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167 暗殺者?


「ん?」



警備兵の詰所を出たところで、ふと、こちらを見られている様な視線を感じた。



「サム。」


「あ? どうした?」


「俺達って、監視されてない?」


「はぁ!?」



俺がそう言うと、サムが辺りをキョロキョロと見回した。



「あっ! 馬鹿!」



時すでに遅し。サムが見回したのを知ると、監視していた視線が消えてしまった。



「何が馬鹿だ!」


「何のためにサムにだけこっそり声を掛けたと思ってるんだよ。

 サムがキョロキョロしたせいで、監視していた気配が無くなっちゃったじゃんかよ。」


「マジかよ。」


「マジ。」


「……すまん。」


「まぁ、やっちゃったことは仕方ない。レリウスと相談しよう。」


「そうだな。」



とりあえずレリウスに相談することにした。アリスも自分のことだし聞いてもらうことにした。



「レリウス、アリス様、少し良いでしょうか?」


「どうしたんだい?」


「何でしょうか。」


「実は、先ほど詰所を出たところまで、俺達は監視されていました。」


「「!?」」


「悪ぃ、俺がミスったせいて逃げられちまった。」


「そうか。その監視者って、例の仲間を殺した奴なのか?」


「それは分からないけど、仲間なのは間違いないと思う。」


「で、レリウスよぉ、これからどうすんだ?」


「正直に言うと、シュウ君が言ったことが本当ならば、暗殺ギルドを相手にするのは僕達には荷が重すぎると思うんだよね。」


「・・・・」



アリスもそれが分かっているからか、口を結んで何も言わなかった。



「だけど、一度受けた依頼を途中で放棄するのも、冒険者としてやっては駄目だと思うんだよね。」


「そうは言っても、暗殺ギルドだろ? 無理じゃね?」


「うん。普通なら無理だと思う。でも、僕達にはシュウ君が居るし、何とかなるんじゃないかな?」


「だな。」


「それでは、引き続き依頼を受けて頂けるのですね!」


「はい。」


「まかせろ! シュウばっかりに良い恰好させねーぜ!」


「まぁ、出来る範囲で頑張るよ。」


「ありがとうございます!!」



それを聞いたアリスは顔を上げて、うれしそうな顔をした。

アリスにそんな顔をされちゃ頑張らないとな。



「レリウスよぉ、先ほどの報酬だけどどうするんだ?」


「えっと、4等分で良いのかな?」


「いえ、私の分は除いていただいて結構です。」


「良いのですか?」


「はい。」



どうやらアリスは要らないらしい。と言うと3等分か。



「そうすると、1人銀貨、大銅貨、銅貨、大鉄貨、鉄貨が全部6枚ずつだな。余った鉄貨2枚はパーティ資金に回すで良いのかな?」


「うん。それで頼むよ。」


「おう。」



細かいのが無かったので、レリウスとサムに協力してもらって何とか分けることが出来た。



「うひょ~ 金持ちになったぜ!」


「だね。」


「レリウス、新しい武器でも見に行かねーか?」


「良いねぇ。」


「良いねぇじゃねーよ、アリス様の護衛どうすんだよ!」


「「あっ……」」



どうやら臨時収入により大金が入ったせいで、少し浮かれたみたいだ。



「とりあえずさっきの件も有るし、この街に居るのも危険かもしれない。さっさと先に進もうよ。

 買い物は依頼が終わってからにすれば良いしね。」


「そ、そうだね。」


「わりぃ、その通りだよな。」



そうと決まればさっさと移動することにしよう。



「シュウ君、買い物とかは大丈夫かな?」


「まだ材料は残っているし、最悪次の街で買えば良いし、問題無いよ。」


「なら、さっさと出よーぜ。」


「だね。」


「では、アリス様。出発しますので馬車に乗って下さい。」


「わかりました。」



俺たちは馬車に乗り込むと、ガルスの街を後にするのだった。


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