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170 ブルーバード


朝食を用意した場所まで行くと、サムとレリウスが固まっていた。まさかまた襲撃!? 魔法か何かで動きを封じられた!?



「アリス! 下がって!!」


「はい!」



アリスを下げさせて辺りを調べてみるが、敵らしい反応は見当たらない。もしかして俺の知らない何かしらの隠蔽魔法なのかもしれない。

その時、レリウスの首がギギギと動いてこっちを向いた。



「シュウ君……」


「レリウス大丈夫か! 何かしらの攻撃を受けたのか!?」


「ごめん……これ……」



レリウスはそう言うと、手に持っていた物を見せてきた。

白い何か……って卵の殻!? と言うことは……テーブルの上には木皿が有り、その上には半分ヒナになりかかった物体が乗っていた。

どうやら勝手に置いてあった卵を割って食べようとしたらしい。まぁ、言わなかった俺も悪いのだが、卵ってサルモネラ菌とかの関係で生で食べたら駄目なんじゃないの?



「分けておいたハズなのに何で割ったの?」


「いや、サムがゆで卵だって言ったし、丁度4個有ったから……」


「ちょ! レリウス!」


「なるほど……」



卵は高級品だ。滅多に食べられるものじゃないため、食べてみたくなった気持ちも分からなくもない。だけとわざわざ別の場所に分けておいた理由も理解して欲しかったな。



「で、それ食べるの?」


「「ごめんなさい!!」」



どうやら食べないらしい。俺もいらん。

仕方がないので地面に埋めてあげることにした。なむ~



「シュウ様、その卵はどうなさるのですか?」


「う~ん。どうしよう……」


「ちなみに何の卵ですの?」



そーいや何の鳥なんだろう?


-----------------------------------------

【ブルーバードの卵】

ブルーバードの卵。

-----------------------------------------


ブルーバードって車かよ! ブルーバードってことは訳すと青い鳥か。確かに逃げて行った親鳥は青かったな。

後、青い鳥って元の世界では幸運を呼ぶ鳥だったっけ? もう少し調べてみるか。


-----------------------------------------

【ブルーバード】

青い美しい羽根を持つ鳥で、幸運をほんの少しだけ呼ぶことがある。

-----------------------------------------


ほぅほぅ、本当に幸運を呼ぶ鳥みたいだ。



「ブルーバードの卵みたいだ。」


「「「ブルーバード!!」」」



俺が答えると、3人がハモって叫んだ。



「そんなに驚くことなの?」


「シュウ君、何を言ってるんだい?」


「お前、知らないのかよ。」


「シュウ様、ブルーバードは幸運を呼ぶ鳥と言われていまして、なかなか見つけることが出来ない貴重な鳥なのです。生きているのを見つけるのは、ほぼ不可能とされておりまして、見つけられても死体ばかりなのです。それなのに生きた卵……凄すぎます。」



そこの木に居ましたが? そんなにも珍しいのか……それなのに2匹も殺しちゃったけどな。



「えっと、これ、どうしたら良いかな?」


「売ろうぜ!」


「僕も売るのに賛成かな。1匹殺しちゃったけど……」


「まぁ、俺も1個割っちゃったから同罪だけどね。だから分けておいたんだけどね。」


「そうだったんだ、ゴメンね。」


「まぁ、済んだことだし、良いよ。」


「あの、シュウ様、出来ればその卵……欲しいです。」


「良いですよ。」



俺は卵を1個手に取ると、アリスへと渡した。



「良いのですか?」


「はい。」


「ありがとうございます。後でお父様に支払ってもらいますね。」


「いや、アリス様にあげ……献上したものなので、良いですよ。」


「……ありがとうございます。」


「じゃあ、残り2個は売ろうぜ!」


「構わないけど、幸運を呼ぶんなら持ってた方が良いんじゃないの?」


「まぁ、幸運と言うのも迷信みたいだし、売っても良いんじゃないかな。」


「そうなの?」


「シュウ様違いますわよ! 実際にブルーバードのはく製や羽飾りを持ってらっしゃる人で、幸運に見舞われた方も居らっしゃると聞いております。」


「へぇ~」


「何! じゃあ俺達で……」


「サムに育てられるの? と言うか冒険者やってる僕達には無理だと思うよ。」


「うぐっ!」



まぁ、生き物を飼うってのは色々と難しいからな。



「でしたら、私の家で全て買い取らせてもらいます!」


「俺は構わないけど、サムとレリウスもそれで良い?」


「構わないよ。」


「俺もそれで良いぜ。」


「ありがとうございます。」


「……なぁ、はく製でも効果が有るってことは、さっき埋めたヒナでも同じ効果が有るんじゃね?」


「さすがにそれはちょっと……」


「サム……」


「掘り返すのは可哀そうです。」


「あーうん、そ、そうだよな。」



どうやら諦めてくれたみたいだ。さすがに死体に鞭打つみたいなことはねぇ?

その後は朝食を取り、後片付けをした後にこの場を出発するのだった。


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