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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第五幕   若くして新たな伝説を残す男の探遊記
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1 新たな冒険はまたも波乱含みなスタートな噺

 各地の冒険者組合や、傭兵にも依頼して、各地に出現した魔物門に当たってもらっている。


 世界会議で緊急の連合軍が組まれ、新島攻略前戦指揮官に任命されたウルアイザ帝国の第三皇女、アーチカ=フォン=ウルアイザークの指揮下に入ったウイック達も、指揮所のある幕営へやってくる。


 新島の北側にある砂浜から上陸し、そこからすぐの崖の上にある丘に幕営を敷き、獣魔などの掃討に軍を派兵させている。


「なんだ、姫さんもいたんだな」


 幕舎内にはクラクシュナ王国の第二王女、アイナニナ=ナハル=クラクシュナの姿。


「お久し振りです。ウイック=ラックワンド様」


「久し振りってほども経ってないがな」


「神殿で新島の話を聞きまして、急ぎ参りましたのよ」


 そう、実はアンテの呪いを解いてオーガイルへ向かう頃には、地上では大騒ぎが起きており、アーチカ姫の親衛隊員が、海底都市にウイック達を呼びに来たという時間の流れがある。


「その節は、シズ様にもお世話になりまして、誠にありがとうございました」


「そ、そんな勿体ないお言葉……、お、お顔をお上げください」


 強い呪詛に当てられ、肉体から魂が抜けてしまった兵士等を、シズは生き返らせた。


 死人返りにはかなり厳しい条件が必要となるが、本当に運が悪いというかタイミングが良かったというか、原因がウイック達にあった以上、詫びを入れないといけないのはこちらの方だ。


「ではあの件に関しましては、貸し借り無しということで」


 あっさりと割り切りのいい12歳は、改めてウイックの仲間達に挨拶をした。


「本当に久し振りと言うほども時間が経っていないのに、随分とめかけの数を増やしたものだな」


「陛下よ、言葉に険があるぞ。何か怒ってねぇか?」


「怒ってなどいない。それと私の事はアーチカでいい。敬称もいらん」


 ここには海底都市にも一緒だった親衛隊もいて、クスクスと笑っている。


「にしてもまさか姫様も……」


「ああ、ワタクシの事もアイナで結構ですよ。仲間外れはお止しください」


 見た目はウイック達と大差ないが、その表情は年相応。


「ああ、うん、それでアイナも出撃するつもりなのか?」


「そんなことさせるわけなかろう。アイナニナ王女は王国の象徴だ。兵士の士気を高めるために赴かれただけだ」


 前戦指揮官のアーチカ、姫巫女であるアイナニナの存在は、実際に兵士達のモチベーションを上げている。


「ワタクシも戦場に立ちますよアーちゃん」


「公務中にアーちゃんはやめろと言ってるだろ、アイナ!」


 親衛隊の二人のクスクスが大きくなり、アーチカは二人にも注意をし、咳払い一つで仕切り直そうとするが、そうは問屋が卸さない。


「二人はどういう関係なんだ?」


 帝国と王国は友好国というわけではないが、今現在は敵対もしていないので貿易は盛んに行われている。


 確かにアーチカ姫は外交を積極的に推進していると聞いてはいるが、姫巫女であり、あまり外交の場にいる事のないアイナニナ王女との接点とは?


「私と王国の第一王女が友人関係なのだ」


「アーチカ様はよく王宮にもおいでになり、幼いワタクシともよく遊んでくださったんです」


 アーチカは話を本題に戻し、ウイック達の実力を当てにして、最前線へ向かって欲しいと依頼するが。


「すまねぇ、もちろん姫さん等を手伝うつもりで来たし、戦場がどんな場所でも構わないんだがよ」


 ウイックは自分を含む数人の別行動の許可を求めた。


「どういう事だ?」


「残る二つのメダリオンが、あのバカでかい神聖樹の上の方にあるみたいなんだよ」


 エルラムのレーダーに反応があり、神聖樹はどうも中に空洞があり、入っていく事ができるようだと、アンテが分析してくれた。


「なるほどな。それがあれば私もお前達の、本当の仲間になれるということか?」


「烙印の乙女? でしたよね。二つあるなら最後はワタクシという事でよろしいですね」


 二人は前のめりにウイックの前に躍り出て、全力でアピールしてくる。


「おいおい、烙印を刻むには、俺との関係を深めていないとならねぇんだぞ」


「なんだお前、私が前に自分の立場がなければ付いていきたいと言った、あの言葉を何だと思っていたのだ?」


 海底都市で確かにそんな事を言っていたのは覚えている。


「それって冒険がしたいっことだろ? それと俺達の間柄に何の関係があるんだ?」


「皇女殿下、一つ言っておくけどこの男には、色恋沙汰で少しでも捻った言い方をしたら、絶対に伝わりませんよ」


 ミルはみんなを代表して、秘術士の大問題な短所を耳打ちで教える。


「そう言う事ならしかたない」


 アーチカはウイックの首に腕を絡ませて、顔を引き寄せ唇を奪う。


「私はとっくに国を忘れる決意はできてるぞ。後はお前が私を受け入れるかどうかだけだ」


 こう真っ直ぐにぶつかられると弱い男は、あっさりと首を縦に振る。


「ず、ずるいです。ワタクシも貴方様をお慕い申し上げておりますのに」


「って、いったい何時のタイミングでだよ。ってあの時しかないもんな。でもあの時の何でそうなった? それでその何があったとして、慕ってくれるほどの想いをどうして抱いた?」


 捻らずただ真っ直ぐに想いを告げればよい。と言うわけでもなく。


「もちろん一目惚れです。ワタクシが大好きな英雄譚に準えているのは間違いありませんが、それでも理想と現実の違いは理解しています。ウイック様はワタクシの思い描く英雄像そのものなのです」


 夢見る少女の想いが、烙印を刻むほどの物かを量る事はできない。


「それはメダリオンを見つけたら、証明できるではありませんか」


「アイナの言う通りだな。よし分かった。別行動を許そう」


 メダリオンを見つけたら急いで幕営に戻る。


 そこで二人に秘術を試すという事で話はまとまった。


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