11.かみもり ひびき(7さい)後半
そうして、大人になって強くなったオレはもう1度レンジャー達に会えた。
レッドのスカウトによりアニマルゴーレンジャーのブルーとなった。
かつてレッドがしてくれたように強く、ピンクのように優しいレンジャーになることを誓った。
ジャジャジャーンと爽快な曲が流れる。
ブルーも最初はこわかったんだ。
たすけてっておもってたんだ。
最初はぼくみたいに弱虫ってかなしんでたんだ。
じゃ、ぼくもブルーみたいにいつかなれるんじゃないかな?
強くなるには体をきたえる、だからどーじょーでたのもーっていう。よし!
朝食の準備をしているかーさんとテーブルでコーヒーを飲んでいるとーさんの所に走って行った。
「かーさん、とーさん、おれ!たのもーして強くなる!」
「たのもー?!」
ええ……と困りながらもトーストを焼くかーさん
とーさんはハハハと笑いながら、
「なんだ道場でも破るんか、そういえばさっき道場のハガキがきてたな」
ホレと見せてくれた1枚のハガキ。
いすゞ合気道道場ー門下生募集中ー
体験・見学はいつでも承っております。
道着を着て両腕をムキッとさせている白髭のおじーちゃんキャラクターが文字の横に描かれている。
年賀状のハガキのようにとてもシンプルなものだった。
このキャラクターはイエローみたいにムキムキだなぁと見ていて思った。
「おれも、ブルーみたいにどーじょーにいけば強くなれるよね?」
そうだなぁと、とーさんは自身のアゴを親指と人差し指で何回か撫でてから、
「強さはいっぱいあってね。響はどうして強くなりたいのかな?」
とーさんの言葉にポカーンとした。
強さはいっぱいある?どういうこと?
うーん、と悩みながら、
「強いのがヒーローだから?」
「ヒーローは強いよなぁ」
ハハハと笑いながらとーさんは頭を撫でてくれた。
「さっきの黒い悪いやつは強そうだったか?」
あの黒い怖いやつを思い出して少し目がうるっとした、怖かったあいつ。
縦にコクリとうなづいた。
「でも、あいつ悪いやつ……」
とーさんの手はまだゆっくりと優しく頭を撫で続けてくれていた。
「そうだね、悪いやつだね。強いけど悪いやつもいる。だから、強いだけだとヒーローでも悪いやつでもなれちゃうんだよ。」
強さがいっぱいある。
どうして強くなりたいのか。
その質問がやっとわかった。
「響はどうして強くなりたいのかな?」
優しい声でとーさんがまた問いかけてくれた。
「ブルーみたいにね、こわくてもね、たいせつなもの守ってあげたい」
とーさんは椅子からおり両手を僕の肩にポンと乗せてながらしゃがんで目線を合わせてくれた。
「じゃ、ごはんしっかり食べてから後でとーさんと道場見学に行こうか」
「うん!いく!いっぱいたべる!」力強く答える。
「あら、じゃ今日はニンジンもちゃんと食べて強くならないとね」
うふふと笑いながらかーさんが小皿に盛り付けたにんじんサラダを3つテーブルに置いた。
「う…………た、べる……もん…………つよく、なるから……」
いただきますと3人で声を合わせてから朝ごはんを食べる。
トースト、好き。
目玉焼き、好き。
ソーセージ、大好き。
にんじんサラダ……ぐっうぅ……!す、すっきっっぇふ!!
今日はいつもよりちょっぴりだけ強くなれた気がするなと、にんじんサラダを飲みこみながら思った。




