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187 やっぱりそうか


「……ま。」



ん?



「……様。」



何だ?



「シュウ様、起きてくださいませ。」



体を揺すられた俺は目が覚めたのだが、部屋の中は真っ暗だった。朝じゃない?



「朝……にはまだ早いみたいですが、どうしたんですか?」


「ロリーナ伯爵夫人がお待ちです。」


「……そーいや、そうだった。」



すっかりと忘れていたが、食事の時に言われたんだっけ。

逆らう訳にはいかないため、俺は起きることにした。



「では、こちらです。」



メイドさんの案内の元、とある部屋の前までやってきた。



「そのままお入り下さい。」



俺がノックをしようとしたら、そう言われてしまった。音が響くからだろうか。

まぁ、言われたらその通りにするしかないよな。俺はそのまま部屋へと入ることにした。



「失礼します。」


「待っていましたよ。」



部屋の中は、ろうそくの明かりだけが唯一の光源でしかなく、ロリーナ伯爵夫人の傍でかすかに見えている程度だった。

ふと気になったので部屋の周辺を含めて状況把握で確認してみたのだが、メイドさんを含めて何の反応も現れなかった。



「あれ? お1人ですか? トーマス伯爵様は?」


「あの人はここには居ないわ。ずっと一緒に寝ていませんし、別の部屋で今頃は……ね。」



何か意味深な発言が聞こえた気がしたのだが、これは聞いてはいけないことの様な気がするので聞いてなかったことにする。

と言うか、こんな深夜に夫人の部屋に2人っきりって不味くないか?



「あ、あの、ロリーナ伯爵夫人、さすがにこの状況はまずいのでは無いでしょうか?」


「どうして?」


「一応、私奴も男性ですし……その……」


「あら? シュウ君は、私とそう言うことをすることに興味がおありなの?」


「と、とんでもございません。ただ、常識的に考えるとですね……」


「ふぅ~ん。シュウ君は、そういうことってのがどういうことなのかを知っているのね。」



やべっ! 今の俺は7歳だった。



「い、一般常識と言うか、冒険者ギルドでその様な会話を聞いたことがあったので、その……」


「うふふふっ♪」



ロリーナ伯爵夫人が妖艶に微笑んでいた。めちゃくちゃ色っぽくてドキドキするんですけど。

と言うか、記憶には無いが、ロリーナ伯爵夫人って、何となくだが、おそらく前世の年齢に近いドストライクの年齢では無かろうか。しかも見た目もかなり好みだし……ふと、アリスも成長するとこんな感じになるのだろうか。



「あら、女性の前で、他の女性のことを考えるなんて悪い子ね。」


「あ、いや、別にそう言う訳じゃ。」


「そうかしら?」


「うっ……」



そうだった。ロリーナ伯爵夫人って読心術のスキルを持っているんだった。恐らく考えていたことがバレていると思った方が良いだろう。

ここは正直に話した方が良いのかもしれない。



「えっとですね、アリス様も将来的にはロリーナ伯爵夫人の様にお綺麗になられるのだろうなと思ってました。」


「あら、シュウ君はアリスのことが好きなのかしら?」


「えっと、いや、孤児で平民でもある私奴が、アリス様をお慕いするなんてことは畏れ多いことでございます。」


「そんなこと無いわよ。本人が良いと言うなら私的には構わないと思うわよ。

 それに、シュウ君は、将来的にも大物になりそうだし、かなり重大な秘密も持ってそうですしね。うふふっ♪」



ゾクリ……


全てを見透かされている様な感じがした。バ、バレてないよね?



「さて、雑談はこのくらいにして、早速魔法を教えて貰おうかしら。」


「……本当にやるんですか?」


「もちろんよ。」



もう逃げられないし、腹を括るとするか。



「ロりーナ伯爵夫人、事前にお話しておかなければならないことが有ります。」


「何かしら。」


「今回行う作業ですが、もともと魔法が使えない人でも魔法が使えるようにするための方法となります。」


「ええ。そう聞いているわ。」


「もともと魔法を使える人は、生まれてきた時から魔力感知と魔力操作のスキルを持っています。逆に言うと、魔力感知と魔力操作のスキルを持ってない人は魔法が使えないってことになります。」


「そうなるわね。」


「そこで私奴が思いついたのは、この魔力を使うための回路を無理やりこじ開けて魔力を流すことで、魔力感知と魔力操作を強制的に覚えさせる方法になります。」


「そんなことで魔法が覚えられるの?」


「いえ、覚えられるのはあくまで魔力感知と魔力操作だけです。属性についてはその人の才能になると思われます。

 なので、レリウスは光魔法を覚えられましたが、サムは覚えられなかったのです。」


「そう……自由には選べないのね。」


「はい。ただ生活魔法だけは、誰でも覚えられると思いますけどね。」


「ふと思ったのですけれど、レリウスと言うのは盾を持った剣士の方で良かったかしら?」


「はい。」


「……剣術に盾術、そして光魔法……なるほど。」



ロリーナ伯爵夫人が何かに納得していた。

あっ……もしかして聖騎士の条件を知っていのかもしれない。ヤバイ! 余計なことを言ったかもしれない。



「そ、それでですね、この無理やり魔力を通す関係上、体にかなりの負担が掛かるらしく……その……」


「アリスがお漏らししたのがそうなのね。」


「……はい。」


「アリスは教えてくれなかったけれど、それだけかしら?」


「分かりません。私奴は経験したことがなので。」



おそらく強烈な快感に襲われるのは間違いなさそうなんだけどな。



「そう言えば、夕食時の夫とアリスに反応が現れなかったのは、すでに魔力感知と魔力操作を持っているからかしら?」


「おそらくは。」


「……死ぬようなことは無いのよね?」


「おそらくとしか。」



ただ、前世の記憶だが、絶頂時の興奮による心臓への負担が掛かりすぎることでお亡くなりになるってことがあると聞いたことがある。

まぁ、それがあり得るのが心臓に疾患を持っているとか、それなりにお年を占めた人とかだろうけどね。ロリーナ伯爵夫人様は20代後半くらいに見えるし、その辺は問題無いだろう。



「分かったわ。準備をしてくるから少し待っててもらえるかしら。」


「はい。」



ロリーナ伯爵夫人はそう言うと、扉から出て行った。恐らく出すものを出してくるのだろう。

少ししてロリーナ伯爵夫人が戻ってきた。



「お願いするわね。」


「畏まりました。」



ロリーナ伯爵夫人が両手を出してきたので、それを掴む。



「では行きます。」



ロリーナ伯爵夫人が頷いたので、魔力を流し始めた。



「ん……くぅ! はあっ! いやぁ!」



最初は小さな反応だったが、次第に刺激が大きくなってきたのか、首を振って何かに耐えていた。



「だめっ! これ以上は! くりゅう! きちゃうの! だめえええぇぇぇぇl~~~~!!」



ブッシャアアアァァァ~~~~!!



聖水とは違う何かがあふれ出したとだけ言っておく。

やっぱり駄目だったか……


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