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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第二幕   類い希な生い立ちを過ごした男の探遊記
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24 斬新な娯楽で、魔人を制する勝負に賭ける噺

「この箱の範囲内で、上から下に落ちてくる連なったブロックを、色と形を合わせて重ねていくと、条件に合わせてブロックは消えるの」


 マニエルが最初に選んだのは落ち物パズルゲーム。


「色付きのブロックを消すと、対戦者にお邪魔ブロックを送る事が出来て、そのお邪魔ブロックは、隣接する色付きのブロックを消すと、それに巻き込まれる形で消す事が出来るのね」


 このゲーム遊びは二年前にアンテが作り上げた物で、ここのところ暇があればマニエルは一人で遊んでいた。


「そうして相手の邪魔をしながら、相手の箱いっぱいにブロックを積み上げたら勝ちになるゲームね」


 アンテが作ったいろんなゲームの中でも、この落ち物パズルは、マニエルが最も自信が持てるゲームの一つだった。


 一度マニエルが疑似人格を相手に、一人でプレーして見せると、ジャコウはすぐにゲーム内容を理解して、マニエルに変わって試してみると、初めての挑戦ながら、高得点を上げて脅かしてくれたものだ。


 それでもマニエルには十分な自信があった。


 このゲームは疑似人格なんかより、初心者でも人を相手にした方が、難易度が上がる事があると実体験で理解している。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん、早くやろ! 早くやろ!」


 マニエルは発案者のアンテをも凌駕する腕前をしている。


 初心者相手なら勝ったも同然なのだが、念のために保険を掛けて、ゲームは三種類の三本勝負に。

 しかしその判断は間違いであった事を、この数分後に知る事となる。


「くっそー、全く歯が立たなかった。この僕が遊びで弄ばれるなんて……次、次のゲームをやらせてよ。はやく!」


 落ち物パズルゲームはマニエルの圧勝だった。勝負は七本やって、全勝。


 最初にちゃんと決めていなかったので、ジャコウが納得いくまで続ける羽目になってしまったのだが。


「今のは特別だからね。この後のゲームは一発勝負でいくからね」


 ここまでうまくいくのなら、ゲームを三本勝負にしていなければ、これで決着となっていたものを。

「いいえ、この分なら3ゲームやっても完全勝利できるはず、……今度はこれよ」


 マニエルが次に画面に映し出したのは、タイヤの付いた乗り物に乗って、コースを三周するレースゲーム。


 コース中には特殊なアイテムが設置されていて、走行の妨害ができるので、最後まで緊張感を切らせるわけにはいかない。


 エキサイティングな内容に、ジャコウは今度もすごい食いつきようで、一人のお試しプレーも、こちらがそろそろと声を掛けるまで延々と続けた。


「いいな、いいな。大海洋界にはこんな楽しい物があるんだね。もっと早くに知ってていれば、つまらない魔界の生活も、もっと楽しかっただろうにな」


 大海洋界でもこんな娯楽は、ランドヴェルノの工房とアンテがいるバンセイアの町にだけ、大量生産して世界中で売れば、工房は世界一の大企業になる事は間違いないが、今のところその予定はない。


 目を輝かせる子供のゲームセンスは侮れるものではない。


 レースの決着は終盤までもつれ込み。


「うそ、負けちゃった」


 最後の最後までリードしていたマニエルは、起死回生のアイテム攻撃を受け、ゴール直前でスピン。その隙をついて抜き去っていったジャコウが先にゴールした。


 まさかの展開。これで勝負は一対一のイーブン。


 最終対決にマニエルが選んだのは、二次元の人型の戦士が、一対一で対戦する格闘ゲーム。


「こんなの、自分の拳で殴り合った方が、絶対に楽しいに決まってるじゃん」


 ジャコウの反応はもっともで、初めはマニエルもそう思い、アンテに食って掛かった事がある。


 しかしこれは、単なる戦闘シミュレーションの域を超えた、れっきとした娯楽の最高峰の一つだった。


 最初はバカにしていたジャコウだが、開始数秒で虜となり、用意されている全キャラを一通り制覇するまで、マニエルとの対戦をOKすることはなかった。


「いよいよこれで決着だからね。二本先取の一本勝負。いくわよ」


 マニエルが選んだのは屈強な体付きだが、スピードもパワーもバランスの取れた、操作性に優れた格闘家タイプ。


 対するジャコウが選んだのは、小柄な女剣士で、武器は必殺技を繰り出す際にしか使用しない、スピードで翻弄するタイプの格闘メインのアンバランスなキャラだった。


 攻撃は該当する丸い突起を押すだけで発動するノーマル攻撃と、十字の形をした突起を決められた傾きで滑らしたり、丸い突起を連打するなどの特殊な打ち込みで繰り出される必殺技とがある。


 その組み合わせとタイミングで敵にダメージを与えていくのだが、これもまたジャコウは他のゲーム同様、初心者にあるまじき神業を連発し、マニエルを追い込んでいく。


 しかし今度は先ほどの、レースゲームの時のような逆転劇をマニエルが見せた。


 かなり凝った打ち込みが必要な、特殊な操作で発揮される、超必殺技を劇的に喰らわせて、一本目を先制し、二本目は危うい場面も見せることなくあっさり勝利して見せた。


 超必殺技の派手な画面演出に心奪われて、今度は自分の手でと焦ったための、ジャコウの自滅で勝敗は決してしまった。


「かぁ、負けちゃったかぁ~。でも楽しかったよ。ビックリだ。本当に面白いなこれ」


「なんなら上げるわよ、これ。他にもいろんなの入ってるから、後で一通り遊び方も教えてあげる」


「本当に!?」


 これにてマニエルは勝利をもぎ取り、自分に向けられていた興味も逸らす事が出来、娯楽のジャコウを完全攻略したのだった。

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