139 報酬の受け取り
朝になり目が覚めた。
今日はオーク調査の結果を聞くのと、報酬を貰う日だ。
依頼料の上乗せと言ってたし、幾らになるのかが楽しみだ。
朝食を食べた後に冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドに到着したのだが、何やら冒険者ギルド内の様子がおかしいが、何か有ったのかな?
すると、中からイリーナさんの声が聞えて来た。
「リーデルの街とガルスの街の間の森で、オークの村が発見されました!
Dランク以上の冒険者は強制参加となります! 入り口前に集合して下さい!」
「オークの村だって?」
「やべぇ! おれDランクだよ。」
「へへっ、オークか。腕が鳴るぜ!」
どうやらDランク以上は強制で参加させられるみたいだ。
そうか、冒険者のランクを上げると、こういうことも有り得るのか。まぁ、俺はEランクなので、今のところ関係ないけどね。
「よぉ!」
「シュウ君、おはよう。」
「サムとレリウス、おはよう。」
「俺達が調べたヤツが大変なことになってるみたいだな。」
「残念だけど、僕達は参加出来無いけどね。」
「そうみたいだね。もしかして2人とも参加したかった?」
「僕達3人だけなら無理だけど、大勢の冒険者が居るなら参加したいかな。」
「稼ぎ時だろ? 参加するしかねーよな。」
「そうなんだ。」
「シュウ君はどうなの?」
「俺はどっちでも良いかな。」
「まぁ、安全も大事だよね。」
「けっ、臆病者め。」
いや、どっちでも良いって言っただけで、参加したくないとは言って無いぞ? 別に良いけどね。
「Dランクの冒険者は、後方支援を担当して貰います。
Aランク冒険者のバルスさんの指示のもと、Cランク以上が討伐をお願いします。
出発は2時間後ですので、それまでに準備をしてここに戻って来て下さい!」
外で討伐の説明をしていた。
それにしてもAランクの冒険者の名前がバルスさんと言うのか……何となく不吉な名前だな。何事も無ければ良いのだが……
「それじゃ、僕達は報告をしに行こうか。」
「だな。」
「そうだね。」
参加しない俺達にとっては他人事だ。なら目先の報酬を貰いにでも行きますか。
イリーナさんは外で仕切っているので、イザベルさんの所へ向かうことにした。
「次の方どうぞ。」
「オーク調査の報酬を貰いに来ました。」
「待ってたわよ。早速で申し訳無いんだけど、ここだとアレなので会議室で話をしたいんだけど、構わないかな?」
「大丈夫です。」
どうやら会議室での対応となるみたいだ。話の内容が今の討伐に関することだし、仕方ないかな。
案内された会議室へと入り、適当な席に着くと、イザベルさんが話し始めた。
「すでに知ってると思うけど、冒険者ギルドで大々的な討伐が行われることになったわ。
今回の依頼料は、その調査で緊急性を要する重要な調査結果が得られたことから、特別に1人銀貨1枚が支払われることになりました。」
「「「おぉ!」」」
元々、1パーティで銀貨1枚だった報酬が3倍になったってことだ。これは正直言って嬉しい。
「さらに、今回の依頼に限り10回分の依頼達成とし、かつ、Cランク依頼相当と判断させて貰います。」
「えっと、それって、どういう……」
「Eランクだと40回分になるわね。」
「やりぃ!」
「すごい!」
「そうなんだ。」
「あら? シュウ君的には不満なのかな?」
「あ、いえ、不満と言うよりは、実感が沸かないってのが正解かもしれません。」
「私個人的には、あれだけのことを行ったのだもの、ランクを1つ上げても良いと思ったんだけどね~
オークの村を全滅させたって偉業じゃ無いため、さすがに許可は下りなかったわ。」
「いや、それで十分ですって。」
「そう?」
「はい。」
流石にオーク村を全滅させたとなったら、ありがちな話だとAランクとかになるかもしれないからな。パーティ単位だったらBかな?
まぁ、そんなことになったら変に目立ちそうだから、これで良いのだ。
「これで報告は終わりだけど、何か聞きたいこととか有るかな?」
「あの、僕達はオークの村の討伐とかに参加することは出来ないのでしょうか?」
「あ、俺も参加したいです。」
「あら? シュウ君は参加しなくても良いの?」
「俺は、どちらでも構わないです。レリウス達が参加するなら参加するって方向ですね。」
「そうなのね。でも、あなた達のランクで参加するのは駄目よ。
だから、ランクを上げてから出直してきなさいね。」
「そこを何とかならないんですか?」
レリウスがさらに問いかけてみると、イザベルさんはため息をついた。
「そう言う風に例外を作ってしまうと、色々と問題が出るのよ。
ギルドマスターが許可を出すならまだしも、私からは絶対出すことは無いわね。」
「そうですか、残念です。」
「ちぇっ!」
「もう質問は無いみたいね。それでは今回の依頼、お疲れ様でした。
私、イザベルが対応させて頂きました。 またのご利用をお待ちしております。」
会議室から出て依頼掲示板の前まで戻って来た。
「レリウスどうするんだ? 何か依頼でも受けるのか?」
「とりあえず、どんな依頼が有るか確認してみようよ。」
「そうだな。」
俺達は掲示板を確認したのだが……
「げっ! ロクな依頼がねーな。」
「街中での依頼しか無いね。」
「もしかしたら、オークの関係で、街の外の依頼は制限を掛けているのかもしれないね。」
「今更Gランクの依頼なんか受けられるかよ、大金も入ったことだし、今日は休もうぜ!」
「シュウ君もそれで良いかな?」
「構わないよ。」
「じゃあ、今日はこれで解散しよう。また明日ね。」
「じゃあな。」
「うん、またね。」
レリウス達はそのまま冒険者ギルドを後にしていった。
さて、俺はどうしようかな。そんなことを考えていたら外から声が聞えて来た。
「よし、これからオークを全滅させるぞ! 俺達の働きで、この街の安全が守れるんだ! 行くぞ!!」
「「「「「おー!!」」」」」
どうやら出発の時間になったみたいで、冒険者達が雄たけびを上げて出発していた。
俺は外に出てそれを見送ることにした。
「頑張れ~!!」
俺が声を掛けると、何人かの冒険者が手を上げて振ってくれた。
今回の討伐に参加する冒険者はAランクが5名、Bランクが16名、Cランクが33名、Dランクが58名の構成らしい。
Dランクは後方支援と言ってたから、実際戦うのは50人くらいか。オークが何匹居るのか分からないが、是非とも頑張って欲しい。
冒険者が見えなくなったので、俺もその場を後にすることにした。




