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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第四幕   仲間達と世界を股に掛ける男の探遊記
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21 デキの良すぎる好都合な展開の噺

「なぜと言われても、私からすればお前達がここにいる事の方が、不思議なのだがな」


 懐かしい顔を馴染みのない世界で見て、驚くウイックは大きな声を上げて周りの注目を浴びる。


「久し振りだな連れの者は……、一新してるな。獣王と剣士殿はどうした?」


 この見た目は少女といった年齢に思われるが、その実は23歳という変わった体質の遭遇者は、メダリオン集めの旅の最中に、精霊界で出会った王政国家の高官である。


 精霊界ラムーシュを納める女王ティーファ=ベルビアンカ=ラクシュバームは、嘗てはウイックの秘術を受け、烙印の乙女となったが、その後に自然に術は解除された。


 王都ラクシュに住まう女王の側近が、このエレノア=カシムである。


 精霊界の住人は、実年齢と見た目が大きく変わる。


 内包する精霊の力によって変わるのだが、その年の差が力の差となって量る事ができる。


「なるほどな、それではお前は着実にメダリオンを集め、仲間を増やしているのだな」


 エレノアは「つまりはあのいかがわしい行為を続けているという事だな」と続けると、ストレージから一つのアイテムを取り出した。


「な、なんであんたがこれを持ってるんだよ」


「これはオーガイルより貰い受けたモノだ。我が国の秘宝を強奪した代償としてな」


 ラムーシュの王城に納められていたメダリオンを、エンゲラ=コーバンスの窃盗により奪われた事件を引っ提げて、皇天使ミカナフに直談判して手に入れたと言う事だ。


「そう言えばラムーシュとオーガイルは、国交を開いているんだっけか」


 天使至上主義のオーガイルは、魔門界や霊冥界を相反する物、蔑む物として繋がりを持たず、大海洋界は下賎の世界として国交の価値を認めていない。


「とは言え、我々などはタダの使い、我が女王と精霊王以外を、交渉相手とは見ていないのだけどな」


 女王の書簡があればこそ、メダリオンは受け渡された。そう言う事らしい。


「それで? お前達はどうしてここに?」


 ウイックはこれまでの経緯を掻い摘んで説明し、自分達もエンゲラによって面倒事に巻き込まれ、今は別行動中の二人との合流の方法を、模索中だと告げる。


「そんなの直に問い合わせれば、よいではないか?」


「それがな、どうも情報が定まれねぇもんで、真っ直ぐに迎えに行っていいモンかどうかも、決めかねているんだ」


 ミルの母親が弾劾の罪に問われている事と、ミルが聖天使と認定され、実の兄と婚姻の契りを結ぶ噂について話す。


「なるほどな、それは話が通りにくそうだな。門前払いが妥当な結果ということか」


 エレノアの注文も配膳され、食事を共にしていると、一人の婦人が近寄ってくる。


「ちょっとよろしいですか? 貴方方は大天使ミシェルフ様と聖天使ミナエル様のお知り合いなのですか?」


 身なりからして聖人ではないが、タダの一般住民とも違う風格を持っている。


 聖人の使いではなく、直に天使に使える人種ひとしゅであるようだが、情報を集めているウイック達の話を街中で聞いて、探していたようだ。


「私はフリーリンと申します。エンゲラ=コーバンス様と共に大天使ミシェルフ様に使える者です」


 ミルの事を嗅ぎ回っている者が彷徨いている。


 その噂の真偽の確認に、フリーリンは使わされたようである。


「皆様はミナエル様のご友人であられるのですか?」


「すまんな。こいつらは私の部下だ。久し振りに天上界に来たのでな。我が主君への土産話の情報収集に働いてもらっていた」


 話に割り込んだのはエレノア。


 二人は面識があるらしく、メルティアンの女王側近の言葉を、天使の使いは疑わずに信じた。


「フリーリン殿、よければ貴方からも少し、お話を聞きたいのだが」


 街中で聞く噂話よりも詳しい情報が手に入ると踏んだエレノアは、無条件でウイック達に協力し、先ずはミルの居場所について探る事ができた。


「実家ではなく天空宮に?」


 天界でも最も高位の皇天使と、その天使に選ばれた者しか入れない宮殿の中で禊ぎをし、聖天使として昇華されるための儀式が執り行われている。


「それがすめば婚礼の儀があり、お二人は天空宮お側の邸宅で、お二人の生活をスタートなさるのです」


 悦に入った答弁であった。恍惚とした表情で説明を終えたフリーリンは、エレノアから手厚いお礼の言葉をもらい、ウイック達の疑いも晴らして立ち去った。


「と言う事らしいぞ。……どうした?」


「いや、見事なモンだ。プロのペテン師の手腕だな」


「お前、それは褒めているとは言わんぞ」


 何はともあれ、これでミルについては詳しい話が聞けた。


 ミルの母親の話はガセであったとして、今はそれで良しとし、結局分からず終いのイシュリーの居場所については、またまたエレノアには思い当たる場所があった。


「彼女、フリーリン殿は獣王の事を、剣士殿の侍従と認識していたようだが、それにしては居場所について、心当たりすらないというのはおかしいな」


 フリーリンの右手中指に填めていた指輪。


 あれは天上界の絶対ルールとして掲げられている教義を、第一とする考えを受け入れた証。


「あれを着けている以上は、人の話に嘘を返したり、誤魔化したりはできない。彼女は知らないのだ。獣王の居場所を」


 侍従として召し仕えている者なら、ミルの側から離すような事はしないはず、それが行方不明ということは。


「恐らくはどこかで拘束を受けている。そう言うことだろう」


 エレノアは思い掛けない提案をしてきた。


 全ては女王ティーファへの土産話のため。


 なにより自分の抑えられない衝動のために、ウイックの冒険仲間に志願したいと申し出る。


「悪いようにはしないぞ。なんならこれもくれてやろう」


 エレノアは口角を歪ませて男に迫った。

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