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112/402

112 営業開始


「から揚げ3皿追加だよ~!」


「こっちもから揚げ2皿の注文が入りました。」


「から揚げ5皿だ。」


「3皿。」


「リリさん、何が3皿ですか?」


「から揚げ。」


「了解です!」



今、キッチンは大忙しだ。消費に対して料理が全然間に合っていない。どうしてこうなった……

最初は知らない料理ってことで全く注文が無かったのだが、罰ゲームで興味本位で頼んだ人物が、服が破けて巨大化し、虹色レーザを吐きまくって帝都を破壊しつくしたしたところで(※比喩表現です)、注文が殺到したのだ。

もう4時間程、休みなくから揚げを作り続けているので辛い……誰か代わってくれ~!!



「おい、もう鶏肉の在庫が無いぞ!」


「やった、これで終われる!」


「えっと、サムとレリウスだっけか? お前ら2人で、鶏肉を市場に行ってありったけ買ってこい!」


「「はい!」」


「マジかよ……」


「シュウ、それまでは他の料理で対応するぞ!」


「へ~い。」



どうやら終わらなかったみたいだ。くそっ!



・・・・



しばらくしてレリウスとサムが戻って来た。



「すいません。鶏肉が何処にも売ってませんでした!」


「他の奴らもこの店の真似をするために買い占めたんだとさ。」


「くそっ! やられた!」



いや、ナイスだ! 俺は心の奥で喜ぶのだった。……が、どうやら問屋は下ろしてくれないみたいだ。



「シュウ! 何か他のアイデアは無いか!」


「えー」


「追加で銀貨5枚を出そう。」


「任せて下さい!」


「シュウならそう言ってもらえると思ってたよ。頼んだ!」


「はい!」



思わず金に釣られて返事をしてしまった。どうしよう……

まずは材料の確認だが、から揚げばっかりが売れたため、鶏肉以外の材料は沢山残っているが、う~む……


折角、大量の油が有ることだし、揚げ物で考えてみるか。

揚げ物だとすると、パッと直ぐに思いつくもので、から揚げ、天ぷら、フライ、串焼き、揚げ餃子、ポテトフライ、揚げニンニク、油揚げ、揚げ豆腐、揚げパンってところか。

おっ、シャガイモとニンニンニクがあるじゃん。ならポテトフライと揚げニンニクなら行けるな。でも、これで銀貨5枚は怒られそうだな。もうひとひねりが欲しいな。

そうだ! ポテトチップなんか良いんじゃね? ぱっと見シャガイモに見えないし、何となく料理っぽくね? よし決まりだ!


皮はしっかりと洗えば、農薬なんてものは使って無いだろうし、剥かなくても良いや(笑)

後は芽と色が変わってるところを切り取ってから、薄切りにして水にさらしておく。後は水けをしっかりと取ってから揚げるだけだ。

今回は二度揚げする必要が無いため、高温オンリーだから楽だな。


ジュワアアアァァァ~~~!


ポテトチップは薄いから直ぐに揚がるので、注意が必要だ。

色が付いたところで取り出して油をしっかりと切る。後はパラパラと塩をふりかけたら完成だ。



「出来ました。」


「ずいぶん早いな。これも見たことが無い料理だな。これは何だ?」


「ポテトチップです。」


「どれ、確認してみるか。」



前回のことが有ったため、恐る恐る口へと運んでいた。


パリッ!



「ほぉ、こりゃ旨い! 塩味だから、酒のつまみとしても悪くないな。」


「どうですか?」


「よし、売るぞ!」


「はい!」



こうして酒場に、新たに一品料理が追加されたのだった。



・・・・



「馬鹿馬鹿馬鹿、俺の馬鹿!」



何が馬鹿かと言うと、から揚げが終わって楽になる予定だったのに、新たにポテトチップが追加になったことで、俺の仕事は再び地獄へと返り咲いたのだった。



「金に釣られるんじゃ無かった……」



俺はひたすらポテトチップを揚げ続けるのだった。

シャガイモが木箱に山の様に大量に有るのを見て、これは最後まで終わらないだろうな……(涙)

もういいや! 余計なことを考えるから辛いんだ。俺はマシーンだ。心を無にして、ひたすらポテトチップを作るマシーンとなるのだ!


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