表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/402

106 朝の出来事


朝になり、目が覚めた。

3日ぶりにちゃんとした寝床で寝た御蔭か、体はスッキリとしていた。



「さて、今日も1日頑張りますか。」



着替えようとして、ふと荷物に違和感を感じた。

皮のリュックを開けて確認してみるが、特に持ち物に変化が有った様には感じない。気のせいか?

まぁ、大したものを入れている訳じゃ無いから取られたとしても大した痛手では無いが、アランさんに買ってもらった物だし、もしもの時は地の果てでも追いかけて取り戻すつもりだけどね。


ふと、隣のベットを見るとくそ親父と護衛はまだ眠っているみたいだ。と言うか、護衛が寝ているって大丈夫なのか?

俺が泥棒か暗殺者だったとしたらやりたい放題だぞ? 違うからやらんけどね。



「まあいい、さっさと着替えて朝食を食べに行くとしよう。」



食堂にはまだ誰て居なかったので、適当に空いている席へと座った。



「すいませ~ん! 朝食1つお願いします~!」


「はいよ!」



マリーさんが居なかったので、直接台所の方へと声を掛けると、宿屋の親父の返事が返って来たので大丈夫だろう。しばし待つことにした。



「ほらよ。」



少しして朝食が運ばれてきた。朝食は、トーストと目玉焼きに、昨日の残りのスープだ。さっそく頂くことにする。



・・・・



朝食も食べ終わってしまったが、未だに誰もやってこない。



「それにしても誰も起きてこないんだけど、大丈夫なのか?」



とは言っても責任者のアランさんも、依頼人のくそ親父もやってこないので、どうしようもない。

俺は待っている間の暇つぶしとして、昨日のルビーを加工することにした。



「ルビーで止めておくか、ピンクサファイヤにするべきか悩むな……」



とりあえず今はクロムの含有率が2%のルビーになっている。どうせ後で含有率を変更できることだし、今はこのままで良いだろう。

そして、俺が次に俺が行ったのは合成だ。すべてのルビーをひとまとめにしてみる。


通常宝石は変形させることが出来ないため、削って形を整えている……と思われる。

そのため原石の形にもよるが、理想的な形をした1カラットの原石だとしても、実際に加工することにより0.9~0.8カラットに減ってしまう。

だが、俺は変形で形を作ることが出来るために、全てを余すことなく使うことが出来るのだ。

何が言いたいかと言うと、直径2cm程の大きな宝石が完成したのだった。

ついでに宝石と言ったらコレだろう。と言うことでブリリアントカットにしてみたのだ。



「おぉ! すげー! 綺麗ー!!

 これを売ったら幾らになるんだろう……」



指輪のルビーで1カラットでも大きいと思うくらいなのに、これはその3倍以上の大きさが有る。指輪にしたら違和感有りまくりだ。と言うか、成金っぽい感じがして何か嫌だな。

だったらペンダント型にしてみよう。ペンダントならしずく……いや涙の形が良いな。よし!

俺は再びコネコネとルビーを変形させるのだった。



「ふぃ~、こんなもんかな。」



かなりこだわって作ったので、結構自信作だ。後はこのルビーをはめるための型と鎖が有れば完成だ。

帝都へ行ったらその辺りを探してみるのも良いかもしれない。

完成したルビーをアイテムボックスへと収納すると、レリウスとサムが眠そうな顔をしながらやってきた。



「おはよ~」


「……おはよう。」


「ふあぁ~」


「何か眠そうだね。大丈夫?」


「……昨日の夜ちょっと寝れなくてね。2人して寝不足なんだ。」


「そうなんだ。何か有ったの?」


「実は僕達の部屋の隣が……」


「ばっ、馬鹿ッ! 何でも無いんだよ! レリウス何も無かったよな!!」


「えっ? あ、そ、そうだね。」


「? ……まあ良いけどね。」



2人とも顔を真っ赤にして大慌てて否定してきたが、まさかウホッ! の関係じゃないよね? それで寝不足だったら今後の付き合いは遠慮させて貰おう。



「すまん、遅くなった。」


「遅れてごめんね~」



同じタイミングでアランさんとエレンさんもやってきた。こっちはレリウス達と違って元気みた……いや、アランさんは少し疲れているか? 逆にエレンさんは肌もツヤツヤでな程に元気だった。

アランさんはリーダーとして気を張っているから仕方がないが、エレンさんが元気なのは、やっぱりベットでゆっくり寝れたのが大きいのだろう。



「あれ? 2人ともどうしたの?」


「あ……い、いや、何でも無いよ。気にしないでね。」


「・・・・」



サムは酸素が足りない魚みたいに顔を真っ赤にして口をパクパクしていた。



「お、おい、サム、大丈夫か?」


「か、か、か、か、顔を洗ってくる!」



俺が声を掛けると、サムは勢いよく立ち上がると、走って出て行ってしまった。



「どうしたんだ? あいつは……」


「さあ? どうしたんだろうね~」



アランさんとエレンさんも不思議そうな顔をしていた。

すると、レリウスが俺の所に来て、耳打ちをしてきた。



「シュウ君、アランさん達っていつもああなのかい?」


「? ごめん、言ってる意味が良く分らないんだけど。」


「いや、そ、その、ご、ごめん! 今のことは忘れてくれ!」



それを聞いてピンと来た。もしかしてレリウスとサムのウホッ! では無く、アランさんとエレンさんが『昨晩はお楽しみでしたね』だったのでは無かろうか。

そしいてその時の声を2人が聞いてしまったことで寝不足になったと。なる程、思春期の男の子にとっては刺激が強すぎたみたいだ。

そしてアランさんが疲れているのと、エレンさんが元気な理由も分かったな。



「皆さんお揃いでしたか。」



そこにくそ親父が護衛を連れてやってきた。



「申し訳有りませんが、出発を少し遅らせて頂いても宜しいでしょうか?」


「こちらとしては助かりますが、宜しいので?」


「実はお恥ずかしい話ですが、今起きたばかりでして、朝食を食べる時間を頂きたいのですよ。」


「それでしたら問題有りません。私達も今からだったんですよ。」


「そうでしたか。では出発を1時間後とさせて下さい。」


「畏まりました。」



皆が朝食を食べるみたいなので、俺は先に外に出て待つことにした。

食堂を出る時にサムとすれ違ったが、まだ顔が真っ赤だったけど大丈夫だろうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ