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180 護衛


宿を出ると、騎士団が待ち構えていた。



「「「!?」」」



一瞬ビックリしたが、ルイス様が居たことで少し落ち着いた。

今回は盗賊の格好では無く、キチンとした騎士団の格好だったからだ。



「アリス様。我々もリーガンの街まで護衛させて頂けないでしょうか。」


「レリウス様、如何いたしましょうか? 私としては受けても良ろしいと思っておりますが。」


「え、えっと僕が決めるの? あ、えっと、は、はい。よ、よろしくお願いします。」


「畏まりました。ではアリス様は、こちらの馬車へとお乗りください。」


「はい。」


「じゃあ、僕…私たちはこのまま馬車でアリス様の後ろを付いて行きます。」



俺たちが馬車に乗り込もうとしたところで、アリスが声を掛けてきた。



「あ、あの、シュウ様、1人だと心細いので、一緒に乗って頂けませんか?」


「えっと……あ、はい。」



ルイス様とアリスが良いからこっちに乗れと目で訴えている。俺に選択肢は残って無かったのだ。

俺が馬車に乗り込むと、馬車はゆっくりと進みだした。


隊列はこんな感じだ。

馬車は3台並んでおり、1台目はルイスの奥さんと娘が乗っているみたいだ。2台目は俺とアリスとルイス様の3人で、3台目はレリウスとサムだ。俺も切実にそっちに乗せて欲しい……

そして馬車の前に4人、後ろにも4人、各馬車の左右に2人ずつの騎士が馬で並走していた。何この物々しい護衛は。偉い人にでもなった気分だぜ。


ある程度馬車が移動したところで、ルイス様が話しかけてきた。



「改めて礼を言わせてもらう。ありがとう。」


「いえ、アリス様の頼みもありましたし、お礼ならアリス様へ。」


「それでもだ。シュウ殿が居なければ、妻と娘の命は無かっただろうしな。」


「まぁ、無事で良かったです。とりあえず約束は守ってくださいよね、もちろん奥さんと娘さんにもね。」


「ああ。もちろんだ。」


「なら良いです。」


「……シュウ様は何故それほどの力もお持ちなのに隠そうとするのですか?」


「いや、下手に力を見せると面倒事に巻き込まれますし、色々と面倒なことになりそうですからね。」


「「・・・・」」


「無理じゃないか?」


「手遅れですわよね?」



いや、分かってはいるよ? こうしてアリスの事情に巻き込まれているしな。

分かってるけど抵抗したくなるんだよ!! 俺は悠々自適な生活を送りたいんだ!!



「まぁ、今から巻き込むんだけどな。」


「……馬車降りて良い?」


「諦めてくれ。」


「せめてレリウスとサムを呼んでくれ……」


「あの2人を巻き込むわけには。」


「俺は良いのかよ!!」


「シュウ様ですし。」


「シュウ殿だしな。」


「ガッテム!!」



何で拒否権が無いんだよ! 俺、まだ7歳だよ? 泣いちゃうよ? 誰か助けてくれ~!!



「それでだ、今回の騒動の主犯だが……それはポンプティ-男爵だ。」


「あーあー聞こえない!!」


「うるせー! 話が出来ねーじゃないか!」


「シュウ様、うるさいです! 少し静かにしてください!!」


「……はい。」



怒られてしまった。だけど聞きたくないんだってばよ!



「理由を聞かせて頂けますか?」


「俺も人質を取られて無理やり命令されて口だから、理由までは聞かされては居ないが、予想は出来る。」


「それはどういった理由……って、まさか! プティ様のことでしょうか。」


「おそらくは。」


「なら問題有りませんね。私はもうチェシェー侯爵様へと嫁ぐつもりは無くなりましたので、これで解決です。」


「それだとリルディル伯爵様が困るのでは?」


「もう決めたことです。お父様には私から言っておきます。」


「でも……」


「この話は終わりです。良いですね!」


「……承知しました。」



とりあえず話は終わったみたいだな。

えっと、とりあえず内容を整理すると、アリスとプティ男爵令嬢は、チェシャー侯爵様のお妃候補で、どうしてもチェシャー侯爵様と結婚させたいバンプティー男爵家がアリスの殺害を依頼したと、そんな感じかな。


だけど、詰めが甘いと言うか、何で最初の埋められた時に殺しておかなかったんだ?

最初に殺しておけば面倒事も怒らず楽だと思うんだけどな。



「なぁ、ちょっと良いか?」


「シュウ様、どうしたのですか?」


「何でアリスは殺されないで埋められていたんだ?」


「それは……」


「最初に殺しておけば、わざわざ暗殺者やルイス様を差し向けたり、そういった余計な仕事をする必要も無くなると思うんだけどな。」


「これは俺の予想だが、アリス様を埋めたのはロゼッタ嬢だな?」


「はい。」


「恐らくだが、俺と同じく何かしら脅迫されて、アリス様の殺害を依頼されたのだろう。

 だが、お世話になっているアリス様を殺す勇気までは持てず、行動を不能にして埋めるのが精いっぱいだったのだろう。」


「普通でしたらそれでお終いでしょうが、相手が悪かったですね。何しろ助けて頂いたのがシュウ様ですし。」


「だな。俺もそう思う。」



アリスとルイス様がウンウンと頷きあっている。まぁ、分からなくも無いけどな。俺も引くくらいのチートだと思ってるしな。

まぁ、これでアリスが婚約者候補から外れるってことだし、今後は大丈夫になるってことで良いのかな?

ならアリスをリーガンの街まで送ればミッションコンプリートだな!


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― 新着の感想 ―
[一言] 「これは俺の予想だが、アリス様を埋めたのはロゼッタ嬢だな?」 何日も埋められていたのに、酸素が良く持ったもんです。
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