012 覚醒
さて、俺の分の仕事は終わったので、アンナとローザの様子でも見に行ってみよう。
ちなみにローザは俺達と同じ年齢の女の子で、去年孤児院に入ってきた子だ。
アンナも同じ年齢の女の子ってことで2人はとっても仲良しなのは良きことかな。以前に比べてアンナが構ってくれなくなったので少し寂し……いえ、何でも有りません。
2人は丁度広間の掃除をしているみたいだ。
アンナが床を、ローザが棚の上を脚立みたいなのに乗って掃除していた。まぁ、お喋りしながらみたいだけど。
「……でね、絶対シュウ君は……」
「おーい、お話ししながら掃除してると、シスターに怒られるぞ~」
声を掛けてから気が付いた。あれ? もしかして今俺の話をしていた?
「シュウ君!?」
「えっ? シュウ君!? きゃあ!!」
俺を見て慌てたローザが、脚立の上でバランスを崩した
「危ない!!」
俺は、ローザがバランスを崩した瞬間に走り出したが到底間に合いそうにもない。
「きゃあああぁぁ~~!!」
「ローザちゃん!!」
ダーン!
そしてローザは床に叩きつけられ気絶したみたいだ。そして頭を打ち付けたのか、額から血が流れている。
「シスターを呼んでくる!」
「お願い!」
俺は踵を返して部屋を飛び出した。部屋を出る時、アンナの必死な声が聞こえてきた。
「ローザちゃん、しっかりして!! すぐシスターが来るからね!」
俺は後はアンナに任せることにして、全力でシスターを探して走り回っている。何処だ!
ダッダッダッダッダッ!
ようやく廊下の先にシスターの姿を発見した。
「シスター!!」
「シュウ! 廊下を走ってはいけません!!」
「そんなことより、ローザちゃんが落っこちて怪我をしたんだ!」
「何ですって! 場所は!」
「広間!」
それを聞いたシスターは俺を置いて走って行った。いやまぁ、5歳児が大人に追いつけるとは思わないし、緊急を要するから良いんだけどね。
とりあえず場所も分かってることだし、俺もシスターを追いかけることにした。
少し遅れて俺が広間へと到着すると、シスターの叫び声が聞こえてきた。
「ローザ! こんなにも血が……って、あら?」
シスターが最初驚いていたのだが、何かに気が付いたのか冷静になったみたいだ。
ポケットからハンカチを取り出して、ローザのおでこを拭いていた。
「傷が……無い?」
「えっ?」
あれだけ血が出ているのにも関わらず怪我をしていないって、そんな馬鹿な!
いや、もしかしてローザは何か特殊スキルを持って居るのかもしれない。
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名前 :ローザ
年齢 :5
種族 :人族
状態 :普通
LV :1
HP :4/10
MP :50/50
STR:5
VIT:4
AGI:2
INT:2
DEX:3
LUK:2
スキル:
称号 :
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あれ? 何も無い? だったらどうして怪我が……まさか!?
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名前 :アンナ(隠蔽:アンジェリナ=アルフォルス)
年齢 :5
種族 :人族
状態 :普通
LV :1
HP :10/10
MP :49/50
STR:2
VIT:2
AGI:2
INT:5
DEX:3
LUK:4
スキル:聖魔法
称号 :(隠蔽:アルフォルス王国第一王女、聖女)
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聖魔法の隠蔽が外れている!?
と言うことは、アンナが聖魔法を使ってローザを助けたのか?
なにか訳が有って隠蔽をしていたと思うのだが、大丈夫なのだろうか。
俺が偽装を掛けて、もう一度隠蔽し直した方が良いのだろうか? でもそうすると、ローザを治したことが説明出来なくなるし……どうすれば良いんだ!
結局、俺はアンナに偽装をすることが出来なかった。
このことにより問題にならなければ良いんだがな……




