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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第五幕   若くして新たな伝説を残す男の探遊記
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6 しばしの休息の噺

 弾薬は使い切った。

 剣や銃に回せるほどの理力もなく、このまま戦闘を続けられるほど気力も残ってはいない。


 マニエルはとっくに竜人化が解け、前戦をアンテに任せて、後ろから時々ブレスを撃つのがやっと。


「さすがにこれ以上は無理だ。ウイック達には悪いけど、一度後退するしかないよ」


 とは言え、全く無意味だったわけではない。


 多くの獣を葬った甲斐があり、辺りの瘴気は薄くなり、消した魔物門が復活する事もない。


「けど、まだまだ獣の数は尋常じゃないや。陛下、まだ援軍は届かないの?」


 他の戦場も似たような感じで、気付け薬で緊張を保っている状態ではあるが、余裕を残しているのは、術衣で妖力を補給できているエルラムくらいのもの。


 シズが仕立てた下着のおかげでここまで戦い続けてこられたノアだったが、もう息も上がり、グロッキー寸前。


 体力自慢のピューレは回復薬を使う事で、まだ戦闘を継続しているがそれもいつまで続くか?


 ダンルーも下着の恩恵空しく、体を動かすだけの妖力を削り、動けなくなっている。


 エレノアも精霊石が底を尽き、アーチカ直轄部隊もやられ、幕舎で全滅した先鋒部隊の生き残りの手当をしていたシズに来てもらい、大海洋界の精霊を呼び出す手伝いをしてもらっていたが、それも限界がきている。


 魔物門が消滅し、敵の増殖はなくなったとは言え、まだまだ獣は数えきれず残っている。


『増援の兵が到着した。みんなは一度引いてくれ、一休みしたら、また出てもらわんとならんだろうが、今は交代が可能だ』


 たった9人の少女達に代わって、帝国や王国、各諸国の騎士や兵士、多くの冒険者が援軍として上陸し、一気に戦場になだれ込んでくれた。


 前戦指揮所を引き払い、幕営まで引いてきた少女達を労い、用意された食事をアーチカとアイナも交えて囲んで食した。


「それにしても、なぜ新島が現れ、なぜ獣たちがあふれるほど出現し、なぜ凶暴になっているのか? 謎はその他にも色々あるが、調査の方は進んでいるのか?」


 エレノアは気になってアーチカに尋ねた。


 新島の突然の隆起と、見た事もない大きさの神聖樹の事はともかくとして、無数の魔物門が無数の猛獣を出現させるのかをハッキリさせるべきだと進言する。


「そんなに簡単に調べがつくわけないだろう。そんなのはもっと時間が経ってから、問題が片づいた後になるだろう」


 明朝になると聞いていた援軍が、しかも予定の数倍にまで増えて、思っていたより早く到着したのは、偏にヴァンナ海賊団と足並みを揃える各地の海賊連合艦隊と、帝国海軍も加わり大活躍したおかげで、海獣類を蹴散らすことができた。


 そして人魚が魚人と共に海中からも援護してくれたので、水路を安全に整えることができた。


「キャプテン・ヴァンナには大きな借りができたが、お前達が潰される前に部隊が到着してよかった」


 討伐軍は二手に分けられて、可能な限り昼夜問わずに、戦いを続ける手筈となっている。


 少女達は一度新島を離れ、安全の確保されている船上で夜を明かすこととなった。


「丸一日かけても、ウイック達はまだ出てこない。エルラム、メダリオンのある位置はそれなりに上の方だと聞いているが?」


「ええ、それは間違いありませんの。中を透かして見たわけではございませんが、幾重にも階層が別れていると推測します」


 アンテと一緒に可能な限りの分析をした。


 天高くそびえ立つ神聖樹内部は、ずっと上の方まで内側に空間があり、階層に別れていると解った。


 ウイックはチームを分けた。


 自分が突入組に入らなかった事が、かなり不満なエルラムだったが、バランスを考えれば、一番突破力のある二人が一緒に入ったのは当然。


「でしたのに、いったいミレファールさん達は何をなさっているのやら……、まさか三人で子作りに勤しんでいたりしませんよね」


「まさか? ミルさんだっているんだし、それにウイックが僕達の事を考えないで、そんなことする筈ないよ」


 この遠征でまさかゆっくりベッドで眠れるとは思っていなかったが、睡眠を必要とする7人は横になると途端に夢の世界へ、シズとダンルーも休眠状態に入り、しばしの休息の時間が訪れる。


「アーちゃん、ワタクシ達も横になりましょう。一緒に」


「このような時にふざけるのも大概にな。こうしている間にも戦いは続いているが、そうだな前戦司令が倒れてもおれんしな」


 アーチカは指揮官専用の部屋に入った。


「ですから一緒に!」


「冗談ではなかったのか?」


 どさくさ紛れに一緒に入室したアイナは、さっさとアーチカ用のベッドに横になる。


 頭を抱えながらも、心底疲れを感じているアーチカは、抱き枕の体温の心地よさもあって、瞬く間に眠りの淵に沈んでいった。

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