125 現場に到着
待ち合わせ場所に到着し、待つこと小一時間ほどして、レリウスとサムがやってきた。
「お帰り~」
「ただいま。お待たせたね。」
「ったく、荷物が重いったらありゃしないぜ。」
サムが文句を言っているが、今回は馬車は無いので、自分で毛布や食器、水や食料を持って行かなければいけないからな。大変そうだ。
「よし、まずは地図で示してある場所まで行ってみようか。」
「おー!」
「しゃーない、行くか。」
俺達はまずは発見場所まで向かうことにした。
地図に示された場所は、リーデルの街から歩いて半日くらいの場所だが、荷物があるため、プラス2~3時間は見た方が良いだろう。
予定では、今日中に目的地に到着して野営をして、次の日に調査。何も発見出来無ければ3日目の昼に向こうを出発する感じになるのだろう。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「・・・・」
休憩なしで半日ほど歩き続けている。サムは体力が無いのか、息が上がっており、レリウスは話す余裕が無いのか無口だ。
俺? 俺はまだまだ余裕は有るが、話しかけると怒られそうなので何も無い限りは黙って歩いてた。
「そ、そろそろ、一度休憩にしようか。」
「た、助かったぜ!」
「うん。」
皆が各々腰を掛けて、水分とかを補給している。
俺も生活魔法で水をコップに出して飲むことにした。喉が渇いていたいから旨いぜ!
「えっ? シュウ君って生活魔法が使えたのかい?」
「あ、はい。一応使えます。」
そう言えば、護衛依頼の時は水が支給されたから、使ってるのを見せるのは初めてか?
「かぁ~!! だったら重い水なんて持ってくるんじゃなかったぜ! 何で教えてくれなかったんだよ!」
「ごめん、使う機会が無かったから、言うのを忘れてたよ。」
「まぁまぁ、シュウ君の魔力だって使いたい放題じゃないんだから、 いざという時のためにも節約しなくちゃね。
本来なら水は各自で用意しなければならない物だし、文句を言うのは間違ってると思うよ。」
「そりゃそうだけどさ……」
「それに、いざという時に水が使えるって安心が有るだけでも良かったじゃないか。」
「……そうだな。」
「まぁ、魔力に余裕が有る時は出せるから、その時は言ってね。」
「ああ。」
「助かるよ。」
思った以上に物分かりが良かったな。正直、もっと文句を言われるかと思った。
その辺を弁えられるってのは、やっぱり冒険者だからなのかな。ちょこっと感心したのは内緒だ。
「それにしても、やっぱり生活魔法が有ると無いでは冒険の楽さが変わるよね。正直羨ましいよ。」
「そうですね。やっぱり有ると色々と便利です。」
サムが何かを思いついたらしく、声を掛けてきた。
「なぁなぁ、俺にも生活魔法って覚えられないのか?」
「どうだろう?」
「試しに教えてくれねーか?」
「あ、僕も覚えたいな。」
「教えるのは良いけど、どうやって教えれば良いんだろう?」
俺の場合は、必要に迫られて覚えた口で、しかも創造魔法での習得だったから簡単だったしね。
「とりあえず野営の時に教えるで良いかな?」
「構わないぜ! くぅ~! 楽しみだぜ!」
「うん。ありがとう。」
まぁ、ローザに魔法を覚えさせたときみたいにすれば行けるだろう。
「よし、休憩終了! そろそろ行こうか。」
「「おう!」」
俺達は再び目的地に向けて歩き出すことにした。
・・・・
夕刻にはまだ早い時間に、目的地へと到着した。
「地図だと、この辺りになるみたいだけど……」
「索敵には反応ねーな。」
「だね。」
俺も気配察知の範囲を頭の痛くなるギリギリの500mまで伸ばしてみたが、それらしき反応は見当たらなかった。
「とりあえず調査は明日にして野営の準備をしようか。」
「うん。」
「だな。」
「この辺りには何も居ないみたいだし、各々焚き木を集めることにしようか。その方が早いしね。」
ただ、何が有るか分からないから、此処からあまり離れない様にね。」
「おう。」
「了解。」
各々焚き木を探しに散らばることにした。
適当に落ちている小枝を拾いつつ、夕食になりそうな獲物を索敵していく。
「おっ! 獲物を発見!」
早速見つけることが出来た。
索敵範囲が広くなった御蔭で、獲物が探しやすくなったのは嬉しいが、距離が遠すぎるのが問題だ。
俺はアイスアローを発動し、オート狙撃(改)で獲物を確認する。
「駄目じゃん。」
相手ははぐれゴブリンだった。これは流石に食えない。
サクッと倒してアイテムボックスへ収納。耳だけ回収して後は処分する。
少しして再び獲物を見つけたが、またもやゴブリンだった。
「また1匹だけ? この辺りのゴブリンは単独行動でもするのかな?」
とりあえず、サクッと処理をしておいた。
「そろそろ十分な数が集まったし、戻るか。」
両手に抱えるほどの小枝が見つかったので、帰ることにした。
「ただいま~」
「お帰り。」
「遅かったな。」
「途中でゴブリンを見つけたからね。一応倒しておいたよ。」
「大丈夫だったのかい?」
「問題無いよ。向こうもはぐれだったみたいで1匹だけだったしね。」
「そっか。」
「まぁ、何にせよさっさと火を点けようぜ!」
サムがお得意の火おこしをしてくれた。相変わらず手際が良いな。
俺も生活魔法で火おこしは問題無く出来るが、サムが得意げにやっているのを邪魔するのも悪いしね。
火が点いた後は、早めの夕食を取ることにした。
まぁ、みんな黒パンや干し肉を水で流し込むだけの夕食なんだけどな(涙)
俺は黒パンを1個だけにしておいた。と言うか2個も食いたくないのが正直な感想だ。




