166 結果
朝になり目が覚めた。
「2人もおはよう。」
「おう。」
「おはよう。」
どうやら全員同時に起きたみたいだ。
「昨日は、結局連絡が来なかったな。」
「だね、さすがに尋問するのに時間がかかったんじゃないかな。」
「後は、尋問で何も分からなかったから連絡が無かったのかもしれないね。」
「確かにそう言うこともあったかもしれないね。」
「そんなことより飯行こうぜ。」
「はははっ、サムは相変わらずだね。
そうだね、アリス様を起こしたら食べに行こうか。」
俺たちは着替えて準備をすますと部屋を出た。
「じゃあ、僕たちは先に食堂へ行ってるから、アリス様をお願いするよ。」
「はいよ。」
やっぱり俺が起こしに行くんだ。別に良いけどね……
俺はアリスを起こすために部屋へと向かうのだった。
コンコン……
「アリス様、起きてますか? 朝ですよ。」
「あ、はい。今出ます。」
どうやら今日は起きていたみたいだ。
今回は鍵を持ってないので、大人しく扉の前で待つ。
ガチャ。
「お待たせしました。」
「レリウス達が待ってるから食堂行くぞ。」
「はい。」
食堂へ行くとレリウス達が待っていた。
「アリス様、おはようございます。」
「おはようございます。」
「レリウス様、サム様、おはようございます。」
お互い挨拶を済ませてテーブルに着く。
朝食はすでに用意されていたが、パンとベーコンと卵、サラダにミルクって前と全く一緒だった。
もしかしたら、この宿の朝食は毎日がこのメニューなのかもしれない。
とりあえず頂くことにした。
「さて、これからの予定だけど、まずは警備兵の詰め所に行くで良いよね?」
俺たちは頷いておく。
「情報にもよるけど、その後は予定通りにリルデイル領に向けて出発することになると思うけど、食料とかその辺は大丈夫?」
とりあえず多めに買ってあるから問題は無い。最悪次の街で買うでも良いしな。
「大丈夫。」
「じゃあ、準備が出来たら警備兵の詰め所に向かうことにしよう。」
「「おう。」」
「はい。」
俺たちは部屋へと戻ると、出発の準備を済ませ宿を後にした。
警備兵の詰め所は、門のすぐ脇にある建物だったので、扉をくぐると、何やら慌ただしかった。
忙しそうなところに声を掛けるのに少し躊躇したが、とりあえずそこに居た警備兵にここに来た目的を話すことにした。
「すいません。昨日ここに連れてこられた黒装束の件で来ました。」
「あぁ、君たちがそうか。兵長を呼んでくるから少し待っていてくれ。」
「わかりました。」
テーブル席が有ったので、座らせて待つことにする。
少しして、警備兵の人が別の人物を連れて戻ってきた。あの人が兵長なのかな?
「待たせたな。」
「いえ。それで黒装束達は何か吐きましたか?」
「それがな、ちょっと厄介なことになったんだ。」
「何か有ったのですか?」
「実はな……」
兵長の話によると、昨晩の尋問では何も情報が得られなかったため、一度尋問を止めて、後日じっくりと問い詰めることにしたらしい。
牢屋に閉じ込めて、朝に朝食をもって来てみたら、全員が殺されていたとのことだった。
どうやら暗殺ギルドが口封じのために殺したのではないか? とのことだった。なるほど、あの慌ただしかったのはこれが原因だったのか。
「どうやって殺されたんですか?」
「どうやったのかは分からないが、全員が何の抵抗も無しにのどを切られて死んでいたよ。
刃物系は全部没収していたから、外部から侵入者による犯行なのは間違いないだろう。」
「えっと、この場合、どうなるんでしょうか?」
「本来であれば、盗賊として討伐した場合は、1人大銅貨1枚の報奨金になる。
今回は、生きて連れてこられたので奴隷に落とされ、その売値が君たちの手取りとなるのだが、全員が殺されてしまった。」
「参考にですが、奴隷になった場合はどのくらいの金額になるんですか?」
「賞金首は居なかったから、1人銀貨1枚が相場だな。」
「そうですか。」
生きているか死んでいるかで10倍もの差が有るのか、結構でかいな。
レリウスとサムもそれを聞いてがっかりしている。
「だが、今回は我々の手落ちによるミスのため、奴隷として売った金額を報奨金として渡そうと思う。
情報は何も得られなかったお詫びも含めてだな。」
「本当ですか!」
「ああ。」
「「「やった!」」」
黒装束が20人だから、銀貨20枚だ。これは嬉しい。
まぁ、情報は得られなかったが、暗殺ギルドが動いているだけ分かっただけでも十分だ。
アリスの顔見知りも居たことだし、おそらく依頼者は、身内の誰かだろう。その誰かが分からなかったのはちょっと痛かったけどな。
こうして襲撃事件は、報奨金を得たことで終わり告げたのだった。




