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100 野営準備


ホブゴブリンの戦闘の後は特にイベントも無く、野営場所に到着した。



「よし、野営の準備をするぞ。」


「あの、まだ日が高いのですが、先に進まないのですか?」



レリウスがアランさんに質問していた。今の時間は夕方になるには早すぎる時間だ。俺も疑問に思った。



「それはな、暗くなってからだと野営の準備なんかは出来無いだろ?

 場所の整地から、焚き木の確保、夕食の準備等明るい内にやっちゃうんだ。」


「そう言うことなんですね。」



なるほど納得した。確かに暗くなってから作業するには困難かもしれない。

光魔法の使い手が居れば違うのかもしれないが、此処には居ないからな。



「よし、レリウスとサムは焚き木を集めてきてくれ。エレンは夕食の材料を貰って来るのと料理を頼む。

 シュウは土魔法で竈を作ることは出来るか?」


「どうだろう?」


「出来たらで良い。駄目ならその辺の石を集めてきてかまどを作ってくれ。」


「了解。」


「俺は依頼人と今後の対応の打ち合わせに行って来る。それじゃ行動開始してくれ。」


「「「はい!」」」



さて、かまど制作の作業を受けたのは良いが、俺は土魔法を習得していない。

だけど俺には創造魔法が有るし、何とかなるだろう。



「その前に、錬金術でも試してみるか。」



あそこにそこそこ大きな岩が置いてあるし、あれで試してみよう。

周りには……誰も居ないな。まずはアイテムボックスへと岩を収納し、所定の位置へと移動させる。

次に岩に手を当てて、かまどの形をイメージする。システムキッチンみたいとは言わないが、材料を切るための台と、かまど2つをくっ付けた感じにしてみよう。

さすがに水を出す蛇口は無いので、流し台は無しで良いだろう。よし!



「キッチン制作!」



別に言う必要は無いのだが、気分だよ、気分。

俺の呪文(?)の掛け声と共に想像通りのシステムキッチンが出来たのだった。


コンコン!


うん、強度も問題無さそうだ。作業台もまっ平で広めにしたので使い易そうだし、何と言ってもかまどの形が我ながらほれぼれする出来栄えだ。

上部には鍋を置ける大きさで穴が2つだけ空いており、もちろんコンロのあの鉄の置くヤツみたいな物も作ってある。

焚き木を入れる穴は1ヶ所だけだが、絶妙な位置に空気を供給する穴が空いていることで上昇気流が発生し、炎がこの上部の穴から出て来る仕組みにしておいた。

もちろん焚き木を入れる場所の下部は網状になっており、灰になると自動で下に落ちる仕組みだ。



「完璧すぎる……」



後は実際に使ってみるだけだ。早く焚き木が来ないかな。



「材料貰って来たよ~」


「あ、お帰り~」



そこにエレンが材料を持って戻って来た。



「何これ~、すっご~い!!」



エレンが俺が作ったかまど……もといシステムキッチンを見て驚いている。そーだろそーだろ!



「ねーねー、これってどうやって使うの?」


「えっと、ここに薪を入れて火を点けると、ここから炎が出る仕組みにしてみたんだ。実際使ってみないとどうなるかは分からないけどね。」


「へぇ~」


「とりあえず材料を切っちゃわない?」


「あ、そうだね。シュウ君も手伝ってくれる?」


「うん。」



材料は、水と塩漬けされた乾燥肉、それに丸ネギとニンジーンだ。後は石の様に堅い黒い何かだ。



「何これ?」


「これ? これは黒パンよ。堅いし美味しくも無いけれど、日持ちするから旅の食料としては優秀かな。スープに浸けて食べる感じかな。」


「なるほど。」



この材料からすると、夕食は黒パンとスープになりそうだ。かまどは2つも要らなかったかもしれない……

エレンさんと手分けして材料を切って行く。大した量でも無いためあっという間に終わってしまった。

後は焚き木が来ないと何もすることが無い。暇だ……



「ん?」



向こうに1つの反応が、敵か?



「エレンさん、向こうに何かが居ます!」


「えっ? あ、ホントだ。この感じだとホーンラビットかな? シュウ君、狩るよ!!」


「えっ? あ、はい。」


「弓矢を取ってくる!」


「あ、なら俺がやります。」



エレンさんが武器を取りに行こうとするのを止めて、アイスアローを発動させる。



「行けっ!」



後は何時もの如くオート狙撃でホーンラビットを倒すのだった。



「夕食1品、ゲットだぜ!」



血抜きをしてエレンさんのところまで持って行く。



「シュウ君、偉い偉い♪ 後はまかせてね~」



エレンさんがホーンラビットを受け取ると、あっという間に解体してしまった。流石である。

5等分に切って塩を振ったら準備完了だ。そしてまた暇になってしまった。



「来ないな。」


「来ないねぇ~」



日が沈みかけたところでレリウス達が戻って来た。



「取って来たぞ。」


「おつかれ~」


「おつかれさん。」



結構な量を拾って来たらしく、そこそこ大量だった。



「火を点けるぞ。」



サムが火打石を使って落ち葉に火を点けると、小枝に火種を移し、徐々に太い枝へと火種を移していく。



「手際が良いな。」


「まーな。親父に散々やらされたからな。」


「ふ~ん。」



そしてかまどに火が入ったのだった。



「さ~てと、作るよ~!」



エレンさんが張り切っている。とは言ってもスープは材料と水を入れて火にかけるだけだし、後は肉を焼くだけだ。

鉄板の替わりに鍋を置いて、その中で肉を焼いて行く。


ジュ~~~!


良い焼き色が着いたところで夕食が完成した。


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