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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第四幕   仲間達と世界を股に掛ける男の探遊記
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22 思えば深い縁は、あんな頃からあったんだという噺

「この近くに私が取ってある部屋がある。そこに場所を移そう」


 食べ終わるまで話は中断して、その後に場所を移した一行。


 再開した談話の中で、イシュリーの居場所についての心当たりを聞かされた。


「監禁されていると言う事か?」


「そう見るのが妥当だろう。側仕えを余所にやり、その居場所を使用人が知らないとなると、何か不都合があるから隔離しているのだ。お前達が使っている発信器も使えず、念話も通じないのだろう?」


 下層の聖皇都にいる間は足跡は追えていた。


 発信器が使えないのは、おそらく天界に満ちた聖光気によってだろう。


 念話にしても同様、どちらのアイテムも動力源は理力。聖光気も利用しているが、そればかりが強すぎるこの世界では阻害の方が大きい。


「閉じこめるなら打って付けの場所がある」


 手がかりもなしでは身動きも取れない。


 ウイック達には渡りに船ではあるが……。


「いいのか、俺達に手を貸して? 国元に迷惑掛からないのか?」


「なんだ心配しれくれるのか? 安心しろ、私はもう陛下の側付きではない」


 エレノアはティーファの許しを得て、メルティアンの郷を後にする事にした。


 ここでメダリオンを貰い受けるのが最後の仕事なのだという。


「さぁ、ウイック=ラックワンド、私に烙印とやらを刻むがよいぞ」


「なに?」


 諸々の説明を完全にすっ飛ばしている。


 そもそも何故、精霊界から出る話の流れになったというのか。


「そんな話は後でもいいだろう?」


「ああ、もう分かったよ。本当にこのメダリオン、使っていいんだな?」


「くどいぞウイック=ラックワンド」


 銀髪美女は何故か眼鏡を外し、服も脱ぐ。


「待て待て、別に脱がなくても術の行使は可能なんだぞ」


 烙印の乙女が増えるほどに、彼女達への責任を感じるようになったウイックは、ほんの少しだが相手の事を気遣うようになっている。


 生で触るのが一番気持ちいいのはウイックも一緒だが、先ずは相手の本意を知りたいと考えている。


 服の上からなら、罪の意識も少しは感じずに済む。


「勝手な理論だが、まぁいい。私は望んで脱いでいる。気にするな」


 そう言う事なら遠慮は要らない。


「けどあれだぞ。ティーファの事は知っていると思うが、烙印を刻んでも、俺達が距離を置けば、印は消える事になるんだぞ」


「安心しろ。私はこれからずっとお前と一緒だ」


 烙印は刻み終えた。


 これで乙女の数は11人になった。のではあるが……。


「なんだ、もう終わりなのか? もう少し続けてくれ、なんなら最後までどうだ?」


「ちょ、ちょっと待て、お前今、ずっと一緒だとかどうとか」


「なんだ、察しの悪い男だな」


「いや、そうじゃない。言いたい事は分かったが、なんでそんな展開になったんだって聞いてるんだ」


 体を擦り寄せてくるエレノアの両肩二手を置き引きはがし、ウイックは本題を前に彼女の本意を問いただす。


「だから察しろと言ってる。私はお前の事が忘れられんのだ」

「はい?」


「私はお前を嵌めて城から、ラムーシュから追い出そうとした」


 そいつは覚えている。


 それでミルとイシュリーの二人に、アイテムの探索を任せる事となった。


「あの時は悪い事をした。今はそう思っているよ」


 服を着て眼鏡をするエレノアは、今一度ウイックにしがみつく。


「あの夜の事をどうしても忘れられない。体が疼く時は自分で慰めもしたが満足なんぞ得られるはずもない。集中力を欠いて失敗する事もあった」


 そこで心配になったティーファが暇を与えてくれたという。


「その気なら、添い遂げても良いとお言葉を頂いてな。甘えさせてもらう事にした。さっきそう決めた」


 そう言う決意があるのなら烙印が消える心配はないだろう。


「分かった。じゃあ力を貸してくれ」


「ああ、私は役に立つぞ。戦闘ではあの剣士殿や獣王には及ばずとも、この頭脳はきっとお前達の助けになる」


「それじゃあ、ヨロシクたのむぜエレノア」


「エレンでいいぞウイック=ラックワンド。親しい者はみな私をそう呼ぶ」


「俺の事はフルネームで呼ぶつもりなのか?」


「今はまだその方がシックリくるのだ。許せウイック=ラックワンド」


 ウイックは溜め息を漏らし、皆を紹介する。


「妹君に法術士殿、それに呪術士殿か、ヨロシク頼むぞ」


 他の仲間に関しては、実際に顔を合わせた時にと、ここで話題を元に戻す。


「それで、イシュリーはどこにいると推測されるんだ?」


「おう、獣王は天空回廊の先、天界の入り口、天空殿の隔離施設だろう。マナを通さない隔壁に覆われた部屋があるのだと聞いた事がある」


 天上界では教義が絶対。


 自然とここの住人はそれを受け入れているが、中には時折思い違いや勘違いで道を外していると認定される者が現れる。


「粛正のための教育部屋か」


「聖人は幼い頃からの教育の賜で、そう言った輩は出んのだが、人種ひとしゅの中には時々そういう者が出てくるらしい」


 そこで使われるようになったのが、イシュリーも填める事を強要された指輪なのだが。


「アイテムが作用しない者もいなくもないからな。そう言った場所は必要なんだよ」


 そんな所を嗅ぎ回れば、騒ぎが大きくなりそうだが確かに疑わしい。


「よし、先ずはそこから当たってみるか」

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