☆12☆SunFlower
この日の森は、少し騒がしかった。魔物ではない動物が、飛んでいたり駆けていたりするのを、よく目撃する。2人に近づこうとはしないが、常に何かの動物は周りにいる。特段相手にすることのない兄妹は、ひたすらに歩き続ける。
足元の雑草の時間を戻しながら進むルピナスらは、木の植わっていない開けた場所に出た。そこは、多くの花が咲いた草原だった。色とりどりの小さな花は、そよ風に揺れる。綺麗、そんな声が漏れる風景に2人は、心が洗われた気がした。見渡す限りの花畑に、背の高い花があった。向日葵だ。太陽のある方向を向くと言われている。
「あの向日葵が向いている方向に、太陽があるんだね」
胸元で手をぎゅっと握ったルピナスは、まだ見ぬ太陽に思いを寄せた。
「そうだね。いつの日か見られる時が来ると良いね」
風は、2人の髪をなびかせる。同時に花びらも巻き上がり、幻想的な光景が目の前に広がる。曇天の中、ひたすらに太陽を追い続ける向日葵に、小さな花たちは、色を重ね、束になって応援しているように思えた。まるで、恋しているみたいだ。
束の間の癒しを胸にしまい、2人は再び次の村を目指した。地図を見るに、そう遠くはない。
「門が見えた」
ヒオーギは、思ったことを口にする。分かっているよと言わんばかりの目線を送るのは、ルピナスだ。
門は見えたが、少し様子がおかしい。静か過ぎる。
「ようこそ、旅人よ。デイジー様は美しいですよ」
門番は、意味深な言葉を含みながら2人を歓迎した。不思議に思った2人も、開けられた門を会釈をしながらくぐった。
「お客様だ!」
1人の村人が声を上げると、他の皆も一様に歓迎した。先程までの静けさが嘘のように、取り囲まれ質問責めにあった。どこから来たの?凄い武器だな。小さいのに偉いね。など、多種多様な声が飛び交った。質問の隙間に、デイジー様は美しい、という声が混ざる。
とても応えられる量でない2人は、困惑した。身動きが取りづらく、取り囲んだ村人は少しずつ、何処かへ連れていこうとしていた。2人がその行為に気が付いたのは、到着してからだった。誰かの家の前に着くと、息吐く間もなく話していた村人が、黙り込みサーッと捌けていった。
「入りなさい、旅人よ」
家の中から、声が聞こえた。その声色は、少女のようだ。ヒオーギは、一歩ずつ前へ進み、恐る恐る扉を開けた。中では、小さな女の子がちょこんと座っていた。
薄いピンク色のカーテンで部屋全体が囲まれ、机には大きな水晶玉が置かれていた。
「私は、この村で占いをしている。デイジーだ」
無理矢理に偉そうに喋ろうとしているのが、丸分かりだ。低音はそこまで安定していない。
2人は、自己紹介をしてここへ来た目的を話した。すると、この先の展望を占うと言い、勝手に何かを始めた。
『洗脳領域』
衝撃波のような感覚が、2人を襲った。その瞬間、目の前が真っ暗になった。
☆登場人物紹介☆
ヒオーギ☆悪魔の子
ルピナスは双子の妹
朱い眼から火花を散らつかせられる
周囲の温度を上げられる
火技:火炎狙撃
ルピナス☆悪魔の子
ヒオーギは双子の兄
蒼い髪には時間を操れる効果がある
時間技:時間超正転
ネリネ☆悪魔の子
全身から溢れ出る水で、通った道はいつもぬかるむ
水技:水力鉄壁
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グロリオーサ☆悪魔族の族長
大噴火による天災で滅ぶ
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アネ☆悪魔の子
モネは双子の妹
グロリオーサ復活隊を構成する一人
赤い掌→変色するとピンク色
風を起こせる
毒技:猛毒液玉
モネ☆悪魔の子
アネは双子の姉
グロリオーサ復活隊を構成する一人
紫の掌→変色すると青色
風を起こせる
毒技:毒薬銃
ヨモギ☆悪魔の子
グロリオーサ復活隊?
傷口に手をかざすと現れる葉には癒しの効果がある
回復技:治癒草
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リリー☆四ツ星村の住人
ヒオーギとルピナスの母親
魂を持っていかれ瀕死の状態
ホウセン☆四ツ星村の村長
元々は護衛の職に就いていた
マリーゴ☆四ツ星村の住人
元々は護衛の職に就いていた
諜報役も務めている




