表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

164/402

164 黒装束


「シュウ君は、相変わらず凄いよね。」


「だな。」



2人が呆れているが、言われたとおりに無力化したのに……納得が行かないぜ。



「さて、お前たちは何者だ? そして何の目的で襲ってきたんだ?」


「・・・・」



返事は無いか……そう簡単には言わないよな。



「で、こいつらだけど、どうするの?」


「どうしようね。」


「いっそ殺すか?」



サムの脅しの言葉に黒装束は一瞬ビクッと反応した。まぁ、そうなるよね。

あ、サムの顔があくどい顔になってる。



「よし、話をしたヤツだけ助けてやろう。どうだ?」


「……依頼者や仲間を売るつもりは無い。殺すなら殺せ。」


「こりゃ無理そうだな。」



サムがさじを投げた。諦めるのが早いよ。もうちょっと頑張ってくれ!

とりあえず雇い主のアリスにでも聞いてみるか。



「アリス様に決めてもらおう。」


「そうだね。」


「それが良い。」



俺は馬車のドアをノックする。



「アリス様、賊を無力化しました。相談したいことが有るので、出てきてもらえますか?」


「・・・・」



反応が無い。



「アリス様?」



もう一度呼びかけてみたが、やっぱり返事は無かった。もしかして賊が中に?



「アリス様! 開けます!」



バン!



俺は扉を勢いよく開けた!



「すぅ~、すぅ~、すぅ~」



なんと、そこには幸せそうな顔をして寝ているアリスが居た。あの騒ぎで起きなかったのかよ……



「アリス様、起きてください。」


「すぅ~、すぅ~、すぅ~」


「ア・リ・ス・さ・ま!!」


「んっ……あれ? シュウ様? と言うことは、とうとう夜這いに来ていただけたんですね! 嬉しいです!!」


「違います。賊が出たので、どうするかを判断してもらうために来ました。」


「ぞ、賊ですか!? に、逃げなくちゃ!」


「賊はすでに無力化したので大丈夫です。とりあえず外に出てきてもらえますか?」


「わかりました。少しお待ちになって下さい。」


「はい。」



まぁ、今の格好が寝るための薄着だからな。扉を閉めて馬車の外でアリスを待つ。



「お待たせしました。それで賊の方は?」


「こちらになります。」



レリウスが指をさした方向に首だけの黒装束が有った。



「ひっ!」


「あ、これは埋まっているだけなので、生首では無いですよ。」


「あっ、そうなんですね。ビックリしました。」


「話を聞こうとしましたが、口を割らないため、僕達だけじゃどうした良いのか判断が付かなかったので、アリス様の意見を頂こうと、シュウ君に呼んできてもらいました。」


「なるほどそうだったんですね。そうですね……もしかして知ってる顔も有るかもしれませんし、この黒装束を取ってもらえますか?」


「わかりました。サム、シュウ君、手伝ってくれ。」


「おう。」


「はい。」



俺たちは手分けして黒装束の覆面を剥がしていくのだった。

もちろん黒装束は抵抗しようとしたが、動けないので何の問題も無かった。



「それで、見知った顔はありましたか?」


「……あの方と、この方は、館で見たことが有りますね。話したことは無いので、どういった方なのかは不明ですが。」


「ちっ!」



顔バレしたからか、舌打ちをした。

そうか、館に居たと言うことは、犯人は身内になるのか? いや、他の貴族や国の間者って可能性も有るのか。でも、何でアリスを殺そうとするんだろうな。

ふと、アリスの方を見ると、アリスと目が合った。アリスが顔を赤くして両手で頬を挟んでイヤンイヤンしている。いや、そう言った意味で見てた訳じゃないから。



「それで、この賊の対応はいかがいたしましょうか。」


「……全員を連れていくことは出来ますか?」


「全員ですか? えっと、シュウ君どうだい?」


「出来なくはないけど、本当に全員連れて行くの?」


「アリス様の希望だし、仕方ないよ。」


「犯罪奴隷にすれば金になるし、良いんじゃねーの?」


「言う方は気楽で良いよな。」


「シュウ様、頑張ってください。」


「はい。」



さて、どうすれば良いだろう。

ロープで数珠繋ぎにして馬車で引っ張る? ロープを切られて逃げられないか? それに20人も居るから列が長くなるし……

いっそのこと荷馬車を作ってそこに放り込むか? いや、けん引する馬が居ないな。だったらゴーレムを作ってけん引させる……ふむ。良いかもしれない。

ゴーレムやオートマタみたいな人形とかに興味が有ったしな。まずはゴーレム作成のスキルを習得してみよう。創造魔法で創造してみる。


-----------------------------------------

名前 :シュウ

年齢 :7

種族 :神族

状態 :普通


LV :8

HP :61/73

MP :143/143


STR:20

VIT:17

AGI:24

INT:28

DEX:18

LUK:99999


スキル:

創造魔法、全属性魔法、召喚魔法、魔力制御、アイテムボックス(改)、完全無効、状況認知(改2)、思考制御、言語理解、偽装、オート狙撃(改2)、錬金術、剣術


称号 :異世界転生者、狙撃手、クッキングマシーン

-----------------------------------------


あれ? 出来たような気がしたんだけど、スキルに追加されて無いな……もしかしてゴーレムって土属性だから、全属性魔法に統合されたとかか? あり得るな。



「とりあえず使ってみれば分かるか。ゴーレム作成!」



魔法を唱えると、地面から1体の土人形が盛り上がってきた。



「なるほど、こういう仕組みなんだな。」



実際作ってみたことで、ゴーレム作成スキルの使用感が分かった。まず、ゴーレムは何もないところからは作れない。逆に素材さえ有れば作れるってことだ。

例えば、鉄が有ればアイアンゴーレム、水が有ればウォーターゴーレムとかだ。ウォーターゴーレムが何の役に立つのかは知らんが、とりあえずどんなものでもゴーレムに出来るみたいだ。後は俺の想像力でどんな形にも作れるって感じだな。

今回は土と言うか固めた岩をベースに作ってみることにした。



「ゴーレム作成!」



埋まっている黒装束がそのまま盛り上がり、足が生えてきた。今回はゴーレムの手は必要ないので足だけだ。

見た目は歩く寝袋、もしくは、ちょっと通りますよのAAキャラみたいな感じだ。



「な、なんだこれは!?」

「まさかゴーレム? こんなの見たこと無いぞ!」



そりゃこの世界のゴーレムとは全く違うだろうし、知らないのも無理はない。

とりあえず物は試しに4列に整列させてみた。



「うん、思った通りと言うか、命令通りに動くんだな。」



とりあえず馬車の後ろを、4列のままで着いてくるように命令しておいた。



「アリス様、こんな感じでどうでしょうか。」


「さすがはシュウ様ですね。」



どうやらアリスは喜んでくれたみたいだ。



「なぁ、ゴーレムってこんな感じなのか?」


「さあ? 僕も初めて見るから何とも……」


「「まぁ、シュウ(君)だしな。」」



レリウスとサムが何やら話していたが、妙な納得をしていた。解せん。

ふと気が付くと、日が昇り始めてきていた。



「あ、朝食作ってないや。」



黒装束の襲撃事件は無事解決したが、すっかりと日は登ってしまったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ