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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第四幕   仲間達と世界を股に掛ける男の探遊記
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19 この旅ってよくよく入浴シーンがある噺

 海底神殿に帰還したウイック達。


 真っ直ぐに軍用メディカルルームに行き、アンテの容態の確認を急いだ。


「やぁ、ウイック。心配かけて、僕のためにいっぱい走り回ってくれたようだね」


 ほんの少し前に目覚めたというアンテだったが、彼女を前に仲間達は惚けた顔になる。


「ビックリだよね。ここのドクター達が一生懸命に、僕を起こそうとしてくれた結果なんだけどね」


 アンテ本人に間違いないが、ウイックとマニエルの目には、彼女よりもその姉、ララクララ=フローランに近く見えてしまう。


「呪詛払いをしようとしてくれてね。いろんな事をしてくれたんだって、その結果僕の体は、数年分成長してしまったそうなんだ」


 髪は肩胛骨くらいまで伸びており、身長も伸びた。


 まだ成人前の少女は、幼さをまだ少しだけ残しながらも、出るところはより一層に出て、括れも強調され、顔のそばかすも綺麗になくなっている。


「どう、かな?」

 声も少し変わったか?


「ああ、正直驚いた」


 何より元気そうでホッとした。


 だがアンテはまだ、激しい運動は控えた方がいいと診断され、少し様子を見てから後から追いかける。そう言う運びになった。


 ウイックは急いでミル達の跡を追う。


 つもりであったが、思った以上に疲れが溜まっていた。


 特にシズは王女のお願いを聞いて、彼女のお供の兵士や付き人の蘇生を果たすのに、残りの妖力を使い切ってしまった。


 エルラムとノアールは、体の調子を完全に崩してしまったダンルーを伴って、シズを連れて霊冥界に戻った。


「姫様と言えば……」

「アーチカ皇女殿下かい?」


 亀甲船はほどなく修理を終え、彼女は帰国したという。


「そうか、そんじゃ俺達も明日にはオーガイルに向かう。朝までにエル達が戻らなかったら、マーニーとピューレと三人で先行するよ。もしエルと一緒に来られそうならアンテ、お前も来てくれ」


 来るなと言ったところでどうせ来るだろう。


「ただし、足手まといになるようなら、ちゃんと休んでからにしろよ。場所が場所だけに、俺達にも余裕があるとは限らねぇからな」


 釘は打っておいて、万全な状態を自分達も取らないといけない。


 アンテを置いて、三人は温泉に向かおうとする。


「ちょっとウイック……」


「なんだなんだ? っておお、セイラじゃねぇか」


 アンテの看病をお願いしていたセイラは席を外していたが、用事を済ませて戻ってきて、話し合いの邪魔にならないように部屋の片隅で待機していた。


「あんたホンキで、私の事を忘れてたでしょ」


「そ、そんな事ねぇぞ。お前が入ってきたのは知ってたし、ただ誰が入ってきたのかの確認してなかったから、他のスタッフと同じ扱いにしただけで、別に忘れていた訳じゃあねぇさ。

このままオーガイルに向かうとしても、アンテの事はセイラに任せたいから、こっちのメンバーに入れてなかっただけだぜ」


 取って付けたようにそう言うと、釈然としないままの人魚は「そう言う事なら」と、顔を引っ込めた。


「温泉くらいはどうだ? 一緒に行くか?」


「えっ、いいの? ……しょ、しょうがないわね。一緒に行ってあげるわよ」


 ご機嫌取りに引っ掛かる人魚を共に、温泉施設へ向かうが、この都市には男湯という物がない事を思い出し、一人だけ内風呂を頼もうとするウイックだったが。


「なに今更そんな事を言ってるの?」


 マニエルの言葉に、人魚もラティアンも首を縦に振る。


「それもそうだけどよ。大風呂は他の客もいるだろうしよ」


「えぇーっ、いいじゃん。前も大勢で入った事あるじゃない」


 こういった時に必ず窘めてくれるリーダー格の少女がいないため、秘術士の男の希望を通すのは無理なようである。


 幸いというか、家族風呂が使えたので、他の客の事は気にしなくて済んだ。


「先に入ってるからな」

「はぁ~い」


 入浴するのだからもちろんの事、タオルを一人一枚もっている裸の状態。


 最後に入ってきたピューレなどは全く隠すことなく、この頃なぜか少し抵抗を覚える男は、目を瞑って口まで湯に沈む。


 天然のお湯に浸かると、術で体内に蓄積したマナの不純物が染み出して、消費されたマナを回復しやすくしてくれる。


 妹たちの要求するスキンシップを果たしながら、回復をした後は、食堂で腹も満たし、早めの就寝。


 目を覚まして軍の施設へ戻り、アンテの元に訪れると、そこにはエルラムとノアール、ダンルーとシズの姿もあった。


「二人とも、もういいのか?」


「はい、私は烙印のおかげと、妖力も十分回復させてきましたので」


「あたしはぁ、そもそも戻る必要もなかったんだけどぉ、動けないうちに連れ戻しちゃうんだものぉ」


 すっかり元気を取り戻した二人。


「ダンルーの喋り方、そろそろホンキで腹立ってくるな」


「なによ。個性を全否定って有り得ないんですけど」


 気力は十分のようだけど。


「二人は留守番だぞ。天上界に肉体をもたない二人が行ったら、多分浄化されちまうって話だからな」

「えっ?」


「ワタクシ、あなた方にもそう説明しましたよね。それでもいいからと、ここまではお連れしましたが、どうします? 霊冥界に帰りますか?」


 魂だけの存在は、聖光気を長い時間浴びていると、それだけで消されかねない。エルラムがそうウイックに言った。


「はい、大人しく糸を紡いで待っていますよ。けどその前に、エルラム様が皆さんと温泉に浸かりに行こうと! 楽しみです」


「なにっ?」


 予定は未定ではあるが、可能な限り早く発ちたいと思っていた。

 だが後半日、仲間のために使うのもしかたない。


「今度はアンテも一緒に行くか?」


「そうだね。せっかく貸し切りにしてもらったんだし、行かないと勿体ないよね」


「貸し切りぃ!? い、いつの間に」


「今度こそ、アタシにもみんなみたいにスキンシップしてもらうからね」


 言葉を少し改めるダンルーに抱きつかれ、深いため息を一つこぼしたウイックだった。

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