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146 オーク討伐隊


冒険者ギルドを出て、ようやく一息つくことが出来た。



「そーいや、オーク討伐の方はどうなったんだろう?」



ウィンドウを見て見ると、どうやら冒険者達は座り込んで休憩中みたいだ。

いや、1人の冒険者が中心に立ってており、それを他の冒険者が聞いているってことは、もしかして作戦の説明をしている最中なのかもしれない。

出発している時間から換算すると、現場に到着していてもおかしくない時間だし、きっとそうだろう。


その時、一人の人物、スカウトっぽい感じの冒険者が森から出てきて、先ほど立って説明している人へと近づいた。

何かを話しかけると、説明していた冒険者が剣を抜き、上に掲げて何かを叫んでいる。

すると、周りの冒険者も一斉に武器をかかげて何か盛り上がっていた。

おそらく出陣なのだろう。良いタイミングだったみたいだ。


そして、スカウトらしき人物を先頭に、冒険者達は森へと入って行った。

しばらく進むと、オークの村が見えてきて、スカウトがハンドサインで後方へと合図を送ると進行が止まった。

5人の盾役が前に出て構え、7人の剣士がその左右に分かれ、7人の槍使いが後ろに配置された。

後方には弓矢を持った人が10人、その後ろに8人の魔法使いが配置され、残りは撃ち漏らし防止の為か、後は5~6人でチームを組んだのが控えていた。

おっ! 剣士の中にアランさんと、弓使いの中にエレンさんが居るじゃないか。今は、攻撃を仕掛けるタイミングを待っているみたいだ。


俺は村全体が見渡せるようにドローンを少し上空へと移動させてみると、今、外に出ているオークは10匹程度だった。残りは村の外か家の中にでも居るのかな?

すると、リーダーらしき冒険者の合図で、魔法使い達が一斉に魔法を唱え始めた。



「いよいよか。頑張れ!」



魔法が完成すると、魔法がオークへと飛んでいくと同時に、弓矢持ちからの矢が飛んだ。

魔法の攻撃の対象となったオーク達は即死したみたいだが、矢で攻撃されたオークはダメージは有るものの、まだ生きていたみたいで上を向いて何かを叫んでいた。

追撃の矢が飛んできて、そのオークは倒されたが、家の中からオークがゾロゾロと出てきた。


倒されたオークと同程度のオークが10匹、一回り体が大きいオークが4匹、そして鎧を着たさらに体が大きなオークが1匹現れた。

盾持ちが体の大きなオークと、鎧オークへと向かう。それに続いて剣士と槍使いも向かうみたいだ。アランさんは体の大きなオークが対象みたいで、エレンさんはそれの援護だ。

5~6人のグループは1グループで1匹のオークに対応するみたいだ。あ、1体だけ2グループでタコ殴りか。あのオークだけはちょっとかわいそうだな、


弓矢と魔法の補助も有って、オーク達は次々と倒されていく。

さすがに体の大きなオークと、鎧オークは強いため、戦いに苦労しているみたいだ。

さすがにDランク冒険者は強敵との戦闘には参加出来無いため、後方で周囲を確認している。


エレンさんの矢がオークの右目へと刺さり、その隙をついてアランの一撃が決まった! さすがはアランさんだ!

これでようやく大きいオークの1匹が倒されたぞ! アランさんは他の大きなオークへの援護へと回ったみたいだ。


一方、鎧オークの状況だが、鎧オークの力強い一撃が見事に決まり、盾役の人が1人吹っ飛ばされてしまった。

そのまま倒れてピクリとも動かないため、ここからでは生きているのか判別が付かない。大丈夫だろうか。

ふと、そう言えば回復や支援魔法みたいなのが飛んでこないなと思ったのだが、回復役っていないのだろうか?


そこに後方で警戒していたグループから2人が飛び出してきて盾役の両腕を掴むと、そのまま引きずって後方へ下がって行き、ポーションみたいな物を飲ませていた。

どうやら飲ませていると言うことは生きていたのだろう。良かった良かった。

でも、直ぐに回復する訳じゃないみたいで、直ぐに動くことが出来ずに座り込んでいた。ふむ、ポーションって即効性が有る訳じゃないのか。使うことが有った時は、気を付けることにしよう。


大きなオークは数が減るごとに楽になっていき、次々と倒されていったが、やっぱりと言うか最後に鎧オークだけが残ってしまった。

どうやら特殊固体でかなり強いみたいだな。と言うか、今しがた盾役がもう1人やられてしまい、後方へと下げられていた。


今は盾役3人が頑張って攻撃を防ぎ、槍と弓と魔法でチクチク攻撃してダメージを与えている最中みたいだが、効果は微妙な感じだ。

あっ! また1人、盾役の人が吹っ飛ばされたため、守りが薄くなってしまった。と思ったのもつかの間、さらに続けてもう1人がやられてしまった。これはマズイかもしれない。


リーダーが何かを叫ぶと、後方から撤退を開始したみたいだ。どうやら勝てないと判断したみたいだ。

ただ、最後の盾役に人だけが、この場に残っていた。どうやら他の人の撤退が済むまでの殿を務めるらしい。


さすがは最後まで残った盾役なだけあって、何とか鎧オークの攻撃を1人で凌いでいたが、そろそろ限界みたいで、被弾が増えてきていた。

全ての撤退が完了したあたりで、最後の力を振り絞って鎧オーガを押し返し、その勢いで撤退を開始した……が、押す力が弱かったらしく、全く距離が稼げてなかった。

後はそのまま後ろから切り裂かれ、盾役の人は倒されてしまった。



「くそっ!」



何もできない俺は、壁へと思いっきり拳を叩きつけた。完全無効でダメージが無いハズなのに、叩いた拳がジンジント痛む。

あの人は危険を承知で最後まで立派に役目を果たしてくれた。だからこそ他の人は無事に逃げられたのだ。

今はあの人の勇敢を称えるとともに、冥福を祈ることにしよう。


鎧オークは動く気配が無いため、今のところは撤退した人達を追いかける気が無いのかもしれない。

とりあえず撤退した人達の状況を確認するために、ドローンを移動させることにした。


冒険者達は、無事に森を抜けて街道まで戻ってきていた。そしてリーダーを中心に何かを相談していた。

そこにアランさんとエレンさんが居たのが確認でき、見た感じ怪我も無く無事だったことに安堵した。

そして、話し合いが済んだらしく、アランさんがリーダーとしたエレンさんを含む5人のパーティがガルスの村方向へ歩き出した。あれ? 戻ってこないのだろうか。

そして、残りの冒険者達は、リーデルの街へと撤退を開始したみたいだ。

どうやら今回の討伐に関する情報を、向こうの街へと知らせるために向かったのだろう。これ以上見ていても仕方が無いため、俺はドローンの情報を切ることにした。



「ふぅ……」



今回の討伐は予想外の敵が居たことで撤退したから失敗になるのだろう。

ふと、気が付いたことが有るんだが、明後日、アリスを連れてこの街道を進む予定だったよな?

討伐が失敗したとなると、指名依頼の件は大丈夫なのか? まぁ、明日の朝には戻ってくるだろうし、明日の依頼の説明でハッキリするだろう。

俺は考えることを放棄して、孤児院へと帰ることにした。


孤児院に到着した俺は、孤児院長へ護衛依頼の件を報告しに行くことにした。

孤児院長室前までやってきたのでノックする。



コンコン……



「どうぞ。」


「失礼します。」



中に入ると、孤児院長はソファに座ってくつろいでいた。今は休憩中みたいだ。



「まずは座りなさい。」


「はい。」



俺は孤児院長の対面のソファへと座る。



「それで、何の用かしら?」


「実は指名依頼を受けることになりまして、リルディル領まで護衛に行くことになりました。」


「そうですか。まぁ、シュウなら問題無いでしょう。

 それに、貴方はもう自由にして構わないと言ったはずです。」


「確かにそう言われましたが、住まわせて頂いているのに何も言わないのもアレですしね。」



俺がそう言うと、孤児院長は一つ溜息をついた。



「まあ良いでしょう。それで、新しく住む場所は見つかりましたか?」


「あっ!」



すっかり忘れてた。と言うか探すこと自体やって無かったよ。



「まぁ、急いで出て行きなさいと言う訳でも有りませんから、よく考えて行動してくださいね。」


「はい。」


「色々と大変みたいですが、気を付けて行ってらっしゃい。」


「はい。行ってきます。」



俺は孤児院長室を出た。



「真面目に今後のことを考えなくちゃな。」



俺はそんなことを考えながら自分の部屋へと戻るのだった。


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