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115/402

115 結婚


神殿は帝都の中心部に建っており、正に神殿と言うのにふさわしいくらいの神秘的な大きな建物で、世界遺産とか重要文化財みたいな、そんな感じだった。



「すげー!」


「凄いな。」


「大きいね~」



さっそく神殿の中へと入ることにした。

大きな入口を過ぎると、そこもまた凄い光景だった。

ステンドグラスってこの世界に有ったんだな。その御蔭で室内は明るく、そしてかなり広い空間が広がっていた。

正面の中央には美しい女性の像が立っており、きっとこの世界の女神か神様なのだろう。


圧倒的な雰囲気に飲まれたからか、誰も声を出さずに女神像の前まで歩いて行く。

そしてアランとエレンが片膝をついて祈るポーズを取ったので、俺も倣って膝をついた。



「この世界につかさどる女神アレクシアよ、私アランは本日をもってエレンを妻に迎え、永遠に愛することを誓います。」


「私エレンは、アランを夫とし、永遠に愛することを誓います。」



えっと、もしかして俺も何か言わないと駄目? アランさん、説明プリーズ!



「「・・・・」」



2人も黙ったまんまだ。ええい! 多分、神父と同じ様なことを言えば良いんだろう。多分きっとおそらく……違ったらごめんなさいすれば良いか。



「シュウの名のもとに、女神アレクシアに代わって2人の結婚を認めます。神の祝福が有らんことを。」



俺がそう言うと同時に女神像が輝き、2人へと光が注がれた。



「!?」



何が起こったんだ!? 2人は目をつぶって祈っているため、この事態を理解していないっぽい。

光が消え、再び辺りが静かな空間へと戻ったのだった。幸いなことに、俺達3人しかこの場におらず、騒ぎにならなかったのは助かったな。

それにしても先ほどの光は何だったんだろう? 俺は2人に対して鑑定してみることにした。そう言えば、アランさんとエレンさんのステータスって見たこと無かったな。


-----------------------------------------

名前 :アラン

年齢 :23

種族 :人族

状態 :普通


LV :15

HP :248/248

MP :104/104


STR:61

VIT:32

AGI:30

INT:6

DEX:31

LUK:6(+100)


スキル:剣術、短剣術、盾術、解体


称号 :女神アレクシアの祝福(隠蔽:シュウの加護)

-----------------------------------------


-----------------------------------------

名前 :エレン

年齢 :21

種族 :人族

状態 :普通


LV :14

HP :58/58

MP :98/98


STR:29

VIT:6

AGI:56

INT:6

DEX:56

LUK:6(+100)


スキル:弓術、短剣術、索敵、解体、料理


称号 :女神アレクシアの祝福(隠蔽:シュウの加護)

-----------------------------------------


ホワッツ! 思わず吹き出す所だった。

ステータス的には特に変わったところは無かった……いや、一部有ったが、特に気になったのが称号に変な物が追加されていたのだ。

女神アレクシアの祝福は、もしかすると結婚を誓った者同士に付くのかもしれないからまだ良いとして、俺の加護って何だよ! ……って、そういや俺って神族だったっけ。何か納得した。

じゃなくて! 加護なんて与えた記憶が無いんだが……もしかして、神の祝福がとうとかって言ったのがマズかったのか?

ちょっと気になったので鑑定してみることにした。


-----------------------------------------

【シュウの加護】

シュウ神にあやかり、運が若干上がる。

-----------------------------------------


って何だよコレ!

確かに俺の運の数値は高いよ? とは言っても、その恩恵を感じたことは無いけどさ。

でも、この2人には良いことが有れば良いな。一応、運が+100も上がってるしね。

折角なのでもう一つのを見て見るとするか。


-----------------------------------------

【女神アレクシアの祝福】

この世界を管理している女神の祝福。健康になり、病気になりにくくなる。

(隠蔽:べ、べつにシュウ君の頼みだからって、祝福をあげた訳じゃないんだからね!)

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このアレクシアと言う女神、少し残念臭がするのは何故だろうか。

向こうは俺のことを知ってるみたいだが、俺は女神アレクシアのことを知らない。存在自体今日初めて知ったことだしな。何時か何処かで会えるのだろうか?



「シュウ。」


「シュウ君。」



色々と考えていたら、何時の間にアランさんとエレンさんが目の前に立っていた。



「おめでとうございます。」


「「ありがとう。」」


「俺、こういったことに立ち会ったことが無かったから知らなかったんだけど、2人が誓い合った後に、何か言わなきゃいけないの?」


「? 何の話だ?」


「特に言うことも無かったと思ったけど?」


「え? だって、2人が誓い合った後に、俺が何か言うのずっと待ってたじゃないですか。」


「いや、エレンの誓いの後に、すぐ立ち上がったぞ?」


「そうなの?」


「ええ。」


エレンさんの方を見ると頷いたので本当らしい。と言うことは、誓い合った後に俺の言葉を待っていたって訳では無く、時間が停止していたってことになるのか?

じゃあ、女神像が光ったのも、アランさん達に光が降り注いだのも知らないってことになるのか。



「じゃあそろそろ俺達は行くぞ。次は3日後だ。又会おうな。」


「シュウ君、今日はありがとうね。ばいばい~」


「はい、ではまた。」



アランさんとエレンさんは神殿を出て、何処かへと行ってしまった。



「さて、俺も仕事に向かうとしますかね。」



その後、俺達は酒場で一生懸命働いた。

俺はキッチンで、から揚げとポテトチップの量産マシーンとなり、レリウスと、サムはホールでナナさんとリリさんと仲良く仕事をしていた。くそっ!

一緒に仕事をしていからか、何となく4人が仲良くなっており、仲間外れと言うか、疎外感を感じている気がしなくも無いんだが……



「終わった~!」


「お疲れ様~!」


「やったぜ!」


「お疲れ。」



今日の仕事が終わった時に、4人が手を取り合って喜んでいる。何だろう、目から汗が流れているんだが、高温の油を扱って暑かったせいかな?

う、羨ましくなんかないやい!!


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