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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第五幕   若くして新たな伝説を残す男の探遊記
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37 更なる猛攻、全てを終わらせる一撃を生み出す噺

「ようやくお出ましだな、きっとあいつ倒せたら終わりだ。頼んだぞみんな、俺も最後の準備するからよ」


 マニエル、イシュリー、そしてミルにもマナを送り込み、ウイックは可能な限り最大限の理力を高めるべく集中を始めた。


「ウイック、まずいぞあいつ、人種ひとしゅ姿の時や触手の時より更に強い。もう一度私達にも力を分けてくれ」


「お待ちくださいアーちゃん、ウイック様は最後の力を蓄え始めましたから」


「そう……か」


 アーチカもまだ連闘は可能だが、ここはミル達の戦いを見て次の行動を決める事にする。


「エル、アンテもまだ行ける?」


 ミルはフランシュカを手に二人の近くまでやってくる。


「問題ありませんわ。見てくださいまし、この術衣」


 華やかなドレス姿は、戦闘服からは一番掛け離れたモノ。


「ウエディングドレスまで黒いのね」


「一生で一度きりの晴れ姿ですもの、自分が着たい物を着るのが一番でしょう」


「既に一生で一度ではなくなってるけどね」


 この一着で今までエルラムが使用してきた術衣の全ての能力を持っている。


「ですので続闘可能ですの。ワタクシが妖力を枯渇される恐れはございませんので」


 自動治癒、体力回復も付与されているので、即死を食らわない限り、何時まででも戦い続けられる。


「僕の方も似たようなもんだよ。僕の場合はユニットの起動にたくさんの理力が必要になるだけで、動き出したら機体が勝手に、自然界からエネルギーを補給するからね」


 ここからの戦闘、参加するのはミルとイシュリー、マニエルとアンテ、それからエルラムと……。


「やっぱり高みの見物?」


「そう言ってくれるな。妾にも事情というモノがある」


「冗談よ。ごめんなさい、そこから祈っててね」


 セレーヌは何かの縛りがあって戦ってはもらえない。


 だがウイックの背中に手を当て、理力を集める手助けをこっそりしてくれている。


「それじゃあ、サクッといきましょうか」


 先ずは戦闘態勢が整っているアンテとエルラム。


 大魔王は長髪の青年の時よりも荒々しく、触手の時ほどではないがパワーも十分。


 例の黒い闇を出す様子がないと見て、先ずはアンテのワークボットが大魔王と四つに手を組む。


 体格差は倍以上、上から覆い被さるように力を加えているのに、パワーで押し切る事ができない。


「背中ががら空きですわよ」


 エルラムはサーベルを抜き、高速で突きを繰り出すが、筋肉のカーテンは思いの外堅く、間もなく粉々に砕けてしまう。


『大魔王の体は微振動を起こしているね。攻撃の力を散らされるから注意して』


「そう言う事はもっと早く教えて欲しいのですの。アンテさんはちょっと気配りが足りませんわよ」


 サーベルを捨てたエルラムは法力の光剣、“ライトサーベル”を生み出し、改めて攻撃する。


「悲鳴一つ上げないなんて、可愛げがありませんの。でしたらこれは如何ですか?」


 エルラムは大魔王とワークボットの間に転移し、無防備にさらけ出された胸部にありったけのマナを込めて秘弾、“ブラスト・レイ”をぶち込む。


 焼けただれる皮膚、直ちに再生が始まるが、アンテは先端の尖った螺旋状の槍、ドリルの付いた右肩で胸を貫く。


「次、私の番ね」


 マニエルが竜化し、巨大化する。


『って、マーニーその姿!?』


 純白の竜は体中が淡く光、内側から漏れ出ている魔力は、あのまだ八代魔王の中でも年若い獣人にも匹敵する。


 その魔力を維持したまま、今度は人の姿とサイズに変わる。


「その角は神聖竜のものではありませんの!? マニエルさん貴方はいったい?」


「自分でもよく分かんない。けどすごく滾ってくるわ。覚悟なさい大魔王!」


 マニエルは角と腕のかぎ爪、翼と尻尾を出したまま人型を保ち、魔力全開で敵の胸に開いた穴から中に突っ込む。


「弾けてしまえ!」


 上半身を失う大魔王、これで勝負あり!


「とはいかないようね、行くわよイシュリー」

「はい!」


 イシュリーは精霊力を全開にし、幼い頃に母のイデアからお伽噺のように聴かされた伝説の獣王、“激獣王げきじゅうおう”の覇気を放ち、獣王拳の三倍を超える破壊力を発揮する、激獣王拳で下半身をぶっ飛ばす。


 即座に回復の始まる大魔王を、ミルは煌めく聖光気で白翼を二枚にし、四枚の光翼を白い羽根の上下に出現させる。


「六枚の羽根!? それって皇天使と同じってことか?」


 気を高めながら戦闘を観察しているウイックは、皆の戦い振りに興奮していたが、その翼には一際驚かされた。


「確か皇天使に昇華すると六枚の白翼を持つようになるんだよな。持たずにいた白翼を手に入れて、残りの四枚を光翼で補ったのか」


 今のミルを皇天使と呼んでいいのかはさておき、高めに高めた気を受けた大剣に変化をもたらし、更に大きな大大剣へと変貌を遂げた。


「行くわよグランテ・フランシュカ」


 原型を全く留めていないヴァファムーアを切り刻んだミルは、ウイックに最後のトドメを託す。


「ふん、まだまだこんなもんか、最後のトドメとやら、受けてやろう」


 ケダモノになった大魔王が、瞬時に再生し、初めて言葉を口にした。


「へへっ、いい度胸してやがる。いいぜ、俺も準備は整った。お前を滅ぼす、覚悟しやがれ」

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