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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第五幕   若くして新たな伝説を残す男の探遊記
180/192

27 消耗戦は人には不利な事だらけと実感する噺

 少女達の乙女としての能力は健在。


 しかし今のウイックは、不死身の再生能力を失い、無尽蔵に沸いてきていたマナも使えない。


「秘術は使えるが、エネルギー源を無くした状態じゃあ、秘弾みたいなデカイ術は一発が関の山だろうな」


「それならこれ、使ってください」


 シズが取り出したのは、エルラムが使用している術衣と同じ物。


「これを俺が着るのか?」


「下着も併用できますよ」


 ウイックに女装趣味はない。


 だが既に戦闘を再開しているミル達は、いきなり沸いて出てきた大群に少し苦戦気味。


「背に腹は替えらんねぇか」


 しかし流石に抵抗が大きく、ウイックは着替える前に“性換せいかんの秘術”を使った。


 平民服を脱ぎ、ウイックは“ぶるまぁ”を下着込みで着用した。


「くそ! この羞恥、あいつを切り刻んで償わせてやる」


 女ウイックは今までと違い、始めて内包するマナを掻き集めて、“光束こうそくの秘術”を使えるだけの理力を生み出した。


「ちっ、こんなんじゃああいつに届かねぇか」


 ザモンは配下のブラスデーモンとレッサーデーモンを盾にして、己は封印解除のための魔力を溜め続ける。


「攻撃を当てるだけでいいんだ。魔力を消費させるんだ」


 アーチカが奮起を促すと、理力を込めた剣で低級悪魔達を次々と切り伏せていく。


 セイラの補助術で切れ味を増した剣は血糊も残らず、ロングソードが煌めきを曇らせる事はない。


 エレノアもセイラに並び、地の精霊に働きかけ、空を飛べない前戦メンバーに足場を与え続ける。


 マニエルは竜変化をしてドラゴンブレスを連続使用、エルラムも大技を放つ。


 ピューレは二本の武器を両方大釜にし、つなぎ合わせた物を力一杯振り回して、ザモンに続く道を作っていく。


「行って! 二人ともお願い」


 大釜を分離して両手持ちで、穴を埋めようとしてくる敵の足止めを始めるピューレの横をすり抜けて、ミルとイシュリーは全力でウイックの顔をした悪魔を一刀両断、内蔵を破裂させる。


「本気出していいのよね?」


「ああ、聖光気で魔晶石を取り押さえても意味はねぇ、今のうちに石ごと完全にぶっ潰しちまえ」


 体を縦に両断したのに傷一つ付いていない魔晶石。


 石はマナの枯渇を招いたら、その強度を保てなくなる事を知っているウイックが、ラッシュを仕掛けるよう指示する。


 ヤツが儀式のためにマナを集めている今なら可能だろうと、数を減らし多デーモンの隙間を塗って、女ウイックの光束をヒットさせる。


 秘術士の攻撃を嫌ったザモンは、再び盾役を増加してくる。


「よし、焦りが見えるぞ。もっとマナの無駄遣いをさせるぞ」


 肩で息をするアーチカは引き続き小物を相手にするが、使い捨てにされているが仮にも悪魔族、一撃一撃の疲労感は半端ではない。


「アーチカ殿下、回復します。一度下がってください。ピューレ、援護しなさいよ」


「偉そうにすんじゃないわよセイラ! それとなんで私は回復してくんないの?」


「あんたはまだまだ元気でしょ、前の5人はもっと大変なんだから」


 分かったわよと不承不承に武器を一本持ちにし、長刀の高速突きで目の前の悪魔を、あっという間に片付けてしまう。


「か、回復はいいから食べ物よこしなさいよ」


「もしかして、自分のお弁当……」


「そんなのとっくに食べちゃったわよ」


 みんなの三十倍はあった補給を食べ尽くしたピューレに、まだほとんど手を付けていない自分の分を全て渡すと、セイラはアーチカの疲労回復にあたる。


 攻防は均衡を崩せず、少しは遅延できているのだろうが、ザモンは少しずつ魔力を高めているようだ。


「た、確かに術衣のおかげで、理力供給は万全だけど、俺自身がこんなに理力操作が上手くいかなくなるなんて」


 試しに“秘弾ひだんの秘術”を一度使ってみたところ、エルラムのブラスト・レイと同じほどの威力しか出せず、たった一発で体内マナ残量も満タン近くから、一気にほぼゼロになってしまう。


「それが普通だと思うぞ、ウイック=ラックワンド」


 精霊のコントロールをするエレノアが苦笑いを浮かべ、回復薬を女ウイックに渡す。


 瓶を丸々一本飲み干せば、確かに理力は回復できる。


 だが体に残る疲労感はアーチカ以上。


「ウイックさん、私が体力を回復しますのでお待ちください」


 シズが背中側に回り、女ウイックの胸を鷲掴み。


「ちょっ、ちょっと何してんだよシズ!?」


「あっ、いえ、……回復ついでに、いつも私達を触っているウイックさんの気持ちを知りたいかなぁ~って」


 確かに体は女だけれど、性感帯が男の時と変わっているわけではないので、女ウイックにはただただくすぐったいだけ。


 シズの方は初めての感触にやや興奮気味のようだが、ちゃんと仕事はこなしてくれて、ウイックは完全復活を果たした。

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