☆27☆おともだちは緑の妖精さん
「おい見ろよ。また草に話し掛けてるよ」
同年代の子供たちに、変な奴だなとからかわれているのは、ヨモギだ。彼女の物静かな性格は、今も昔も変わらない。砂や石を投げつけられて、遊び道具にされることは、しょっちゅうある。それでも彼女は、反論しない。次第に飽きる子供たちは、ヨモギから離れていく。
「大丈夫だよ。私はあなたの味方だからね」
そう風に乗り、囁くように聞こえてくる。彼女は驚かない。そして、微笑みながら傍に寝そべった。
10歳になる頃、ヨモギはすっかり誰からも相手にされなくなった。家族と食事をしている時も、会話をただ聞くだけで反応しない。悪魔の子である事実を知る母親も、どう接して良いか分からないまま、ただ時間だけが過ぎていった。
他人と関わらないヨモギは、家の庭で過ごすことが多かった。
「私行くね」
ある日、草に話し掛けるヨモギの姿が、いつもと違った。決意に満ちた格好に、周囲の草は動揺している。揺れ動く草たちは、理由を知りたそうだったが、ヨモギは一言だけ残して立ち去った。
ヨモギの動向は、家族も村の皆も知らない。そして、仲良くしていた草たちも知り得ない。彼女を捜したい草たちは、壁や塀を伝って蔓を伸ばし続け、終いには村全体を囲ってしまった。
「これで、いつ帰ってきても気がつくよね」
草たちの彼女を捜す手段は、村を巻き込んでいる。門は、蔦により封鎖せれ、住人は曇天の空よりも暗い中、過ごすことになった。
◇ ◇ ◇
「ヨモちゃん、木の実取って~」
ヨモギの近くにあったのは、ベリー風の木の実だ。木の皿に載ったそれを数粒、アネに手渡した。
「自分で取るのなの」
いいじゃん近いんだからと、反論するアネもしっかり者のモネも、彼女を1人として扱っている。話さなくても、石をぶつけたりはしない。理由も言わずに村を出たことは、いけないことだと思うけど、それ相応のことを私はされたよね。
草の妖精さんには、私は元気だよと伝えたい。悪魔の能力により仲良くなった、緑の妖精さんも良い子だよ。ヨモギは、自らの手を見つめながら昔のことを思い出した。目から流れる水滴は、緑の妖精さんの養分になった。
☆登場人物紹介☆
ヒオーギ☆悪魔の子
ルピナスは双子の妹
朱い眼から火花を散らつかせられる
周囲の温度を上げられる
火技:火炎狙撃
ルピナス☆悪魔の子
ヒオーギは双子の兄
蒼い髪には時間を操れる効果がある
時間技:時間超正転
ネリネ☆悪魔の子
全身から溢れ出る水で、通った道はいつもぬかるむ
水技:水力鉄壁
水氷放射
螺旋水槍
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グロリオーサ☆悪魔族の族長
大噴火による天災で滅ぶ
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アネ☆悪魔の子
モネは双子の妹
グロリオーサ復活隊を構成する一人
赤い掌→変色するとピンク色
風を起こせる
毒技:猛毒液玉
モネ☆悪魔の子
アネは双子の姉
グロリオーサ復活隊を構成する一人
紫の掌→変色すると青色
風を起こせる
毒技:毒薬銃
ヨモギ☆悪魔の子
グロリオーサ復活隊?
傷口に手をかざすと現れる葉には癒しの効果がある
回復技:治癒草
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リリー☆四ツ星村の住人
ヒオーギとルピナスの母親
魂を持っていかれ瀕死の状態
ホウセン☆四ツ星村の村長
元々は護衛の職に就いていた
マリーゴ☆四ツ星村の住人
元々は護衛の職に就いていた
諜報役も務めている
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デイジー☆悪魔の子
洗脳された村の住人
領域内の者を操る
占術技:洗脳領域
黒帽子の少年☆
必ず力になるとヒオーギと約束した




