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第2章 第14話 間奏曲・特別へと至る道
〇珠緒
「どいつもこいつもくだらないですわ」
才能が違うから。天才だから。自分ではどう足掻いたって勝てない。だからあなたも勝てない。
全ては無様な負け犬の言い訳。そんな凡庸な思考で特別に至れるはずがない。
「天才だって完璧なわけではありませんわ」
天才だって間違えるし、自分を理解できていないし、誰かに縋るし、自ら特別の道を降りたりする。
だからこそ歩みを止めるわけにはいかない。それこそが特別へと至る道。凡庸な天才では決して辿り着けない境地。
「お願いしますわっ!」
仕事や家事、色々なものに追われながらもバレーを続けているママさんたちにそう叫ぶ。
歓迎会? そんなくだらないものをやっている暇などわたくしにはないんですのよ。
凡庸で終わりなどしない。必ず特別へと至ってみせる。
わたくしは体育館の固い床へと飛び出した。




