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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第三幕   大海原にて天と地を臨む男の探遊記
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17 「謎のマスク男の導きのままに、危険に立ち向かう噺

 ここのねぐらに住み着く魚人のメスが卵を産むのに、必ず使われると言う洞窟。


 魚人のメスは、一度卵を産むと死んでしまう為、ここには生まれたばかりの赤ん坊以外は、誰も寄りつかない場所。


 メスが現れないという異変が起こらなければ、オスが来る事などない洞窟。


 そうでなければ、こんなに簡単に聖樹が発見される事はなかっただろう。

「間違いありませんね。“不老の聖樹”ですの。では聖樹の効果を無効化しますね。これで成長の止まっていた魚人の方々も元通り、時間が進み始めると思いますよ」


 今回の戦後、生き残った魚人の数は、元々このねぐらにいたのと変わりない数だと後に判明する。


 しかも年若い魚人が、どうやら増えたようだと喜んでいた。

 程なくして、メスの出現となるだろう。


『これで一件落着か?』


 魚人が抱えていた問題は、確かに解決された。


 これでミルのグレートソードの修復が完了すれば、この海底からも脱出できる。


 ウイックは地上の空気が恋しくて、思わず潜水帽の中で深呼吸をした。

『げほげほげほっ』


『大丈夫ですか? ウイックさん』


 隣にいたイシュリーが優しく背中をさすってくれる。


 お返しに彼女の胸を撫でる。厚手のグローブ、厚手の潜水服ではほとんど感触もないのだが、イシュリーは満面の笑み。


 近頃同行者が増え、先々で出会う少女が多くなるに連れ、スキンシップが減っていたので嬉しいようだ。


『やれやれ、やっと来てくれたか』


 洞窟の中を調べるか否か、相談を始める一同の前に、そいつは静かに近寄ってきた。


 口籠もって聞こえるが、ウイック達のような潜水帽で遮られているようではない、恐らくそのマスクが阻害してのことだろう。


『お前が首謀者か?』


 容疑者の登場で、ここで幕引きにはできない事を思い出し、男性声のマスクマンに敵意を向ける。


『何を持って首謀者というのか? 俺は実行犯ではあるが、それは俺の手元に都合のいい物が揃ったからであって、今回の事を考えたのは俺だが、俺が動機をもって、行動しているわけではない』


 何か抽象的に誤魔化しているようで、こちらの質問に端的には答えてくる。

 こいつはタダの使いだ。


 だからと言って、他に手掛かりがないのだから、どうにか情報を聞き出さなければならない。


『俺が命令を受けたのは、お前達をこの奥の空間に、どうにかして向かわせる事のみだ』


 怪しい男は、どう言う意図で語っているのかは計り知れないが、自ら情報を提示する事で、こちらを誘導しようといているようだ。


『この奥に何がある?』

『行ってみれば分かる話だ』


 ウイックとのやり取りの中、投げてきた物を受け取ると、それは驚くべき、本物のメダリオンだった。


『これをやるから先に進めと?』


『そんなつもりではない。興味がなければ帰ればいいだけのことだ。だが進むというのなら、そこの竜娘に使ってやるといい』


 どうやら主導権を取り戻すのは無理なようだ。


『これ、もう引けなくなっているんじゃあねぇか』


『そうね、いつもの私達なら、行くしかないわね』


 もちろんウイックの考えは決まっている。


 だが現状この場の決定権は、やはり皇女殿下にあると考えるべきだが……。


『良いのではないか? メダリオンが関係すると言われれば、私は蚊帳の外に追いやられるのが残念だがな』


 この即断力が吉と出るか凶と出るかは分からないが、一同はマスク男を捕獲し、亀甲船に監禁した。

 男の懐にあったマーカーも取り上げた。


 そして一度潜水服を脱いで、マニエルに“操体そうたいの秘術”を施し、再度魚人の産卵洞窟へ向かう。


 ここでもう一人、意思を確認しなくてはならない少女がいる。


「もちろん私にも、見に行く権利があるということよね」


 セイラは自らの意志で同行を願い。


「なぜ? ワタクシがとは思いますが、いいですよ。探し物は済みましたので、お供いたします」


 ここにいるメダリオンの烙印を押された少女は6人。


 全てがウイックと共に先へと進む。


『なにかあるね。神話時代の遺物、秘宝で間違いないと思うよ』


 いち早く遺物に気付いたのはイシュリーだった。


 呼ばれて、調べ始めるアンテは、それが何なのかまでは分からないが、マスクの男が見せたかったのは、これではないかと判断する。


『確かにこれ以上は奥に進めないな。潮の流れはあるが、俺達が通れる隙間はねぇからな』


 そこにあったのは奇妙な胸像。


 どこかの国で見た事があるような、宗教の象徴にされている鳥人の像。


 それが秘めているのは、奇妙なマナの流れ。


『こいつをどうすればいいんだ?』

『待ってウイック、不用意に触れないで!』


 慌てて制止するアンテだが、もう遅い。


 岩の上に置かれていた胸像を持ち上げた途端に、目の前の空間が歪んだ。


『なんだ、やっぱり罠だったのか?』


 胸像を投げ出し、直ぐ側にあった誰かの手を握り、事態に対処すべくウイックは理力を高めた。

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