114 今後の予定
次の日になり、まかないの朝食を食べた後、外出するために、店長に声をかけることにした。もちろんレリウスに全部お任せだ。
「朝の内に冒険者ギルドに行って来ても良いでしょうか?」
「何か用事があるのか?」
「はい。一緒に帝都に来た仲間と帰りの護衛依頼が無いか話し合いをしなくちゃならないんです。」
「そういうことなら問題無い。昨日ここに来た時と同じくらいの時間までに戻って来るなら自由にして構わんぞ。」
「ありがとうございます。それでは少し出かけてきますね。」
「気を付けてな。」
「はい。」
これで、店長の許可も取れたことだし、さっさと冒険者ギルドへ向かうことにしよう。
冒険者ギルドに到着すると、すでにアランさんとエレンさんが待っていた。
「「「おはようございます。」」」
「おはよう。」
「おはよ~」
「その様子だと、シュウ達も無事に宿が取れたみたいだな。」
「いえ、宿はどこも一杯で、取ることは出来ませんでした。」
「そうなのか? だったら何処で泊まったんだ?」
「実は3日間、住み込みでの依頼が有ったので、それを受けることにしたんです。」
「なるほど、賢い選択だったみたいだな。」
「アランさんは大丈夫だったんですか?」
「ああ、運が良いことに最後の一部屋が借りれたんだ。」
「それって銀の盃ですよね?」
「ああ。」
って、アランさん、最後の客ってあんたらだったのか!
いや、お金をケチって直ぐに取らなかった俺達が悪いんだけどね。
「とりあえず住み込みで3日と言うと、丁度良いか。
実は、来た時の商人が帰りの依頼も出してきたので受けたいんだが、構わないか?」
「「おー!」」
「えー!」
「ん? シュウは不満か?」
「あーいえ、ちょっとあの商人と色々有ったんで、駄目じゃないですよ?」
「そうか。嫌なら辞めておくぞ?」
「大丈夫です。」
「ならこの依頼を受けることにする。手続きをするぞ。」
「「「はい。」」」
ふといつもと違う違和感を感じた。何時もだったらエレンさんが俺に引っ付いてくるのだが、今日に限ってはそれが無い。どうしたんだろう?
ちらりとエレンさんを見ると、左手の薬指に何か光る物が見えた。
「エレンさん、その左手のって。」
「あっ、これ? 気が付いちゃった? 恥ずかしいなぁ~もう!」
エレンさんが俺のことをバシバシと遠慮なく力いっぱい叩く。
「い、痛いですって! それってどうしたんですか?」
「これはね。アランが昨日買ってくれたんだよ~
私達ね、結婚することにしたんだ~♪」
「それは、おめでとうございます!」
「ありがと~」
そうか、とうとう結婚するんだ。あれだけ仲が良かったんだもん、当然の結果だよな。
「そういうことだ。」
アランさんが俺の肩にポンと手を当てて言ってきた。
「アランさん! おめでとうございます!」
「ありがとう。後で言おうと思ってたんだが、依頼を受けた後に神殿で報告をしに行くつもりなんだ。シュウも来て貰いたいんだが構わないか?」
「えっ? 俺が行っても良いんですか?」
「もちろんだ。シュウが居たからこそ、俺達は結婚できるんだからな。」
「そうなんですか? 良く分らないですが、お役に立てたのなら良かったです。そう言う理由なら是非参加させて下さい!」
「ありがとう。」
「ありがとね~」
ここで、ふとアランさんが言っていたことを思い出した。
「なるほど、そういうことだったんだ! もともとアランさんが帝都に用事があるって言ってたのは、こう言うことだったんですね。」
「あぁ。」
「バレちゃったね~」
「バレちゃったも何も、誰が見ても分かりますって!」
「あはは~」
「そう言うことだから、さっさと依頼を受けに行くぞ!」
「は~い。」
「わかりました。」
俺達は冒険者ギルドの中に入り、窓口で依頼を受けるのだった。
今受けている依頼が完了して無いにも係わらず受けても大丈夫なのかと思ったが、日にちもズレているし、依頼を失敗するのは自己責任のため、何の問題も無かった。
「よし、神殿に行くぞ。」
「はい。」
「シュウ君。僕達はお邪魔だろうし、先に酒場に戻ってることにするよ。」
「そうか。別に俺たちは気にしないから構わなかったんだがな。」
「私も大丈夫だよ?」
「いえ、こういったのは身内だけで祝った方が良いと思いますし、今回は遠慮させていただきます。」
「そうか。」
「ありがとね。」
「いえ、ではお先に失礼します。集合は3日後の朝で良いんですよね?」
「ああ、また帰りも宜しく頼むぞ。」
「「はい!」」
レリウスとサムは先に帰って行った。
「行くか。」
「ええ。」
「はい。」
俺達も神殿に向かって出発することにした。




