第140話:頼りになる幼馴染
とある週末の土曜日、私は陽介の部屋にいた。そこで二人して対戦型のゲームをし、私はボロボロに負かされていた。
「別のゲームにするか?」
「・・・・・」
「対戦型のじゃなくて、共闘するヤツとか」
「・・・・・」
昔っからこうだった。私はゲームでも運動でも勉強でも、陽介に勝てたことがない。
「ちょっと休憩にしよう」
「お、おう・・・」
「休憩したら、もう一戦ね?」
「・・・・・」
勝てないと分かっている戦いに、私は再度挑む。だって、負けっ放しじゃ悔しいじゃん?!
「何で、何でなんだ・・・」
「いや、夏姫は反射神経が壊滅的に死んでるから」
「・・・・・」
「・・・・・」
そんなことないよ?ないよね?
「それはそうと、夏姫は峰島中学時代のクラスメイト覚えてるか?女子じゃなくて男子の」
「え?まあ、たぶん?」
時々駅で内田君とか深山君とか見かけるし、でも何で?
「知美から聞いたんだけど、女子たちには結構バレてんだろ?」
「え?あぁ、まぁ・・・」
「女子だけじゃなくて、男子だって夏姫の顔を間近で見れば気付く可能性があるだろ?」
「それは・・・」
まあ、その通りなんだけどさ・・・。
「Aクラスに、深山がいる。俺と同じBクラスに、内田と武井がいる」
「・・・・・」
「夏姫はFクラスだから校内で絡むこともないだろうし、行き帰りだけ気を付けていれば大丈夫だとは思うけど」
陽介の話によると、今のところ私の身バレに繋がりそうな男子はこの三人。峰島中学出身の男子は他にもいるんだけど、その子たちとはクラスも違ったし、部活も被っていなかったからきっと大丈夫だろうとのこと。
「深山と内田は、サッカー部にいるんだよ」
「お、おう・・・」
「で、武井は帰宅部」
「そ、そうなんだ・・・」
深山君と内田君は中学時代もサッカー部だったし、なるほどねぇ~?
「そんな感じで部活は同じだし、深山は隣のクラスで内田は同じクラスだから、この二人に関してはそこそこ様子を探れるんだよなぁ~。だから身バレしそうになったら俺がフォローできると思うし、そうならないように俺の方でも色々と気を付けておくから」
「陽介・・・」
「だけど、武井とは距離を置いてるからそこだけが不安なんだよなぁ~。放課後になったらサッサと帰ってるみたいだし。まあ、駅とかで変な接触さえしなけりゃ大丈夫だとは思うんだけどさ」
「・・・・・」
先ほどは先輩に誘われてとか言っていたのだけれど、もしかして私のためにサッカー部(仮)に?
「それも、あるっちゃある」
「・・・・・」
「でも、誘われたからってのが九割だな。帰っても碌な運動ができないし、体を動かすには広いスペースが必要だからな」
「・・・・・」
ともちゃんにしても陽介にしても、本当に私の幼馴染たちは・・・。
「陽介、ありがとね?」
「ん?」
「その、色々と・・・」
「ああ、気にするな」
そうして、楽しい時間は過ぎていく。その後も私は陽介にボコボコに負けて、その日は結局一度も勝てなくて・・・。
「次こそは勝つから」
だから・・・。
「また、一緒に遊ぼうね?」
帰り際に私はそれだけ言って、我が家へと駆け出すのだった。




