだ。



「昨日の夕食後、例の方法で同じことを試してみたが習得出来る者は現れなかったのだが、ロリーナには出来たみたいだな。何かコツでも有るのか?」


「わ、わかりません!」


「試しにそこの給仕にやってもらえないだろうか?」


「えっ! そ、それは……」



そんなことをしたら、アリスと、ロリーナ様にやったことがバレてしまう。



「あなた、昨日習得の際に説明されましたが、誰にでも行えるものではないそうよ。」


「そうなのか? そんな説明は無かったと思うが。」



その時、ロリーナ様が俺に対し目配せをしてきた。これは!?



「そ、その通りでございます。説明不足で申し訳ありませんでした。

 そう言うことで、ここに居る方で習得できそうな人は、残念ながら居ないみたいです。」


「そうか、それなら仕方が無いな。残念だ。

 参考に聞くが、どういった人物が対象となるのだ?」


「えっと、その、確か……そ、そう。魔力と魔法属性の才能を持っているのにもかかわらず、魔力操作や魔力感知の適性を持っていない方が対象となります。」


「ふむ、それの判断基準は?」



そこまで思いつかねーよ。ツッコむなよ!



「勘ですね。」


「それだと外れることも有るのでは?」


「いえ、今のところ100%の成功率となっております。」



誰でも100%成功するからな。嘘は言っていない。



「そうか。本人にしか分からない、何かしらの判断基準が有るのだろうな。」



どうやら諦めてくれたみたいだ。ほっ……

食事が終わり、報酬の話になった。



「ここまでアリスを連れてきてくれたお礼と、ブルーバードの代金、そしてロリーナの魔法習得の技術料を踏まえて、金貨12枚を報酬として渡そう。」


「「「金貨12枚!?」」」



予想以上の金額にちょっとびっくりだ。こんなに貰っても良いのだろうか?



「足りないか?」


「め、め、め、滅相もございません! 有りがたき幸せです!」



とりあえず俺に対して渡してきたので、受け取っておくことにした。

サムとレリウスはあまりの金額にまだ固まったままだったしね。



「あっ、そうだ。忘れるところだった。」


「なんだ。」


「えっと、アリス様が依頼を出す際に、依頼料が支払われるまでの代わりにと渡してくれたものです。」



俺はアイテムボックスからポケット経由で依頼料の代わりのネックレスを取り出すと、トーマス伯爵様へと渡した。



「これは……母のペンダント? そうか、これを使ったのか。」


「母と言うと、トーマス伯爵様のお母さまでしょうか?」


「そうだ、リリス=リルディル。私の母の名だ。

 アリスが生まれる前に亡くなったが、生まれてくる孫に女の子が居たら、そのペンダントを渡してくれとゆだねたのだ。」


「そうだったんですね。」



当初アリスのお母さんの形見かと思ったが、あそこに居るしな。

まぁ、何にせよこれで終わ……そうだ、肝心なことを忘れていたな。



「すいません。あと、こういう物が有るのですが……」



俺は離魂のリングをトーマス伯爵様へと渡した。



「これは何だ?」


「離魂のリングのリングと言いまして、アリス様を発見した時に、身に着けていたものです。」


「何だと!? それはどういった効果が……名前からすると体から魂が離れるってことか。と言うか何故このリングの名前を知ってる!」



あ、やべっ! うっかり名前を言っちゃったよ。



「えっと、そ、そう、鑑定持ちの道具屋で確認してもらったので知りました。」


「鑑定持ちの道具屋だと!? そいつはどこの誰だ!

 普通の道具屋が鑑定スキルを持っているなんてことは、あり得んぞ!」


「え~……露店の怪しい人だったので、どういう人なのかは……」


「フリーの鑑定持ちか。なら、可能性はあるか。是非とも我が家で雇いたいな。探してみるか?」



誤魔化せたか? まぁ、そんな人は居ないんですけどね。頑張って探してみてください。運が良ければ本当に見つかるかもしれないしね。



「まあ鑑定持ちの話は良い。それで、このリングはどういった経緯でアリスが着けたんだ?」


「確かロゼッタと言う女性に渡されたと言ってましたね。」


「ロゼッタはアリスの専属メイドだったな。確かポンプティ-男爵領出身の……なるほど、そういうことか。

 色々と参考になった。感謝するぞ。」



トーマス伯爵様は今の情報だけで、今回の事件についての首謀者が分かったみたいだ。

まぁ、おそらくルイス団長からも話を聞くだろうし、おそらく裏付けさえ取れれば確定になるのだろう。

とりあえずこれでアリス事件に関する依頼はこれでミッションコンプリートだな!


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― 新着の感想 ―
[一言] 殺そうと切りかかってきたお詫びの代金は支払われないんだね。
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