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172 引き渡し


少ししてルイス団長が目を覚ました。



「お、俺は……」


「お目覚めですか。」


「!?」



ルイス団長は勢いよく起き上がろうとしたが、体の違和感に気が付き停止した。

ふぃ~……そのまま起き上がってたらマズイことになっていたかもしれない……危なかったぜ。



「気分はどうですか?」


「くっ! 殺せ!」



くっころ頂きましたが、女騎士じゃないのが残念だ。



「そのまま力を入れれば、ご希望通りに死ねますよ?」



とりあえず言ってみたが、実行しないと言うことは死ぬ気は無いみたいだ。だったら言うなよな。

さて、落ち着いたところで尋問タイムと行きますか。



「何で俺たちを襲ったんだ? しかも盗賊の格好までして。」


「・・・・」



どうやらそう簡単には言う気は無いみたいだ。そりゃそうか。



「それで、コレどうするの?」



とりあえずレリウスに振ってみた。



「ど、どうしようね。

 アリス様いかがいたしましょうか?」


「出来れば連れて帰りたいです。」



案の定そう言うとは思ったよ。でも、また何の情報を得られないで殺される可能性も有るんだよな。ふむ……



「一つ良いか?」


「・・・・」


「まぁ、話さないならそれでも良いけど、俺達は前に黒装束に襲われて、同じように無力化して捕まえたんだけど、その日の夜に全員牢屋で殺されたんだよね。」


「・・・・」


「この状況って似てると思わない? もし話をしてくれるのなら少し考慮してあげても良いと思うんだけど、どうかな?」


「・・・・」


「じゃあルイス団長以外の人でも良いよ。有力な情報を教えて貰えるのなら、このまま逃がしてあげるよ。」



まぁ、情報を漏らした人物が助かるとは思わないけどな。



「・・・・」


「まあいいや、俺的にはアリス様を家まで送り届けたら終わりだからな。後は向こうの偉い人に頑張ってもらおう。」


「シュウ様、酷いです。ずっと一緒に居てくれないのですか?」


「何でだよ。依頼が終わったら帰るに決まってるだろうが。」


「お父様にあの夜のことをお話ししないと……」


「うぉい! ちょい待てや!」


「何でしょうか?」


「勘弁してください。この通りです。」



俺は土下座を実行するのでした。



「どうしましょう♪」



アリスは楽しそうだ。くそっ! こうなったら……



「れ、レリウス。と、とりあえず移動しない?」


「そ、そうだね。国境を越えたらすぐにサンスタの街が有るって言うし、とりあえず進もうか。」


「だな。」


「じゃあ、ゴーレム作成!」



問題を先送りにすることにした。何だよ文句有るのかよ!

とりあえず前と同じく埋まっている人たちについては足だけゴーレムを作ることにした。ルイス団長だけは嫌がらせも含めてだが、力を使わせないためにも体力を消耗さる意味も有るので自分の足で歩いて貰おうと思う。と言う訳で、ロープを使ってルイス団長を馬車を結び付けた。



「さあ出発だ!」


「おい! これは何だ?」


「頑張って走ってついて来て下さいね。もし途中で止まったり、転んだりしたら死にますよ?」


「ふざけんな!」


「では、出発~!」


「待てやコラ!」



俺は無常にも馬車を走らせるのだった。さすがのルイス団長も死にたくないため頑張って走りだしたのだった。




・・・・




「すげーよな、アレ。」


「だね。」


「かれこれ1時間以上もあのペースで走ってるよ。」


「あ、あの、シュウ様? 少し速度を落とした方が良いのでは?」


「おーい、話す気が有るなら速度を落とすけど、どうする?」


「クソガキが! 後でぜってー殺す!」


「まだまだ元気みたいだ。じゃあこのまま行くね。」


「ふざけんな!!」



なんだかんだで結局サンスタの街まで無事に到着するのだった。



「ぜェー! ぜェー! ぜェー!」


「さすがに会話が出来るほどの体力は無いか。まぁ、計画通りだな。」



4時間ほど走りっぱなしだったが、よくもまぁ死なずについてこれたものだ。ある意味尊敬だな。

さて、門の警備兵に何て説明しようか悩むところだ。



「お前たち! その後ろの奇妙なのは何だ!」



やっぱり言われたか。と言うかセリフも全く同じだな。受け答えマニュアルでも有るのだろうか?

とりあえずレリウスが前に出て説明をするみたいだ。



「リルディル領に入る手前で盗賊に襲われましたので返り討ちにしました。まぁ、中身はリルディル第五騎士団みたいなのですが……」


「はっ! 何を馬鹿な事……って、ルイス騎士団長様!? 本当に第五騎士団なのか!?

 ば、馬鹿! お前たちルイス騎士団長様をさっさと離すんだ!」


「先ほども言いましたが僕たちは盗賊に襲われたので捕まえただけなんです。」


「そんなこと有る訳無いだろう。良いからさっさと解放しないと不敬罪で……いや、もう手遅れかもしれんが、とりあえず離すんだ!!」


「いえ、本当に襲われて……」


「ええい! 埒が明かん! お前たち、こいつらを押さえつけろ!」


「「「「はっ!」」」」


「待ちなさい!! その人が言っているのは本当のことです!」



その時、アリスが馬車から出てきてそう言った。



「何を馬鹿な……アリス様!? 何でこんなところに!?」


「詳しくは言えません。ですが、この方たちは私をここまで送っていただいた冒険者です。失礼なことを言うのであれば、私に対しての侮辱と判断します!」


「も、申し訳ありません。ですが、本当にルイス騎士団長様が襲ったのでしょうか?」


「そう言ったでは無いですか。それとも私の言葉も信用ありませんか?」


「め、滅相も有りません。お、おい! ルイス騎士団長様を牢へとお連れ……連れていけ!」


「「「「はっ!」」」」



こうしてルイス騎士団長達、第五騎士団を引き渡すことが出来たのだった。


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