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181 雑談


流石は騎士団に護衛されているだけは有ったな。

何の問題も発生せずに、その日の内にカーリアの街に到着して宿泊し、次の日の夕方にはリーガンの街まで到着してしまった。

しかも途中の旅費は全部騎士団で出してくれたので、費用も一切発生しなかったのは有難かった。

そして極めつけは入街の審査が一切無く素通り出来たのは良かった。さすがは貴族様だVIP対応だぜ。



「シュウ様、ここが私の住んでいた街、リーガンの街ですわ。」


「さすがは伯爵様が住む街だよね、帝都程じゃないかもしれないけど、お店も人通りも多くて賑やかだよね。」


「あら、シュウ様は帝都に行ったことがおありでしたの?」


「以前依頼で1度だけ行ったことが有ったよ。」


「そうでしたの。」


「・・・・」


「何か?」


「いえ、ナンデモアリマセン。」



正直アリスの貴族令嬢っぽい言葉遣いが気持ち悪いと思ってしまうのは駄目なんだろうな。

だけど地元でどこに目やら耳が有るか分からないから、こうして言葉遣いに気を付けているんだろう。



「シュウ様は、帝都では何か観光もなされていたのですか?」


「観光と言うよりは、ずっと依頼でお店の手伝いをしていたかな。

 後はアランさんとエレンさんの結婚の立ち合いと、聖女様のお披露目を見に行ったくらいかな。」


「結婚ですか!? 羨ま……それは素敵なことが有ったのですね。

 アラン様とエレン様と言いますと、確かガルスの街でお会いになった方々でしたよね?」


「うん、その人達ね。」



今、羨ましいって言いかけたな。下手に突くと危険だからスルーしておこう……



「シュウ様を本当の家族みたいにしていたので覚えています。」


「ちなみに俺の名前って、森で拾われた時に、エレンさんが名付けたんだよ。だから多少はそういった思いも有るのかもしれないね。」


「そうなのですね……って森ですか?」


「そう。俺が孤児院出身ってことは知ってるだろ? 生まれてすぐに森に捨てられていたんだ。」


「……殺す。」


「えっ?」


「シュウ様を捨てたその親……いえ、そいつらは賊で良いです。捕まえて拷問してから殺してやります!」



えっと、もしかしてアリスってヤンデレ持ち!?



「いやいやいや、気にしてないから大丈夫だって。

 それに俺の親に関する情報って何も無かったみたいだし、多分見つけるのは無理だと思うぞ?」


「……残念です。」


「・・・・」



こりゃ下手に言わない方が良いな。うん。

多分だけど、俺を森に捨てた(?)のはこの世界のかは知らんが神様だろう。

それを殺すとなると……アリスは神殺しの称号を手に入れることになるのか。凄いな……まぁ、無理だろうけどね。



「後は聖女様のお披露目ってことは、あの時にシュウ様も王都にいらしたのですね。」


「アリス様は聖女様と会った事とか有りますか?」


「ええ、聖教会の本部へと行く機会が有りまして、その時にお会いしました。とても可愛らしい方でしたね。

 ……そう言えば、聖女様ってシュウ様と同じ年齢で、孤児院出身と言ってましたね。もしかして知り合いとかでしょうか?」


「あーうん、一応ね。」


「そうなのですね、聖女様とお知り合いだったとは凄いです。」


「まぁ、そう……なるのかな?」


「単なる知り合いなだけですよね?」


「ん?」


「だから恋人とか将来を誓い合ったとか、そんなことは無いよね?」


「そういうのは無かったかな。」


「良かった……」



アリスが胸に手を当ててホッとしていた。



「ただ、いつか俺のところに帰ってくるって約束だけはしたかな?」



ピキッ!


あっ……アリスの動きが止まった。



「へ、へぇ、そうなのですね……」



ギギギ……とぎこちない油の切れたロボットみたいな動きをしているが、問題無いだろう。



「でも、聖女様だと色々と忙しいでしょうし、帰るのは難しいですよね。そうです、難しいですよね! これで邪魔者は……ふふふっ♪」



あ、復活した。しかも何やら聞いてはいけないことも言っている気がするのでスルーしておこう。

そんな会話をしているうちに、最終目的地でもあるリルディル伯爵家のお屋敷に到着したのだった。


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