☆28☆Dandelion
呼吸の乱れを回復した一行は、ゆっくりと歩みを進めていた。頭の片隅には、希望の花のことがちらつく。きっと重要な手掛かりになるはずだ。自らを危険に晒す花を、持ち歩く恐怖も抱えながら、グロリオーサ復活隊よりも有力な情報を得ていると信じている。3人は、ひたすらに前を見つめる。
ルピナスは、雑草に混ざる小さな黄色い花に目をやる。道を作るために時間を進め続けてきた。罪悪感は持っているが、帰り道を明確にしたいために時間は戻せない。
「いつの日か必ず、元に戻しに来るからね」
近くのタンポポも、花びらを落とし枯れていく。しかし、希望の花の近くにいる限り、本領は発揮できていないのかもしれない。小さき花は歩きながらでも能力を発動できるが、大きくなればなる程集中しなければならない。
デイジーとの戦いの時ヒオーギは、悪魔の角を生えさせるほどに覚醒していた。近くにルピナスはいたが、炎に包まれており花の力は影を潜めていた。それに加えて兄妹愛も影響していただろう。希望の花は、そんな中でも燃え尽きることはなかった。今思えば相当に不思議な現象だ。
風が吹き抜けると同時に、綿毛が舞う。小さな命が紡いでいく連鎖を、我々が塞き止めてはいけない。ルピナスは、タンポポを一輪抜いて小さく呟いた。そして、この場所を忘れぬようにと鞄へとしまった。
ヒオーギの剣は鞘へと納められており、ネリネの槍は空を裂いている。3人の歩みは止まらない。それぞれに思うことはあるだろうが、旅を共にする上での理念は一致している。グロリオーサ復活隊のアネとモネや、ヨモギに爪の彼も皆、目的を達成するために行動している。その方向性が違うために、衝突することになる。どちらが善でどちらが悪かは分からない。互いに善で悪なのだ。そして全てが終わったとき、あの時出来なかった握手をしたいと願う。
そんなことを考えるルピナスは、リュックサックを肩に掛け直した。気持ちを引き締める時だ。母を助けるための方法に、一歩ずつ着実に近づいている。それも含めて、黄色い花は名の通り、希望の花だ。
☆登場人物紹介☆
ヒオーギ☆悪魔の子
ルピナスは双子の妹
朱い眼から火花を散らつかせられる
周囲の温度を上げられる
火技:火炎狙撃
ルピナス☆悪魔の子
ヒオーギは双子の兄
蒼い髪には時間を操れる効果がある
時間技:時間超正転
ネリネ☆悪魔の子
全身から溢れ出る水で、通った道はいつもぬかるむ
水技:水力鉄壁
水氷放射
螺旋水槍
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グロリオーサ☆悪魔族の族長
大噴火による天災で滅ぶ
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アネ☆悪魔の子
モネは双子の妹
グロリオーサ復活隊を構成する一人
赤い掌→変色するとピンク色
風を起こせる
毒技:猛毒液玉
モネ☆悪魔の子
アネは双子の姉
グロリオーサ復活隊を構成する一人
紫の掌→変色すると青色
風を起こせる
毒技:毒薬銃
ヨモギ☆悪魔の子
グロリオーサ復活隊?
傷口に手をかざすと現れる葉には癒しの効果がある
回復技:治癒草
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リリー☆四ツ星村の住人
ヒオーギとルピナスの母親
魂を持っていかれ瀕死の状態
ホウセン☆四ツ星村の村長
元々は護衛の職に就いていた
マリーゴ☆四ツ星村の住人
元々は護衛の職に就いていた
諜報役も務めている
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デイジー☆悪魔の子
洗脳された村の住人
領域内の者を操る
占術技:洗脳領域
黒帽子の少年☆
必ず力になるとヒオーギと約束した




