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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第三幕   大海原にて天と地を臨む男の探遊記
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1 新天地に放り出されたら、絶体絶命な感じになる噺

 魔門界からの帰還。転移門を抜けた先は、眩しいくらいの晴天。


 青い空に白い雲、拡がる大海原は遙かな眼下。


「なんじゃ、こりゃああああああ!?」


 渡り鳥の群れが飛んでいる。


 かなり小さく見えているが、その実は翼を広げれば人の身長ほどもあるが、それだけウイック達が高い空にいるのだと目測が立つ。


「あんの、露出狂がぁ、最後の最後にやらかしやがったぁ」


 自由落下を始める少年少女は、大声を上げて慌てふためく。


「ウイックはプロテクターを着けて、マニエルはイシュリーをお願い。ミルは僕が捕まえるから」


 ゴーレムハンドを装着するバックパックでミルをキャッチし、巨大な手に座らせる。


 マニエルは翼を広げて、イシュリーの両手を掴んだ。


「ぷぷぷ、プロテクターぁあってぇ!?」


 アンテが用意したバックパックには浮遊能力がある。


 プロテクターのバックパックにも同じ機能を持たせているので、装着を促したのだが。


「ウイックぅ!」


 アンテは慌てて遠隔操作で、ウイックを鎧で囲い、急制動をかけた。


「ウイック暴れないでね。僕が誘導するから」


 ゆっくりと追いついたアンテが、失神寸前のウイックに声をかける。


 そこからはウイックにも、空中散歩を満喫できるくらいの余裕が生まれ、遠くに見える山々に目を向ける。


「ありゃ中央大陸の北部山脈か? って事はここは内海ってことか」


 中央大陸の北部と南部を分かつ海、内海洋と公的に呼ばれる大海原、まだ高い位置にいるから陸地もよく見えるが、このまま落ちれば底も知れない遠洋の藻屑。


「海面に打ち付けられるのは避けられたけど、このままじゃあ不味いんじゃあないのか?」


 練習がまだなプロテクターの操作をアンテにしてもらい、落ち着きを取り戻したウイックは沿岸の都市と山々に目をやる。


 陸地が遠い事を再認識し、周囲に小さな島なんかも見当たらない。このままではマニエルの体力の心配も必要になる。


「見てください。ほぼ真下」


 イシュリーが何かを見つけたようなのだけど、体の自由の利かないウイックと、ゴーレムハンドに腰掛けているミルに真下は確認できない。


「船がいるね。それもひぃ、ふぅ、……六隻も」


「それだけじゃあないよ。ちょっと遠いけど、周りからもっと多くの船が近付いてる」


 アンテが足下を観察し、マニエルは少し遠くを凝視する。


「おお、あれか?」


 妹が見つけた船団なら見えるウイックは、更に目を凝らし、その視線に反応した眼帯、“モニターバイザー”はズームが掛かって、遠くの物を近くに見えるようにする。


「あれ、海賊旗が上がってるな」


 こうなったらどこの船でもいい。とにかく海面に落とされる危険は回避された。


 ウイックの判断で眼下の中央にいる船に降りる事にする。


「こいつも海賊船か?」


 中心の船を囲む五隻の船には、ドクロのマークは見当たらない。


 巨大な木造船の甲板に降り立つ五人。異様な姿のウイックに注目が集まり、マニエルの竜の翼は目立つ前にしまう事ができた。


「なんだか立て込んでそうな雰囲気ね」


 プロテクターをストレージに収納するウイックに近寄るミルが、異様な空気を察知する。


「そこのお前! 海賊の仲間か?」


 甲板上、二手に別れて睨み合うその中心に降りてしまい、ウイックの右から飛んでくる声に反応して、思わず感嘆の声を上げる。


「すごい別嬪べっぴんさんだな」


 その言葉にピリつく四人の少女達。


 なぜかミルも不機嫌になり、他の三人同様に、声をかけてきた甲冑姿の女性を睨む。


 真っ白なフルプレートアーマーと同色の腕当て脛当て、左手には盾を持っている。


 その後ろには騎士風の全身鎧が結構な数、控えている。


「こっちが海賊で間違いないわね」


 反対側には一人一人が思い思いの服装、統一感のない武器、むさ苦しい男の一団。


 だがその後ろ、一段高いデッキにはこの海賊団の団長なのだろうか?


 海賊帽を被った、色香を感じる雰囲気の女性船員が立っている。


「なんだ、帝国騎士団の援軍ではないのか? いきなり降ってくるから、奇抜な作戦でも仕掛けてきたのかとビックリしたけどね」


 話の流れを読んで想像するに、つまり帝国騎士団の船が海賊船を包囲し、この船には海賊団の頭目と思しき女性が乗船しており、あの鎧の美女が騎士達を引き連れて乗り込んできた。と言う構図になっているようだ。


「おい、お前ら! 海賊でないのなら大人しく引っ込んでいろ。こちらの用件が済んだら事情を聞かせてもらう」

「あんたら何か面白い連中だね。ちょっと待ってな。直ぐ片付けるから、そうしたら色々聞かせてくれないか?」


 現状、海賊団は絶体絶命のように見えるが、団長は余裕の表情、その様子に苛立ちを隠せない騎士団長? らしき鎧美女が息巻きいきり立つその時。


「報告しまぁす!」


 騎士団の後方から声が届く。


「我が船団を囲うように、海賊の船が接近、完全に包囲されておりまぁす!!」


 報告後間髪入れずに砲撃の音、複数の雷撃。


「ようし! こちらからも畳み掛けるよ」


 包囲網の中心にいるこの船からの砲撃も始まり、騎士船団は瞬く間に海の藻屑に消えていく。

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