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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第五幕   若くして新たな伝説を残す男の探遊記
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4 神聖樹の外は地獄絵図になりつつある噺

「完全に囲まれている。直ぐに片付けるから、あんたは少し体を休めなさい。行くわよ、イシュリー!」


 ここまでに掛かった時間はもう既に四半日になる。


 神聖樹の外ではエルラム達が奮闘を続けていた。


「全く数だけは尋常ではありませんが、今いる獣風情なら、どうにかなりそうですの」


『油断はするな。世界中の魔物門は少しずつ減らせているそうだが、この島の物は消しても消しても、直ぐに発生している現状だからな』


 アーチカはウイックの仲間達とのみ、念話を使って直接指揮を行っている。


『神聖樹の中までは念話が通らん。ウイック達が戻るのにどれだけの時間が掛かるか分からんが、それまでには魔物門を全滅させるぞ』


 言うのは簡単だと、エルラムは頭の中で反論を述べ、ウイックを真似て範囲を拡げた殲滅術を連発する。


「あんま無茶しなや」


「ノアールさん、平気ですの。ぶるまぁのおかげで、妖力が尽きる事はありませんの」


 疲労の色を隠す事もできなくなりながら、更に術を使い続けるエルラムは、間もなく気絶寸前まで削られてしまう。


 別方面では竜人少女も全力でドラゴンブレスを放ち続け、一緒にいる錬金術師は修理したワークボットで大群に囲まれながらも善戦している。


 人形神ひんながみはラティアンと組んで暴れ回り、人魚が後方援護をして成果をあげている。


 エレノアは単身で多くの精霊を召還して奮闘中。


「援軍はまだ来んのか?」


「落ち着いてくださいアーちゃん、司令官が取り乱しては兵に悪影響がでますよ」


「そんなこと、言われなくても……。というか、なぜこんな所まで付いてきているのだアイナ!?」


 指揮所を神聖樹の根元に置き、簡易的に作ったMAPを使い、戦況を整理しているアーチカの手元を覗き込むドレス姿の少女を一括する。


「なぜって、ここが前戦だからに決まってるでしょ」


「お前には後方の幕営で、負傷兵の手当を頼んだはずだぞ」


「負傷された方のお世話なら、より戦場に近い方が効率的でしょ」


 外交に手腕を発揮するアーチカも、姫巫女として民の悩みを数多く効いてきたアイナに口で勝つのは難しい。


「もう分かったから、だがこれだけは譲らん。お前は絶対このテントの外に出るな。これが最大の譲歩だ」


「はい」


「それと、せめてアーチカと呼ばんか! 緊張感を持て緊張感を」


「はぁ~い、アーちゃん」


 深い溜め息を吐くアーチカに、アンテから報告が入る。


『なんだ、何かあったのか?』


「こちらは新島の南部にある荒原、今まで見た事もない大きな魔物門を発見。ドラゴンや地下世界で見た恐竜なんかの大型の獣がわんさか出現している。僕達だけじゃあ対応しきれないよ」


 と言う報告が西のエルラム&ノアール組、東側のダンルー&ピューレ&セイラ組からも同じようにアーチカに届く。


 もちろんと言わんばかりに、北のエレノア率いるアーチか直轄の帝国軍兵士達の前にも、多くの巨竜が立ちはだかる。


「不味いぞウイック、早く戻ってきてくれ」


『援軍はまだかな?』


「アンテ悪い。最新の報告でも、各地の魔物門の処理が思うように進んでおらず、こちらに向かわせてもらえたのは帝国軍で八師団、王国で三師団、こちらに到着の予定は明朝となるそうだ」


 その報告は念話で繋がる皆に同調されており、全員が一様に驚きの声を上げた。


「まさか前戦部隊が、僕達の到着を待たずに全滅していた事も驚きだったけど、援軍もなしだなんてありえないよね」


 大物を相手にするためにマニエルは竜化し、ワークボットもフル装備で対抗しているが、巨大魔物門まで届かず、巨竜が減る事はない。


「こっちが獣を引きつけている間に、工作部隊が魔物門を消して回るって言うからOKしたのに」


 残弾が心許なく、一度撤退したいというアンテに、アーチカは首を縦に振る事ができなかった。


『済まないが今暫く耐えてくれ、こいつらの目的が読めんのだ。これだけの獣が現れるには何か理由があるはずだ。何とかして、この大発生の原因をつきとめなければならん』


 そうは言われても、このままジリ貧で消耗を続けても、何も建設的な勝算は生まれてこない。


『今、ハッキリしている事は、そこにいる害意の一部が神聖樹に入っているという事だ。ウイック達を追っての事かもしれん』


 それを聞かされて、少女達の表情が険しくなる。


 アンテは予備弾倉までも取り出して持てる限りの最大火力をセットし、マニエルは竜化を解き、竜人状態で魔力を集中して濃度を高める。


 ダンルーは人形神ひんながみの元となる器を更に禍々しい物に置き換え、ピューレはセイラの強化術で胆力を上げ、予備にと用意してもらった武器をもう一本取り出して二刀流の構え、更にセイラは二人に防御術を最大限に張った。


 エレノアは彼女の呼びかけに応えてくれる精霊を最大限召還し、中には大精霊と呼ばれるエレメンタルにも協力してもらって、簡単には精霊力が尽きる事のないように、精霊石をありったけ取り出した。


 ノアールは出し惜しみ無しに、持ち合わせている呪術具の全てを発動させた。


エルラムは薬を使って気力を取り戻し、反撃の狼煙とばかりに、ウイックの最大火力を真似た法術、“スペクトルキャノン”で多くの敵を葬った。

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