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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第五幕   若くして新たな伝説を残す男の探遊記
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13 黒き竜と立ち向かう少年少女の噺

 暗黒竜、伝承に出てくる魔物で最強の竜種。


 先に倒した金竜と銀竜と比べても倍ほどはある怪物。


 その鱗の一枚一枚が、最高強度の鉱物に匹敵すると同時に、魔力耐性……マナを用いた術に対する耐性が高く、表皮に傷をつけることすら至難の業。


「伝承にある勇者は暗黒竜を眠らすために、その額に剣を突き刺したという」


 聖天使の肩をポンと叩く。


「私にやらせるつもりか……」


 神にも近しい力を持つ暗黒竜、神話の少し後の時代、一度だけ理性を失って大海洋界で大暴れをした事があるという。


 そもそもが暗黒竜は魔門界でも、魔王が住まう魔界の深層に眠る竜。


 数千年周期で目を覚ますことがあるが、深い眠りの中で外界を覗き見て、分身である黒竜を放つらしい。


 歴史上の大事件は、我が子同然の黒竜を大量に殺されたことで起こった。


 その時は休眠期でありながら目を覚ました暗黒竜、大群で攻め込んできた天使の攻勢で葬られた我が子達に代わり大量虐殺を行った。


 大海洋界にまで逃げる天使軍の敗残兵を追って、この大空でも大暴れをした。


 責めてきた天使を全滅させるという目的を果たしても尚、収まらない錯乱状態で暴れ回る竜を、人種ひとしゅの勇者パーティーが奮闘し、どうにか怒りを収めて、眠りにつかせる事ができたという。


 その時に使われたロングソードは聖剣として、今はクラクシュナ王国の大神殿に保管されている。


「他にいないだろ?」


「剣士なら……」


 そう言われてアーチカもエレノアも目を逸らし、意味の分かっていないピューレは首を傾げている。


「大体、我々なんぞが剣豪殿に叶うわけがないだろう。援護はもちろんするが、当てにさせてもらうぞ」


 アーチカは剣豪であるミルに憧憬の念を抱いている。


 その期待に応えて欲しい。口にせずとも表情が訴えかけている。


「あいつは本物じゃあねぇ。叩き潰すだけだ。臆する事ねぇよ」

「あるわよ!」


 危うく騙されるところだったが、今までこのメンバーを引っ張ってきたのはウイック、勇者もこの男であるべきと考えているのはミルだけではない。


「現実の冒険に英雄譚なんていらねぇよ。第一俺みたいな素行の悪いのが勇者とか呼ばれたら、吟遊詩人や語り部が可哀想じゃあねぇか?」


「ウイックさんは既に伝説をいくつも作っておいでです」


「そうね。世界を破滅させるような事件を解決してきてるしね」


「術士の指南書のような発想力は伝説級だと呼べますの」


「伝説級のスケベェだもんね」


「マーニー、それ意味分かってる? ウイックは伝説級のスケコマシってやつなんだよ」


 脱線しまくりの初期メンバーを、後期メンバーは呆れた目で見守っているが、出会い頭のドラゴンブレス以後は動いていなかった暗黒竜は、ウイックの秘弾を受けて、体内のマナを最大級にまで高めて、ようやく動き出した。


「お遊びは終わりだ。ウイック、攻略のプランはあるか?」


 アーチカは迫り来る竜との距離を気にしながら、指揮権をウイックに譲渡し、自分は盾を構え、片手剣を下げた姿勢で走り出す。


 ピューレ、ダンルーが続く、エレノアが地の精霊に働きかけ、彼女らの足場を暗黒竜に届く位置まで高くする。


「ちょ、ちょいあんた、ウチまだそこまで行ってへんやろ!?」


 後衛組はウイックの側に待機しているが、どちらかと言えば前衛組のノアールも一緒に続こうとしていたのに、ほんのちょっと出遅れただけで取り残されてしまった。


「しかたありませんね。ワタクシがお連れしますの」


 自由に飛び回れるエルラムに抱えられて、ノアールは前戦へ。


 無茶ぶりもいいところなのだが、相手がどのような能力を持っているのか、伝承は読んだが攻撃に関しては、あまり記述がなかった記憶がある。


「強力なドラゴンブレスは持ってやがるが、障壁なんかは持ってねぇよな。アイツはあと何ができるんだ?」


 その問いに答えられる者はおらず、まさかその爪の一振りで風刃が生まれるとは思っていなかった。


 たまたま盾を前に構えていたアーチカが受け止め、飛ばされる前にいなし、その繰り返しで立て続けに押し寄せる風刃を全て躱した。


「爪攻撃はお前の専売特許やあらへんで! にゃーーーーー!!」


 ノアールは黒竜と同じように爪に妖力を集中させて、刃の如く飛ばすと、竜人化したマニエルも同じように風刃を放つ。


 後に続けとミルは剣の衝撃波を、イシュリーは獣王水撃破で水の刃を飛ばす。


 黒竜は角の魔力を高めて、強力な雷を落とす。


 飛んでくる攻撃は全て、きっと鱗で弾き返せたのだろうが、本能のままに行動する魔物は、魔力の無駄遣いをして相手の攻撃に対抗する。


 次いで翼を大きく羽ばたかせて、竜巻を巻き起こして、襲い来る少女達を呑み込もうとするが、セイラの張る障壁がみんなと黒竜の間に現れて、仲間達を護る。


 大きく口を開き、セイラ諸共に後方のウイック達に向けて、全力のドラゴンブレスを吐き出す。


「なるほどな、お前等! 兎に角何でもいいから攻撃を続けてくれ、どっちのマナが尽きるか、体力勝負だ」


 方針が決まり、ウイックはブレスに向けて秘弾を放つ。


 先ほどの竜巻など比でもない爆風が吹き荒れる。

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