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161 野営の準備


「シュウ君、お疲れ様。」


「シュウ様、ありがとうございます。」



2人がご苦労様を言ってくれたが、サムだけは様子が少し変だ。



「シュウ、ちょっと良いか?」


「何?」


「途中で何度か索敵に引っかかったんだが、その後すぐに消えた。あれはシュウの仕業か?」


「あー、ゴブリンとかがいたからね。大した相手じゃなかったから倒しておいたよ。近づかれるのも面倒だったしね。」


「そういうことか。なら良いか。」


「サムも索敵してくれてたんだ。ありがとね。」


「ふん。」



どうやらサムはきちんと自分の仕事はしていたみたいだ。お礼を言ったら耳を真っ赤にしてそっぽ向いていたけどな。

レリウスはって? こういったのは向き不向きが有るからな。レリウスの出番は敵が出たときだから問題ない。



「そーいや、サム達って馬車の中でどんな話をしてたんだ?」


「大したことは話してねーぞ。冒険の話とか、街での暮らしとかそんな感じだ。あとはアリス様の生活とかも聞いたな。」


「ふ~ん。」



俺の時はずいぶんと違うな。まあいいけどさ。



「さて、野営の準備をしようか。サムは薪を拾ってきてくれ。シュウ君は夕食の準備を頼むよ。僕はアリス様のテントを張るね。」


「おう。」


「あ、レリウス。アリス様のテントだったら必要ないよ。」


「? どうしてだい?」


「あの馬車、実はちょっとした仕掛けが有って、中で寝られるんだ。」


「へぇ~ そうなんだ。」


「すぐに終わるし、先にやっちゃおうか。」


「手伝うよ。」


「じゃあ、俺は薪拾いに行ってくるわ。」


「お願い。」


「じゃあ各自行動開始しよう。」


「「おー」」



俺はレリウスを連れて馬車へと向かう。



「それで、どうするんだい?」


「足のところを持ち上げると支えの部分をこう取り出してと……こんな感じかな。」


「なるほど、こんな風になるんだね。もしかしてこっち側も同じなのかな?」


「そうだよ、やってみたら?」


「よし!」



後ろの座席はレリウスが行った。これで馬車の中に簡易ベットが完成した。

少し凸凹になっているが、クッションになっているので寝るには十分な感じだ。

それでも気になるのであれば隙間に布を詰めれば完全なフラットになる。その辺はアリスに聞いてみれば良いか。



「じゃあ、俺は夕食を作りに行くよ。レリウスはどうするの?」


「アリス様に確認した後は、僕たちが寝るための準備をしてくるよ。」


「うん。じゃあ後はよろしく。」



俺は夕食作りをすることにした。

まずは土魔法でかまどと作業台を作ると、メニューを考えることにした。



「さて、何を作ろうかな。」



折角だし美味しいものを食べてもらいたい。と言うか俺が美味しいものを食べたい。

とは思っていても野営だから大したものは作れないんだけどな……よし、これにしよう!

材料は丸ネギ、ショウガナイ、ホーンラビット肉、ウルフ肉、トゥメイトウにレトゥース、後は白パンだ。


まずは丸ネギをみじん切りにして飴色になるまで炒めてから粗熱が取れるまで放置。

その間にホーンラビット肉とウルフ肉をみじん切りにしたものを4:6の比率にして塩コショウを振ってよく混ぜる。

さらに粗熱が取れた丸ネギのみじん切りと、すり下ろしたショウガナイを加えてさらに良く混ぜる。

牛乳が無いから少々味的に微妙になるが水で代用する。細かくした白パンに水を含ませ良く絞った後にさらに加えてよく混ぜる。

後は適当な大きさを手に取り、左右の手でキャッチボールを行うことで中の空気を抜いていく。

あとは形を整えたらパテの完成だ。


鍋にさきほど少しだけ切り取っておいたウルフ肉の脂身を入れて火にかける。

十分に熱した鍋に先ほどのパテを投入。



ジュ~~~~~~~~!!



ある程度両面焼いた後は火から外し、鍋に蓋をして粗熱で処理をする。

十分に熱が通ったら皿に移しておく。

次にソース作りだ。細かく刻んだ丸ネギ、トゥメイトウ、ニンニンニクを炒め、塩コショウで味付けをして完成だ。


最後に白パンを半分に切り、軽く火で炙った後は、千切ったレトゥース、輪切りのトゥメイトウと焼いたパテを乗せて、たっぷりのソースをかけたら残り半分の白パンを乗せたらハンバーガーの完成だ。

少々不格好だがご愛敬だろう。あとはいつものスープも作っておこう。



「完成っと!」



土魔法でテーブルと椅子を作り、料理を並べているとサムが帰ってきた。



「戻ったぞ。」


「サム、お帰り。どうだった?」


「とりあえず、こんだけ薪が有れば一晩は持つだろ。」



そう言って一抱えの薪をその場に置いた。



「あー腹減った。飯にしよーぜ。」


「そろそろレリウスの方も終わっただろうし、呼んでくるよ。」


「任せた。」



俺は野営の準備をしているレリウスの方へと向かう。

馬車のすぐ脇に焚き火用の竈と、落ち葉によるベットが作られていた。



「レリウス、夕食が出来たぞ。」


「ちょうどこっちも終わったところだったんだ。ナイスタイミングだったよ。」


「サムもお腹を空かせているみたいだし、食べようよ。」


「わかった。アリス様に声をかけてすぐに向かうよ。」


「よろしく。」



レリウスに声を掛けた俺は、アリスを呼びに馬車へと向かうことにした。


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