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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第二幕   類い希な生い立ちを過ごした男の探遊記
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7 思いもよらず、いい物を貰っちゃった噺

「あの子といると危険が付きまとう。これを知った上で貴方達がどうするか?」


 それは任せるわ。と最後に付け加えて、マーリアは席を立った。


「ウイックさんが、私と子作りをしてくれない理由は分かりました。良かったです。言葉では優しいけど、私に全く興味がないのに、付き合ってくれてるだけかと思ってました」


「ないない、イシュリーみたいな子、間違いなくあいつの好みのど真ん中なんだから」


 なら尚のことウイックにくっついて行き、いつかは伴侶に選んで貰う。イシュリーの目標はより明確な願望へと膨らんだ。


「私も一緒に行くわよ。危険度が増すって事は、それだけ経験値を稼げるって事だし、癪だけどあいつは私より強いもの。レベル上げをするなら、一緒の方が自分の為にもなる」


 覚悟のほどは温度差もあるが、この二人ならウイックをちゃんと仲間として接してくれる。マーリアは心から二人に感謝した。


「だったら先ずはイシュリー、マスクと防具をちょっと出して」


 言われるままに防具を外し、背中に引っかけていたマスクを渡す。


「もしかして貴方達、異空間ストレージを持ってないの?」


 ウイックの使う“異納いのうの秘術”を商品化。異空間ストレージは、ランドヴェルノの名前を世界に轟かせた一番の発明品。


 五つの平行世界とはまた違う、生き物を生み出すには小さすぎる空間を利用し、持ち物を収納する。今でもランドヴェルノ工房に届く注文の大半がこれという人気商品。


「そんなの持ってませんよ。高いのはもちろんだけど、何より今すぐ注文を受けてもらえたとしても、受け取りは三年後なんでしょ?」


 注文の受付は冒険者協会で行っていたし、何度かお金がある時に、事務局に行く機会もあったのだが、ミルは注文をしなかった。いや、その時はすっかり忘れていたのだ。


「イシュリーはともかく、まさか冒険者で、秘宝ハンターをしている、貴方まで持ってないとはね」


 マーリアは軽く溜め息を吐いて立ち上がり、リビングから出て行くと数分で戻ってきて、二人に金色のブレスレットを渡した。


「これって?」


「ストレージよ。それを使えば異空間と繋がって、荷物を収納できる」


「ちょ、ちょっと待ってください。今は持ち合わせが……」


「いらないって、そんなの。息子の仲間からは貰えないから」


 どこぞの貴族が生活に便利だと、冒険者でもないのに注文してきた伝票を後に回して、持ってきた商品を知り合ったばかりの女の子に渡す。


 後先考えない思いつきのお陰で、二人は冒険者が喉から手が出るほど欲しがる、レアアイテムを手に入れる事ができた。 


「そんじゃあ本題に戻して、イシュリーの防具をちょっと弄りたいから、二人とも工房に来てくれる?」


 だったらストレージを取りに行く時に、二人を連れて行ってればいいものを、とは突っ込まず、大人しく付いていく。


 住居部と工房は同じ建物にあって、扉を三つ潜った所に大きな作業台が置いてあった。


「これは精霊力が随時、精霊界から供給を受けられる、獣王の神殿で使うにはいいけど、他の場所だと、あまり付けている意味ないでしょ?」


 埋め込まれた精霊石が、精霊力を増幅してくれる。精霊のマナが濃い場所なら能力を十分に発揮するが、大海洋界ではそんな都合のいい場所はほとんどない。


「理力を精霊力に変換できるようにしてあげる。それならどこに行っても、マナの割合がどんな状態でも、十分にエネルギーを受けられるようになるから」


 エルラムが使ったマナを薄くする技術については、対処法は今のところはないけれど、これ以上ない支援を貰って、イシュリーは興奮を覚えた。


「前々から用意はしてたんだけどね。イデアがまだ早いって言うから渡せなくてさ」


 神殿の守り手には精霊が力をくれる。修行に出たなら精霊の力に頼る事はない。だから

この装備は必要ないと止められていた。


「ミルにも何かあげたいけど、今すぐあげられる物がないのよね」


 彼女が使うグレートソード、ショートソード、短剣を見て、その業物に感心してくれて。


「防具は私が作ったものを使ってくれてるんだ。大切にしてくれてるんだね」


 しかしその防具もあちらこちらに痛みがある。今晩は泊まるのだからと、後で打ち直してくれることになり、三人は工房から住居へ戻った。


「あの子達まだ帰ってないじゃない」


 そろそろ昼食の準備をしたいと思っていたのに、いったいどこまで行った事やら。


「そう言えば、今更ですけど、今日は工房はお休みなんですか?」


「あの子が帰ってくるって聞いたからね。職人さん達も快く、休みにするのを賛成してくれたから」


 待っている間、またお茶菓子を出して、椅子に座ってお喋りを始めたところ、入り口の扉が大きな音を立てて開き、マーリアを大きな声が呼んだ。


「大変だマーリア、魔物が現れた。町でウイックを見掛けたから、先に行ってもらってる」


 今日は領主もいないはず、ミルは防具を取りに行く時間も惜しんで、三人は急いで現場に向かった。

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